「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

このスピーカーを譲っていただくわけにはいきませんか

2024年10月23日 | オーディオ談義

このブログを通じて我が家の(オーディオの)最近の「動き」を察知された「YO」さん(岡山)。

「ぜひ聴かせてください」とのことで、日程調整したのがこの21日(月)。この1年半で3回目のご訪問だから、遠路はるばる「ご苦労様です」と同時に、その熱心さにも頭が下がります。

その熱意に応える必要があるので、受け入れ態勢にも余念がなく聴いていただくスピーカーの順番まで決めていたのだが、いざ当日となってみると、予想外の展開になってしまった。

やはり「筋書き通り」には事が運ばない・・、「人生と同じだ」と改めて痛感しましたぞ~(笑)。

さて、当日の模様を振り返ってみよう。

お電話があったのは午前9時過ぎだった。

「現在、別府湾サービスエリアにいます。これからお伺いしてよろしいでしょうか?」「ハイ、どうぞ、お待ちしてます。何時に岡山を出発されましたか?」「午前3時に出発して8時頃に着きました。5時間です、スイスイでした」「昨晩何時に寝られたのですか?」「11時ごろです」「たった4時間しか寝られてないのですか?」「4時間寝れば十分ですよ」

随分、タフな方である(笑)。

10分程度で我が家に到着された。さっそく試聴開始~。



全体で4台のSPを聴いていただく予定で、最初はいちばん右端の「075」ツィーターがポイントのシステム。

もちろん、今回のハイライト「6A3シングルアンプ」(モノ×2台)は4台すべてのシステムで暗躍させるつもりで、今回はウーファー部分(口径25cm)に活用した。

肝心の075はこの「LS7シングルアンプ」で駆動した。



すべて希少な「なす管」で、球の種類の詳述は専門的になるので避けるが、おそらくこの組み合わせは世界中でもこれ1台だけだろう~。つい自慢したくなるのがブログ主の浅はかなところだ(笑)。

で、肝心のお客様の反応はといえば、終盤になって「ちょっと高音域のレベルが高いように感じました」とのことで、以前福岡からお見えになったお客さんからも同じご指摘があった。

我が家では悲しいかな加齢のせいだろうか、どうも高音域のレベルをつい上げてしまうみたい・・、ま、全体的には可もなし不可もなしといったところかな~。

次は、いよいよ本命の「AXIOM80」へと展開する予定だったが、「YO」さんと話をするうちに、本日、ローサー(英国)の「PM6A」をクルマに積んできているとお伺いして、飛び上がらんばかりに驚いた。

「エ~ッ、それは願ってもない機会です!ぜひ、聴かせてください・・」。英国の名門「ローサー」のユニットは強力なマグネットが付いており、再生能力が抜きん出ているのは百も承知。

ずっと以前に所持していたことがあるが「エッジがボロボロ」になり、泣く泣く別の愛好家へと手放したことがある。「タンノイⅢLZ」と「ローサー」は我が長いオーディオの歴史において涙と悔恨の傷跡として深く刻まれている(笑)。



何という典雅な音なんだろう・・、一聴しただけですっかり魅了されてしまった。低音とか高音とか透明感とかが、どうのこうのという音ではない。

とてもバランスが取れていて、家庭で「音」を気にせずに、ひたすら「音楽」に聴き耽るのには絶好のスピーカーであることを改めて思い知らされた。

ユニットもいいけれど、箱のツクリも抜群なのだろう。もちろん「6A3シングル」アンプとの相性は言わずもがなである。



ご覧の通り、ギター用の薄い銘板に取り付られている「PM6A」だが、低音域がふっくらと充実していて、これだとサブウーファーなんか邪魔になるだけである。改めて箱の重要性を思い知らされた・・、今さら~(笑)。

2時間ほど自分の世界に閉じこもって音楽に聴き惚れた。

モーツァルトのヴァイオリン・ソナタ全集(2枚:バロックヴァイオリン)・・、もうお客様なんか そっちのけ なんだからひどい話である(笑)。

とうとう「このスピーカーを譲っていただくわけにはいきませんか、即答されなくて結構です・・、お帰りになるときまでにご返事をいただければ結構ですから」、こんな音を聴かされると黙って引き下がるわけにはいきませぬ・・(笑)。

とはいえ、こういう厚かましいお願いをしたというのも、YOさんはいくつもSPを持っていらして、「PM6A」をメインで聴いておられないとのことだったので申し上げてみたというわけ。

そして、いよいよ興奮冷めやらぬ中を「AXIOM80」の登場・・、これはこれで良かったのだが、「ふっくら感」は「PM6A」の方が一枚上だね~。

「YO」さんは「この音で贅沢を言ったら罰が当たりますよ、むしろ自分からスピーカーの方に寄り添う姿勢が大切ではないでしょうか」

「う~ん、それもそうですけどね・・、PM6Aを聴いた後だとどうしても不満が残りますね~」

すぐに、「AXIOM80」を容れている箱の改造計画が脳裡を駆け巡った。

「PM6A」を容れた箱のように、バッフル、それと対面する後ろ側の板を「4mm」厚ほどにする、当然、補強は必要だろう、そして側面の板厚は従来通り「1.5cm」くらいにする・・。

その後は、うわの空状態のまま「ウェストミンスター+TRIAXIOM」を聴いていただいたが、予想外にも好評だった。

そして、2時半ごろになって「遠方だしぼちぼち・・」、と腰を上げられながら「PM6Aは今日の所は勘弁してください。それにとても故障の多いユニットですし、修繕代も目の玉が飛び出るほど高いです。そうなると申し訳ないですから」

「ハイ、わかりました。」「熱願冷諦」とはこのことだね・・(笑)。

翌日になって「無事帰り着かれましたか?」と、連絡してみたところ「はい、行きと違って帰りは工事中が多くて夜の9時ごろ帰り着きました。結局6時半かかりましたよ。聴かせてもらった音を忘れないうちにと、11時ごろまで我が家の音を確認しました」

「また懲りずにお越しください・・、その気になったらPM6Aをよろしくお願いします。」

というわけで、秋の好日、熱い、熱い試聴会が終わりました(笑)。



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