昨日の雨が上がって、五月晴れとはいかないまでもいいお天気に恵まれました。週間予報も少しだけよさそうな感じですが、本当にそのようになるかはまだ分かりません。
ところで、今日は小学校の音楽の時間にモーツァルトの《アイネ・クライネ・ナハトムジーク》を鑑賞しました。タイトルを聞いただけでは子どもたちの顔に『?』が飛び交っていましたが、いざ曲が流れれば
「あぁ!!」
と一斉に大騒ぎになりました。
《アイネ・クライネ・ナハトムジーク》といえば、モーツァルト晩年期の名作のひとつです。クラシック音楽に全く興味のない人ですら一度演奏が始まれば即座に反応してしまう音楽といえば、恐らくこの曲とバッハの《トッカータとフーガニ短調》とベートーヴェンの《運命》と《第九》くらいではないでしょうか(少々乱暴ですが…)。
楽譜を見てみると分かるのですが、この曲は実によく出来ています。かつて音楽教室の発表会の時に生徒に第1楽章を演奏させたことがあるのですが、特にこの楽章はヴァイオリン中級者が演奏する第3ポジションまでの限られた音域で書かれているので、生徒でも演奏することができたのです。
聴き映えのする音楽を作ろうと思えば、音数を増やしたり音域を広げたりといったことをするものです。しかしモーツァルトは敢えて弦楽器だけのアンサンブルで、しかもそれぞれのパートがそんなに音域を広げることなく重なり合うようにしただけで、これだけの名曲を作り上げてしまったわけです。
冒頭4小節のテーマがユニゾンで始まるというインパクトの強さと、展開部の
「そっちに行くんか〜い!」
という意外な転調、そしてあらぬ方向に転調を繰り返しながらちょっと不安気なユニゾン音階を経てからシレッと元のテーマが再現してくるあたりは、正にクセ強作曲家モーツァルトの真骨頂と言っても過言ではないでしょう。しかし、だからこそこの曲は時代や世代を超えて人々に親しまれているのかも知れません。
ということで、今日は《アイネ・クライネ・ナハトムジーク》の第1楽章の演奏動画を載せてみました。あまりにも耳馴染んでしまっているので気になっていないかも知れませんが、1:35の展開部から2:11の再現部にかけての転調の妙味に耳を傾けてみて、モーツァルト音楽の奥深さを改めて感じていただきたいと思います。