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先住民族関連ニュース

先住民族関連のニュース

日本人のルーツ、ゲノム分析が進み、さらなる詳細が明らかに

2015-03-22 | アイヌ民族関連
Medエッジ-2015年3月22日 12:00 AM
複数の人種が混血したモデルが妥当か
 日本人の起源について、ゲノム分析が進み、これまで以上に複雑な混血モデルの詳細が明らかになってきた。
 日本の統計数理研究所を含む研究グループが、モルキュラー・バイオロジー・アンド・エボリューション誌2015年3月10日号オンライン版で報告した。
「gwSNP」による解析
 日本人のルーツに関する仮説が数多く提唱されてきた。主なものに小さな突然変異を起こしたと見る「小進化説」、民族の入れ替わりがあったと見る「置換説」、複数の人種が混ざったと見る「混血説」の3 つがある。このうち最近では、混血モデルが広く採用されている。
 このモデルによると、狩猟民族である縄文人は、東南アジアに起源があり、1万年以上前に日本列島に住みつき、弥生人(2000年前~3000年前に東アジア大陸から移住してきた農耕民族)と混じったと考えられる。一方、縄文人と弥生人の形態学的違いは、生活様式の変化に伴う微細な進化で説明できるという説もある。
 研究グループは、この議論を解決するため、縄文の直接の子孫と考えられているアイヌ人に関するゲノムワイドな1塩基多型解析(gwSNP)によるデータを使い、「近似ベイズ計算」と呼ばれる手法で3つの人口統計学のモデルを比較した。
より複雑な日本人のルーツ
 その結果、1塩基多型を複数の人種で調べた「ハップマップ(HapMap)」計画で調べられた漢民族系中国人(CHB)が弥生人と同じ祖先をもつと仮定した場合、混血モデルの可能性が濃厚であると想定できた。置換説や小進化説と比べると数十倍高い確率で予測された。
 さらに研究グループによるデータから、縄文人の血統は、弥生人との混血が生じる以前から、多様な人口構造が存在したというモデルが出てきた。地域によっては、縄文人と弥生人のそれぞれが多様性を持っていたという。祖先の間の多様性は、更新世(約258万年前から約1万年前までの期間)後期にさかのぼり、完新世(1万年前~現代)の初期の縄文人の多様性へと続く。
 この結果から、gwSNP解析によるデータで、日本人のルーツの複雑な混血モデルの詳細がさらに明らかになってきた。
文献情報
Nakagome S et al. Model-based verification of hypotheses on the origin of modern Japanese revisited by Bayesian inference based on genome-wide SNP data. Mol Biol Evol. 2015 Mar 10 [Epub ahead of print]
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25758010
http://www.mededge.jp/b/heal/10536

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天井高く総合展示4室 国立博物館基本計画

2015-03-22 | アイヌ民族関連
苫小牧民報 (2015年 3/21)
 白老町のポロト湖畔に2020年開設する「民族共生の象徴空間」の中核施設、国立アイヌ文化博物館(仮称)の基本計画が明らかになった。調査・展示・研究室スペースの面積は8000平方メートルで、博物館の〝顔〟となる総合展示は「基本展示」「テーマ展示」「子ども向け展示」「シアター」の4室で構成。各種企画に対応する特別展示スペースを隣接させる。建設予定地が津波浸水区域に含まれることから、地震津波対策を建築設計に反映する考えを盛り込んだ。
 基本計画は、博物館の在り方を検討してきた調査検討委員会の佐々木利浩座長(北大アイヌ・専従実音研究センター客員教授)がまとめたもので、19日に佐々木座長と北海道アイヌ協会の加藤忠理事長が文化庁を訪れ、山下和茂文化財部長に報告書を提出した。
 展示室は効率的な活用を狙い、6~7メートルの天井高を確保。基本展示室は、アイヌ民族による「私たちの~」という視点のもと(1)精神世界(信仰)(2)暮らし(3)仕事(4)交流(5)言語(6)歴史―の6項目で構成。テーマ展示室では最新の調査研究成果に基づき、多様な切り口で数カ月に一度更新しながら展示を行う。
 また、未就学児から中学生までを対象に2種類のコーナーを設ける子ども向け展示室、映像や音声資料で多面的にアイヌ文化などを紹介するシアターを盛った。
 東日本大震災による津波被害を教訓とした対策も加えた。博物館の敷地が津波浸水域に含まれるため、収蔵庫や展示室など資料を保管する空間を2階以上に配置。災害発生時に周辺住民の避難場所として利用することも想定した。
 一方、展示スペース以外の取り扱いでは、講堂・視聴覚ホールやワークショップルーム、ボランティアスペース、宿泊研究室など教育・普及関連で7室。さらに、事務室や応接室、館長室など管理関連で6室を「別途整備する諸室」として盛り込んだ。これらは展示スペース以外に必要な部屋として文化庁が示したもの。具体的な整備計画は今後、関係省庁も加えた上で協議が行われる見通しだ。
 組織の運営計画は象徴空間全体と一体となった運営を行うとし、組織体制も「アイヌの人々が主体的・積極的に参画できる運営体制の構築を図る」と明記した。
 今後のスケジュールは、今年中に博物館基本計画を策定。16年までに博物館・展示設計、16~19年に展示工事を含む建設工事、20年開館としている。
http://www.tomamin.co.jp/20150323421

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香山リカ、「アイヌ否定問題」で小林よしのり氏に反論

2015-03-22 | アイヌ民族関連
日刊SPA!-2015.03.21

 長らくのごぶさたです!!
 ……と言っても「何のこっちゃ」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、超不定期連載「人生よりサブカルが大事」を執筆中断中の香山リカです。
 あれ以来(編集部注:2013年に香山氏の弟さんが倒れた辺りから連載が中断するようになった)、サブカルパートナーの弟に脳波異常が発見され、「なんだ、あんた神経症じゃなくて脳の病じゃん」ってなことになったりし、「人生よりサブカルより脳波が大事」という感じでした。
 そのあたりのお話はまたぜひ、脳波所見とともにここでご披露させていただきます。
 んでもって、本日はサブカルといえばサブカル、でも今や違うっちゃ違う、小林よしのり氏への反論をこの場を借りて述べさせていただきたいと思います。
 なぜ、小林よしのり氏?
 なぜ、ファンレターなどではなくて反論?
 ……それについては、以下をお読みください。長いですよ……。ツイッター40回か50回くらいでしょうか。では、どうぞ……。
※※※※※※
 漫画家の小林よしのり氏(以下、小林氏)と1月15日に対談させていただいてから2ヶ月、その模様が雑誌『創』3月号に掲載されてからも1ヶ月以上がたった。
 そもそもそんな対談が行われたことじたい知らないという人も多いはずだし、読んでくれた人たちも目まぐるしい世間の動きの中、すでに終わった話として忘れてかけているのではないだろうか。
 何をどう話したのかについては、私の口から説明する手間を省くようで恐縮だが、まずは雑誌『創』の編集長で対談にも立ち合った篠田博之氏による報告をご覧いただきたい。
「小林よしのりVS香山リカ『アイヌ問題』で激突対論!(篠田博之) – Y!ニュース」
http://bylines.news.yahoo.co.jp/shinodahiroyuki/20150209-00042922/
 今回の対談のそもそものきっかけをまとめると、次のようになる。
・昨年、札幌の金子やすゆき市議が「アイヌ民族は、もういない」とツイートしたことをきっかけに、ネットを中心に「アイヌ民族否定」の論調が高まり、ついにいわゆるヘイトスピーチデモのテーマのひとつに「アイヌ」が取り上げられるという事態に至る。
・ツイッターで、アイヌ民族としてツイートしている人にまで「アイヌなんてもういないのになりすましているだけ」「不正を働いて利権を得ている」といった心ない言葉が平然と浴びせかけられているのを見かねた私が、「言葉による民族浄化が行われようとしている」と雑誌やツイッターなどでこの動きを批判。
・その中で私は、かつて『わしズム』などで「現在の日本に『アイヌ民族』など一人もいない!」「アイヌ『民族のでっち上げ』を許すな!」などの主張を繰り広げており、現在の「アイヌ民族否定」の動きに大きな影響を与えていると考えられる、などと述べた。
・おそらくそれらを目にした小林氏が、昨年11月13日「アイヌは日本国民である」というエントリーのブログで、「言論・思想を封じるのではなく、思想し続けたいわたしに対して、香山リカと中島岳志は答えよ!」と呼びかける(https://www.gosen-dojo.com/index.php?key=joaa6dvgu-1998)。(ちなみに、ここでなぜ中島岳志氏の名前が出てくるかは不明。後に本人にも確かめたが「よくわからない」との返答だった)
 それを受けて『創』での対談が実現したのだが、私としては3時間あまりの中で、ある程度、自分が伝えるべきことは伝え、示すべき資料は示せたつもりだ。
 私の「伝えるべきこと」とは、ただひとつ、「いまネットを中心にアイヌへのたいへんな差別、否定が行われている。その構造は在特会による在日へのヘイトスピーチと同じ。それを食い止めるためには、いまだに保守派にも圧倒的な影響力のある小林よしのり氏の協力が不可欠なので何とかお願いしたい」ということだ。
 そしてそのために、「現在の国際的・学術的の考え方に照らし合わせれば、アイヌは民族でありかつ先住民族であることは疑いようもないこと」「彼らへのアファーマティブ・アクション(差別是正や権利回復のための政策)を“利権”“特権”と決めつけるのは誤りであること」「もちろん個別の不正やムダは正すべきであること」を資料などを示しながら説明しよう、と考えたのである。
 小林氏は現在、“利権”“在日利権”を否定する立場で差別への反対をはっきり表明している。だとしたら、アイヌが近代の同化政策で生活の基盤や文化を収奪され、結果的に生活格差が生じたことやいまだに差別も残っている現状を伝えれば、それは理解してくれるはずだ。その上で私は、「ネットで広がって当事者にも届いている心ないデマ、差別をなくすためにも、ここはまず小林氏に『アイヌを民族と認めよう』と言っていただく必要があるのです」と協力を仰ぐつもりだったのだ。
 残念ながら対談では、小林氏の主張を変えることはできなかった。そのあたりは実際の対談を読んでもらうしかないのだが、私は「だとしたら、あとは一般の読者や言論人、専門家の感想や検討を待つしかない」と思っていた。
 しかし、その対談の余波は思わぬ流れとなり、いまだに続いているのである。これは本当に予想外のできごとであった。
 小林氏サイドは「そっちが勝手に続けているんじゃないか!」と主張すると思うが、どちらが継続の主たる原動力なのかで争っても不毛なので、ここでは問わないことにしたい。
 たとえば、小林氏は3月10日の「異様な事件が多すぎる」なるタイトルのブログで、一連の「異様な事件」に含める形で、私のことに言及している(https://www.gosen-dojo.com/index.php?key=joq0z57id-1998#_1998)。
 実はこれ以前にも、自身のプロダクションのポータルサイト「ゴー宣ネット道場」(https://www.gosen-dojo.com/)内のコンテンツ「よしりんの『あのな、教えたろか』」ではかなりの頻度で私への批判が登場し、対談後に限っても計20回以上を数える。
 これだけではない。同コンテンツ内のスタッフブログ「トッキーのどうがお願いします」では、小林氏の古参スタッフの時浦兼氏が舌鋒鋭く、時には3日、4日と連続して「香山リカ批判」をエントリーしている(3月14日「香山リカの発言はすべて『口から出まかせ』か。」など (https://www.gosen-dojo.com/index.php?key=joblx8p0w-736#_736)。
 その回数は師匠をはるかにしのいでおり、さらに時浦氏はツイッターを使用していて、そこでも小林ファンと思しき人たちとともに時おり私への批判を繰り広げている。
 私はブログなる発信メディアを持っていないので、小林氏のたび重なる批判にこたえるすべもない。ツイッターは愛用しているが、もともと「著作や出演の告知」「大喜利的なネタの投稿」「プロレス観戦やペットなどの雑談」のために始め、現在はアンチの方々から押し寄せるリプライにときどき応えるという感じなので、時浦氏のブログやツイートにいちいちまじめに返答もしていない。
 それに対して小林氏ファンから「時浦さんにちゃんと答えない香山は卑怯者」といった意見が私のアカウントに寄せられるが、そもそも私が対談したのは小林よしのり氏なのだが、そのスタッフにまでどの程度、まともに返事しなければならないのかが、私にはよくわからないのだ。
 時浦氏は対談の翌日、1月16日にこんなツイートをしている。
「よしりん先生はTwitterをやっていないので、香山リカ氏のTwitterでの発言については、私が対応させていただきます。時浦兼 @tokky_ura」
 これが事態をわかりにくくしている。つまり、時浦氏のブログやツイートは小林氏の意見を代弁するものなのか、それともスタッフの単なる感想なのかがわかりにくい。小林氏のブログにはよく「時浦からの電話で聞いたが、香山リカが……」といったくだりが出てくるところを見ると、やはり「時浦氏≒小林氏」なのだろうか。本当によくわからない。
 さて、本来であればせっかく場を借りたので、ここでまとめて小林氏、時浦氏からの膨大な批判にこたえなければならないのだが、何度も言うようにその量がハンパではないのだ。ということで、ここでまず基本的ないくつかの批判に、申し訳ないが「一問一答方式」で答えを述べることをお許し願いたい。そしてもし『日刊SPA!』の読者から「これはオモシロイ! もっとやって」という意見があれば、続きを考えてみたい(笑)。
Q.「自分でアイヌ民族と思ったら、アイヌ民族」、これでは誰でもアイヌ民族になれるのではないか?(1月15日)
A.小林氏やアイヌ否定論者たちは、その人が「アイヌ民族であること」が本人の自己意識から出発する、という点を問題視している。先の金子市議もツイッターで「アイヌは自己申告制ですからね」「私も、選挙に落ちたら○○○になろうかな(ツイッターでは伏字だったが前後のツイートから『アイヌになろうかな』だと推測される)」などと発言。ツイッターでは「アイヌ協会に電話して“私、アイヌだと思うのですが”と言ったら誰でもアイヌになれる」などのデマが拡散された。
 対談でも話したが、アイヌに限らず、現在、民族に関しては「主観的アプローチ(本人の自認)」と「客観的アプローチ(共同体の承認や戸籍など)」の双方を重んじる、というのが世界的な潮流。アイヌでもまず大切なのは、本人の自己意識。しかし、アイヌ協会の会員になる(これは「アイヌ民族」と必ずしもイコールではない。協会に登録していないアイヌ民族も大勢いる)にも、本人の自認だけではなく、定款に基づいた入会申込書に対して客観的審査を経た上で決定される。
Q.アイヌ系日本人でいいではないか?(1月16日)
A.小林氏や否定論者は、「アイヌ民族」の存在を認めることが日本を分断させる動きにつながるのではないか、と懸念しているようだ。しかし、対談でも触れたように国連でのスピーチなどでも、先住民族と承認を得ることが日本からの独立、日本の分断といった動きにつながることはない、と当事者が繰り返し主張している。アイヌ民族の歴史やアイヌ語の研究をしている学者にしても同様で、なぜそのウラに謀略めいたにおいをかぎ取ろうとするのだろう。そんなに陰謀が好きなのか、陰謀がないと納得できないのか、とさえ見えてしまう。
 もちろん、日本にいるアイヌは日本国民にほかならない。「日本人でかつアイヌ民族、かつ北海道の先住民族」でいいではないか? 日本は単一民族でなければ国家としての統一性が保てない、という発想のほうが日本への不信感をあらわしているのではないだろうか。
Q.「民族はいない」という意見を「言論封殺」するのは悪意に満ちた手口である(1月15日)
A.繰り返すが、民族を「歴史的に構成された人間の堅固な共同体」と真正性や客観性を重んじるのはスターリンの民族の定義であり(注・小林氏を「スターリン主義者」と言いたいわけではない)、それは現在の学問的潮流では古い考えと見られている。小林氏が言いたいのは、そういった定義に基づく「民族はいない」という主張なのだろう。だとしたら、「私は古い定義を支持したい」と断った上で発言すべき。
 アイヌの中にはアイヌであることに誇りを持っている人もいれば、いまだに差別を怖れてそのことを隠して生きる人もいる。いずれにしても、「アイヌであること」に対して非常にデリケートで複雑な思いを持ちながらいまも生きる人がいるのに、「私はコタンに住んでシャケを獲ってるアイヌなんて見たことないから、アイヌなんていない」などというのはあまりにも乱暴だ。昨年からの騒動やツイッターでの心ない言葉に傷つき、メンタルヘルス不調を来したアイヌがいるとも聞いている。
 もちろんどんな古い説や珍説を信じようと本人の自由だが、とくに影響力のある小林氏に不用意な発言を慎んで、と頼むのが「言論封殺」とは言えないはず。
Q.香山リカはアイヌ協会の立場を守りたい人なのだろうか?(1月17日)
A.私は、今回の対談の後の一連の小林氏のブログで、この発言にもっとも傷ついた。というか最大にガッカリした。
 少し長めに引用させてもらおう。
「香山リカ氏はアイヌ協会の立場を守りたい人なのだろうか? アイヌ協会に都合の悪い論者を、一方的に貶す傾向があるから、そのように見える。だが、わしには立場はない。わしは組織や団体のバックアップはないから、あくまでも個人として、自分の頭で考えればいい。」
「わしは香山リカがアイヌ協会御用達の『ネタ本』しか読んでないだけで、洗脳されてるんだと思っている。」(https://www.gosen-dojo.com/index.php?key=jomz8d658-1998#_1998)
 私が小林氏と対談したのは、冒頭にも記したように「小林氏に『アイヌ民族の人たちはいる。その人たちを差別してはならない』と言ってもらい、とくにネットで広まっている彼らへのヘイトスピーチが止まるように協力してもらうため」に尽きる。
 それなのに、私があたかも「アイヌ協会のまわしもの」だと疑っていただなんて……。
 それはないよ、小林先生……。
 「アイヌ協会ご用達の『ネタ本』」って何。絵本かなんか、推薦してんの……?
 公益社団法人・北海道アイヌ協会というのは、さまざまなアイヌ事業の窓口になっている団体で、アイヌ政策に基づく支援などを受けるためにはこの協会の会員として登録する必要がある(しかし先にも述べたように、この協会に登録していないアイヌも大勢いる)。 『わしズム』でも対談でも、小林氏はアイヌについて調べたいと思い、まずこの協会に取材を申し込んだところ断られたと述べていた。協会は「あの小林よしのり氏の取材!」とビビって断ったのだろうが、それはたしかに残念なことであった。
 しかし、私は正直言って、北海道アイヌ協会に関してはその定款や関連事業を文字資料で見ただけで、それがどこにあるのかさえ知らない。関係者に会ったこともない。
 もしこの反論に次回があったら(笑)、私の第二のガッカリについても述べたい。それは、小林氏は「これは在特会のような『既得権益バッシング』ではない」と言っていたのに、実は“アイヌがそこまで民族にこだわるのは利権が絡んでいるから”と疑っていると判明したことだ。
 結局、人は誰かの利益のため、自分の利権のためにしか動かない、と小林氏は考えているのだろうか。そうでない人は、その後のブログで私をさかんにそう呼ぶように、「純粋まっすぐ君」として揶揄されてしまう。
 私は、せっかく「日刊SPA!」でサブカルについての連載のチャンスを与えられたりのに放棄していることからもわかるように(笑)、決してまじめな人間でも正義の側の人間でもない。
 ただ世界中で先住民族の文化復興や権利回復が“トレンド”になっている今になって、わざわざ日本で一度、国会決議まで経て「(民族でかつ)先住民族である」と認められたアイヌに対して、「民族ではない!」などと拳を振り上げる人たちがいる、という現状に顔が赤くなるような恥ずかしさを覚えた。「シーッ! ちょ、ちょっと待ってよ、世界の人たちに聞かれたらビックリされるからさ、声に出さないでよ」という感じだ。
 そこには「アイヌたちを守りたい」といった同情やあわれみの気持ちがあるわけではなく、ただただ「あなたの言ってること、ちょっとおかしいから」という小林氏を頂点とする否定論者たちへの抗議だ。
 よく私のところにはツイッターで「あなたはアイヌを救う正義の味方気取りですが、アイヌはみな迷惑しています。そっとしておいてほしいのです」とアイヌの代表者であるかのような意見を言ってくる人がいるのだが、これはピントがずれている。もちろん、結果的に抗議の言論活動がアイヌのためになればうれしいとは思うが、そもそも「アイヌを救うため」にやっているわけではない。アイヌじゃない日本人として、同じくアイヌじゃない日本人の小林氏に「考えを変えてもらえませんかね」と言っているのだ。
 それがなかなかわかってもらえず、アイヌ協会との癒着を疑われるとは、まったくもって「トホホ」としか言いようがない。
 ああ、結局、3日分のブログにしか答えられなかった。
 もしチャンスがあれば、続きはまたということにして、今回はこんなところにしておきます。
文責/香山リカ
― 香山リカ、「アイヌ否定問題」で小林よしのり氏に反論【4】 ―
http://nikkan-spa.jp/819659

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博物館は8000平方メートル規模=アイヌ施設で基本計画案—文化庁

2015-03-22 | アイヌ民族関連
時事通信3月19日(木)18時59分
 アイヌ民族の文化伝承のため北海道白老町に建設する国立の「アイヌ文化博物館(仮称)」の在り方に関する検討委員会は19日、展示面積を約8000平方メートルとし、子供向けなどの各種展示室を整備するなどとする基本計画案を文化庁に提出した。同庁はこれを基に今月中にも整備計画をまとめる。 
http://news.biglobe.ne.jp/domestic/0319/jj_150319_6334540592.html

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熱帯林保全に向けたAPRIL社の誓約 またも実現されず

2015-03-22 | 先住民族関連
ハフィントンポスト- 2015年03月20日 17時14分 JST
インドネシアのスマトラ島を中心に自然の熱帯林を破壊し、紙の生産を行なってきたAPRIL社の原料調達のあり方は、多くの環境・社会問題に取り組んできたNGOや、国際的な組織、企業などによって問題視されてきました。同社は、2014年1月には「持続可能な森林管理方針」を発表するも、その後も自らの誓約とさらにはインドネシアの法律にも反して、自然の熱帯林を破壊し続けていることが、現地NGOの調査によって明らかになっています。誓約の発表から1年が経過し、多くのNGOが改めてAPRIL社に対して破壊活動の停止を求めました。
熱帯林破壊に伴う多くの弊害
かつて豊かな自然の熱帯林に覆われ、多種多様な動植物が生息していたインドネシアのスマトラ島。
世界でも稀にみる生物多様性の宝庫とも言えるこの島の森林は、特に1980年代以降、紙やパームオイルを生産するためのプランテーションとして利用するために急激に減少しています。
自然の森の減少は、その森に住む野生生物の生息地を奪い、生存を脅かすだけはありません。
現地では、森やその周辺で、伝統的に森を利用し、自然の恵みを受けながら生きてきた先住民族や地域住民と企業との争いも深刻化しています。
また、「泥炭地」と呼ばれ、インドネシアに多く存在する、地中に大量の炭素を含む湿地を開発し、その上にある森を皆伐することは、膨大な量の温室効果ガスの排出の要因にもなります。
さらに、こうして開発され、乾燥した泥炭地で起こる火災は、温室効果ガスの排出を加速させ、周辺地域への煙害をもたらしています。
こうした問題の原因となってきた、スマトラ島の製紙産業においては、これまで約200万ヘクタールにもおよぶ自然の熱帯林を、製紙原料や植林地として利用するために破壊してきたAPP社、そして同じく約100万ヘクタールを破壊してきたAPRIL社が、その非持続可能で無秩序な原料調達のあり方をめぐり、多くのNGOや国際機関、企業などに問題視されてきました。
繰り返される「誓約」の真価は?
多くの批判を受け、2013年2月にはAPP社が「森林保護方針」を、2014年2月にはAPRIL社が「持続可能な森林管理方針」を発表し、それぞれの原料調達のあり方を改善させることを誓約しました。
また管理する植林地と同等の面積の土地を保全、森林を回復することも発表。
企業活動の方向性を大きく転換することを約束しました。
しかし、過去にも同様の誓約を発表しては、それを自ら反故にしてきた歴史のあるこの2社が、本当に森の現場において誓約を実行し、具体的な変化をもたらすかどうかについては、今回も疑問視されてきました。
その取り組みを注視してきたWWFをはじめとする現地のNGOは、APRIL社の誓約発表から1年が経った2015年1月29日、同社の取り組みには、なんの変化も認められなかったことを改めて指摘。懸念と見解を示しました。
下記は、方針の発表から1年を経たAPRIL社に対するWWFインドネシアの見解です。
WWFインドネシア:記者発表資料 2015年1月29日
APRIL社の方針発表から1年、実質的な成果はなしとNGOが表明
APRIL社が「持続可能な森林管理方針」を表明してから1年が経過し、インドネシアで森林のモニタリングを行うNGOやその連合体、アイズ・オン・ザ・フォレスト、GAPETAボルネオ、RPHKは、同社に対して自然林皆伐と泥炭地からの排水と木材運搬のための運河開発を即刻中止するように求めた。
アイズ・オン・ザ・フォレストのメンバーで現地NGOジカラハリのコーディネーター、ムスリム・ラシド氏は次のように述べる。「方針表明から1年が経ったが、APRIL社の方針の意義はまったくみられない。誓約と実際の行動は一致せず、これまで通りの操業を続けているだけだ。2011年の時点ですでにAPRIL社は、政府に対し、同社のパルプ工場の生産能力の拡大計画に関して、2014年1月末までに自然の熱帯林に由来する原料を使用しないと伝えている。同社は純粋にこの計画を遂行すればよい」
またWWFインドネシアのアディティヤ・バユナンダは「APRIL社の方針が実行されたとしても実質的な保全効果があるのかは疑問がある。同社が構築した保護価値の高い森林の保護プロセスには依然として欠陥があり、複数のNGOがAPRIL社の自然林皆伐と運河開発は、HCVリソース・ネットワークによる査読付きのアセスメントなしに行われていることを確認している」と言う。
APRIL社は、2011年の環境影響評価に基づいて同社の工場、RAPPのパルプ生産能力を拡大する許可を政府から得ている。この評価報告書には、年間生産能力は、270万トンにまで拡大されるとある。
ラシド氏は「熱帯の自然林に由来する原料の使用をなくす目標年を2019年にまで先延ばしすることは、APRIL社が法的に許可される以上のパルプを生産しているか、同社の製紙用植林地が十分に機能していないことを示唆している。全面的な情報開示が必要だ」とも語る。
加えて、社会的問題についても進捗がみられない。「APRIL社は、長年続くミュニティとの紛争を解消するという誓約を行動に移していない。現地コミュニティによる反対運動は、いくつもの地域で続き、最近も村民15人が、同社が自分たちの土地を開発したことに反対したために投獄されている」と現地NGOのワルヒ・リアウのエグゼクティブ・ディレクター、リコ・クルニアワン氏は言う。
問題を指摘するNGOは、APRIL社が森林を回復させるという誓約をどのように履行するのかが明確になっていなく、ステークホルダーとの協議も行われていないと主張する。同社が宣言した保全プロジェクト、カンパール・ロジェクトとプラウ・パダンプロジェクトについては、未解答の質問も多くある。バユナンダは「APRIL社に対し、50万ヘクタールの森林回復目標に、既に法的保護が義務付けられている地域を含めないよう再度求める。同社は、法で求められる以上に自らが生み出してきた破壊という負の遺産を解消するための対策を取らなければならない」と述べる。
RPHKのシャムスル・ルスディは「APRIL社による『ステークホルダーとの対話』には失望している。東カリマンタンにある同社のサプライヤー、 Adindo Hutani Lestari社が森林破壊を続けている件では、APRIL社は5月に一度、我々と共同の現地検証を行ったが、それで対話は終わってしまった。このサプライヤーは、現在でも政府の規制およびAPRIL社の方針に反して泥炭地にある自然林の皆伐を続けている。しかもここではHCVリソース・ネットワークによる査読付きアセスメントも実施されていない」と述べている。
▼原文:NGOs say APRIL's policy anniversary without real gain
http://www.huffingtonpost.jp/wwf-japan/april_b_6906776.html


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