6TEEN (新潮文庫) | |
石田 衣良 | |
新潮社 |
♪「6TEEN シックスティーン」石田衣良著 新潮文庫
直木賞受賞作「4TEEN フォーティーン」の続編。月島中学を卒業した4人の少年は、それぞれ異なる高校に進学するが、相変わらずの仲良しで毎日のように月島のもんじゃ焼き屋に屯している。
4人組の一人テツローを通して語られる、4人や彼らを取り巻く同世代の若者、大人たちの悲喜こもごも。テツローの捉え方、感性はあくまでも若くて(ある意味青くて)瑞々しい。
16歳ともなると、子供と大人のまさに真ん中の不安定な時期だ。直面する問題や悩みも、14歳と比べれば随分大人びてくる。あー、自分もあんなことに悩んだっけな、あんなことに夢中になったよな、いつもつるんでいたよな…。まさに40年前のことだけど、つい最近のことのように思い出すことも多い。
石田の筆致は、高校1年のテツローに合わせて今時の若者のもの。でもその軽い口調の中に、きらりと光ったり、ずんっと重い言葉やフレーズが散らばっている。これは、石田の文章力、上手さなんだと気がついた。
高校生が何を生意気にほざいているんだ、大した話じゃねーよ、とか思いながら読み進めるが、結構オヤジの胸にきゅっと響いたり、ちょっと目頭が熱くなったりする。やっぱり、さすがに直木賞作家だね。
なかなか良い小説です。最近歳のせいで感性が錆びついてきたかな、と感じているご同輩、間違いなく心地よい潤滑油と刺激となりますよ! ハート4つ!