昨日の蒸し暑さから一転、今日は涼しい風の吹く日となりました。本当にこの時期は、何を着ていいのやら分からなくなります。
ところで、今日5月15日はモンテヴェルディの洗礼日です。
クラウディオ・ジョヴァンニ・アントニオ・モンテヴェルディ(1567〜1643)は16世紀から17世紀にかけてのイタリアで作曲家、ヴィオラ・ダ・ガンバ奏者、歌手としてマルチに活躍した人物です。マントヴァ公国の宮廷楽長やヴェネツィアのサン・マルコ寺院の楽長等を歴任し、ヴェネツィア音楽の最も華やかな時代の一つを作り上げました。
モンテヴェルディは1567年に、北イタリアのクレモナに生まれました。1582年と83年には早くも最初のモテットと宗教マドリガーレ、1587年には世俗マドリガーレの最初の曲集を出版し、その直後からクレモナの外での職を探し始めました。
モンテヴェルディは1567年に、北イタリアのクレモナに生まれました。1582年と83年には早くも最初のモテットと宗教マドリガーレ、1587年には世俗マドリガーレの最初の曲集を出版し、その直後からクレモナの外での職を探し始めました。
1590年に、マントヴァ・ゴンザーガ家のヴィンチェンツォ1世の宮廷付きの歌手およびヴィオラ・ダ・ガンバ奏者として仕えはじめ、1602年には宮廷楽長となりました。そして1607年には主君マントヴァ公の命を受けて、謝肉祭の祝祭用として自身の最初のオペラ作品《オルフェオ》を初演しました。
更に、1610年には大規模宗教作品である《聖母マリアの夕べの祈り》を作曲しました。この曲
は出版譜に書かれた音楽の規模がものすごく大きいために、バッハの《ロ短調ミサ曲》と同じように一回の礼拝ですべて演奏することを目的としていたかどうかについては現在でも意見が分かれています。
モンテヴェルディは生涯に18曲のオペラを作曲したと言われていますが、その代表作といえば何と言っても《オルフェオ》でしょう。ギリシャ神話の『オルフェオとエウリディーチェ』を基にした劇的な展開のこのオペラは、脚本としても音楽としても大変斬新なものとなっています。
《オルフェオ》は歴史上2番目に作られた本格的なオペラというだけでなく、恐らく作曲家が各声部への楽器指定をした最初の作品であると考えられていて、その初演時の楽器指定が今日にまで伝わっている最初期の大規模作品の一つとなっています。この《オルフェオ》によってモンテヴェルディは『音楽による劇』という全く新しい音楽の様式を作り上げたと言われていて、また雷の音を表すサンダーシートなどの効果音が世界で初めて作曲家によって使われたという説もあることから『近代オペラの出発点』ともみなされています。
さて、オペラ本編を観るには2時間近くかかるので、今日はその《オルフェオ》の幕開けを飾るファンファーレの音楽を紹介したいと思います。
《オルフェオ》は『トッカータ』と名付けられたファンファーレによって始まります。これは最古のオペラ序曲ともいわれることがありますが、実際の用途としてはこれから劇場でオペラが始まることを観衆に知らせるものであったといわれます。
このファンファーレは、主君ゴンザーガ家の栄光を称える『音の紋章』としての役割も果たしていました。というのも、この当時トランペット奏者を抱えられるのは一部の特権階級のみで、トランペット奏者も宮廷楽団の他の楽器奏者とは身分も給与も扱いが格段に違っていたのです(この『トッカータ』は《聖母マリアの夕べの祈りの冒頭にも合唱付きで使用されています)。
ということでモンテヴェルディの誕生日である今日は、ヴィオラ・ダ・ガンバ奏者でもあるジョルディ・サヴァール指揮による《オルフェオ》のオープニングを飾る『トッカータ』の演奏動画を転載してみました。もしこの華やかな音楽を聴いて興味を持たれたら、是非《オルフェオ》本編も御覧になってみてください。