国立近代美術館でやっているフランシス・ベーコン展を見に行ってきました。
http://bacon.exhn.jp/index.html
ベーコン展を企画された保坂健二郎さんの講演も聞くことができました。
いろんな興味深い話が聞けました。
私はずっとフランシス・ベーコンをドイツ人と勘違いしていました。
アイルランド生まれですが、イギリス人です。
同じ年生まれ、同じ年没の日本人が松本清張です。
同時代の芸術家にピカソやジャコメッティがいます。
ベーコン没後のアジアで初の展覧会です。
今までのベーコンの印象は、リアルに描いてあるわけではないのに
なぜか人体の肉、骨、関節などを感じさせる生々しさがあって、
ちょっと気持ち悪いけど何か魅かれる、という感じでした。
今日、改めて観てみて感じたのは、やはり生々しさもあるけど、
それ以上に肉とか骨とかの奥にある、リアルなもの(生々しさとは
ちょっと違う)です。
人間の表面に見える皮膚とかその下にある肉や骨、軟骨、
でもそういう物質じゃなくて形のないものがその下に透けて見える
という感じでしょうか。
人を見ていて、ふとその人の本質みたいなものを感じることは
ありませんか?
それが現実に見えている顔や体にオーバーラップして
二重に見えているような錯覚を起こしているような感覚です。
フランシス・ベーコンはそれを絵画で表現したのかなと
思えてくるくらい、絵の細部や一部がリアルに迫ってくるのです。
ベーコンが自分の絵にガラスを入れるのを好きだったというのも
何か、うなずける気がします。
もちろんガラスが反射して見にくいこともありますが、ガラスを通して
奥にある絵を見るというのが好きだったんですって。
ベーコンの絵は今オークションで高騰しているそうです。
そうすると絵を借りるための保険料も上がってしまいます。
今回、この展覧会が実現できたのは、最近国家補償制度というのが
できて、主催者側が高い保険料を支払わなくてすむことになった
という経緯があるそうです。