5月30日(日)の朝のこと、いつものように自宅の近くをウォーキングしていたらMさん(主婦)とばったり会った。家内の早朝(5時ごろ)ウォーキングの仲間である。
「おはようございます」もないままに、いきなり「見ましたか?」の問いが発せられた。
「エッ、何をですか?」と、思わず身構えたところ(笑)、「昨晩の小椋 佳の番組です」
「ああ~、録画しましたよ、後でゆっくり観る積りです」
家内からの情報だろうが、どうやら自分が小椋 佳のファンであることがばれているらしい(笑)。
システム調整のときにしょっちゅう小椋佳の歌を流しているので家内が小耳にはさんでウォーキング中に口を滑らしたようだ。
さて、そのBS番組のタイトルは「もういいかい 小椋佳ファイナル~歌創り50年 青春に帰る」(2021年5月29日21時~22時30分)
この1時間半の番組をじっくり観させてもらった。
番組のハイライトは次のとおり。
◇ 小椋佳が今年で歌手活動から引退。最後のレコーディングに密着。創作の苦悩に迫る
◇ 中村雅俊・吉永小百合・五木ひろしが語る小椋佳の魅力
◇ 寺山修司・井上陽水・山崎育三郎との意外な関係
◇ スペシャルライブ・人生を語る8曲とは。「白い一日」「俺たちの旅」「木戸をあけて」「愛燦燦」「ラピスラズリの涙」「もういいかい」など
◇ 歌創りの原点は青春時代にあり。姿なきヒットメーカー・銀行員時代の知られざるエピソードとは
小椋さんは今年(2021年)で御年77歳だ。
周知のとおり、東京大学法学部をご卒業され一流銀行に勤務する傍ら、作詞、作曲もこなすシンガー・ソングライターとして活躍された。
デヴュー当時から「とても清々しくてええ声やなあ!」と、気に入っていたが、そのうち歌詞の素晴らしさに気付いて「この人は生粋の詩人だね!」に落ち着いた。
この番組の中で「ありきたりの歌詞を使わないようにとずっと腐心してきました」とあったが、心から納得。
若い頃には「自殺願望」があったとかで思わずドキリとしたが、その理由はあの「芥川龍之介」が言ってた「漠然とした不安」だったとのこと。
人生を思索的に、そして真剣に生きようと思ったらそういう不安がつきまとうものなのか・・。いずれにしても鈍感な自分にはまるっきり縁のない話である(笑)。
このところシステム調整でよく聴く曲は「雨が降り時が流れて」(ユーチューブ)
冒頭のベースの膨らみが調整にはもってこいで、パソコンでは絶対に出てこない低音である(笑)。
最後に代表作「シクラメンのかほり」の詩心に富んだ冒頭の一部を掲載して終わりとしよう。
この曲は小椋さんが第一勧業銀行赤坂支店に勤めていた際、取引先の会社で休憩していた時に見た、自身には馴染みのない花であったシクラメンをヒントに思い浮かんだものとのこと。
真綿色した シクラメンほど 清(すが)しいものはない
出逢いの時の 君のようです
ためらいがちに かけた言葉に 驚いたように
ふりむく君に 季節が頬をそめて 過ぎてゆきました ・・・