日常的にブログをやってると、後になって「しまった、あんなことを書かねばよかったのに」と、後悔することがときどきある。
たとえば、ずっと以前に登載した中に我が家の音を「空前絶後の音」なんて表現を使ってしまい、今となってみるとまさに赤面ものである。
部屋の広さが限られている家庭オーディオで「空前絶後の音なんてあってたまるか」。
とはいえ、何もプロの作家ではないんだし、読者もそれほどのハイレベルの表現を期待していないだろうし~、ま、いっか(笑)。
さて、ときどき投稿する「オークション情報」の中で、古典管や高名なトランスの価格高騰に触れたことをご記憶だろうか。
オーディオ人口が減少しているとはいえ、まだまだ熱心な層があるようで心強くなるが、なぜそういう優れた希少品を現代において再生産できないのだろうか。現代の科学技術をもってすれば不可能とも思えないのだが。
たとえば、いつぞやのこと「WE300Bシングルアンプ」の前段管を「71A」から「171」(1920年前後の製造:トリタンフィラメント)に取り換えて試聴したときにオーディオ仲間がつくづく述懐した。
「透明感、一音一音のクリヤーさ、音の粒立ち。素晴らしいですね。たかが前段管如きでこんなに音が変わるもんですか。どうして現代ではこういう真空管を作れないんでしょう?」
「まったくそうなんですよねえ」と、同感の至りだったが、まず、黄金の1920年代とされる当時のアメリカを覗いてみよう。ネットから引用させてもらうと、
「第一次世界大戦の特需にアメリカは大いに沸いた。アメリカ経済は空前の大繁栄をとげ、戦前の債務国から世界最大の債権国に発展した。世界経済の中心はロンドンからニューヨークのウォール街に移った。大衆の生活は大量生産・大量消費の生活様式が確立する。
一般には<黄金の20年代>と呼ばれ自家用車やラジオ、洗濯機、冷蔵庫等の家電製品が普及した。1920年には女性への参政権が与えられるようになった。
ベーブルースによる野球人気やチャップリンの映画、黒人音楽のジャズなどのアメリカ的な文化が開花する礎となった。一方で1919年に制定された禁酒法によってアル・カポネなどのギャングが夜の帝王として街を支配するようになった。」と、ある。
1929年になるとあの有名な「大恐慌」が起きるので「うたかたの夢」だったろうが、アメリカにとっては現代のようにテロや暴動の不安もないし「1920年代」が一番良き時代だったのかもしれない。
そして、当時の活況を呈した時代において家電製品のキーデバイスとなるのが真空管だった。
したがって、その需要に応じて雨後の竹の子のように製造メーカーが乱立し、激しく覇を競った事は想像に難くない。良質の製品はこういう厳しい競争の中から生まれていくのだろう。
そしていい製品を作るメーカーほど、採算に合わなくなって廃業、統合に追い込まれていく例が多いのが古今東西のオーディオ業界の悲しい現実である。
なお、当時の真空管を作る材料は今ほど規制が厳しくなかったので、現代では使用禁止となる「放射性物質」などが含まれたものを拘りなく使用できたらしい。いい製品が出来た理由としてこれも一因のようだ。
真空管のフィラメントをはじめ、トランスのコアにしろ結局はどういう「材料」を使っているかに行きつく。
そして大量生産に移行すると材料の品質を落としてコストを追求し、音質は劣化の一途をたどっていく。お決まりのコースである(笑)。
最後に、現在一番切望するのは「AXIOM80」(口径25cm)の現代版として口径30cmあたりで、何とか同じツクリで再生産できないものだろうか。
もし完成すると「音楽人口」と「オーディオ人口」が増加するとともに社会に豊かな潤いをもたらしてくれると思うのだが。
オーディオに理解のある「IT長者」あたりが道楽の積りでやってくれないかな~(笑)。
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