共 結 来 縁 ~ あるヴァイオリン&ヴィオラ講師の戯言 ~

山川異域、風月同天、寄諸仏子、共結来縁…山川の域異れど、風月は同天にあり、諸仏の縁に寄りたる者、来たれる縁を共に結ばむ

今日はリヒャルト・シュトラウス《薔薇の騎士》初演の日〜とんでもない組み合わせの豪華映像

2025年01月26日 17時17分17秒 | 音楽
今日もいい天気になりましたが、私は今日もグダグダしていました。本当に週末毎にこんなんでいいのかと、真剣に悩み始めています…。

ところで、今日1月26日は《薔薇の騎士》がドレスデンで初演された日です。歌劇《薔薇の騎士》(Der Rosenkavalier)作品59は、



リヒャルト・シュトラウス(1864〜1949)の作曲、フーゴ・フォン・ホーフマンスタール(1874〜1929)の台本による3幕物のオペラで、ワーグナー後期のオペラに比肩する長大な作品規模と大掛かりな管弦楽を要する大作です。

シュトラウスとホーフマンスタールは既に歌劇《エレクトラ》を共作していましたが、それは既存の舞台戯曲にシュトラウスが曲をつけただけのものでした。それ故にこの《薔薇の騎士》こそが、シュトラウスとホーフマンスタールのゴールデンコンビによる長年の実り豊かな作品の、実質的に最初の共同作業となりました。

《薔薇の騎士》の作曲は、1909年初めから1910年にかけて行われました。当初はホーフマンスタールの発案で男装の女性歌手を起用した軽い喜劇的な作品として計画されましたが、2人の夥しい数の往復書簡を中心とした議論の末、最終的に現在の形としてまとめられました。

物語の舞台はマリア・テレジア治世下のウィーンに置かれ、ロココの香りを漂わせながら遊戯と真実を対比させた作品として仕上げられました。音楽内容的としては『モーツァルト・オペラ』を目指したもので、プロットが《フィガロの結婚》と似ているのはこのためです。

《薔薇の騎士》の音楽は、これより前に作曲された歌劇《サロメ》や《エレクトラ》で用いられた、部分的には無調音楽ですらあった激しいオーケストレーションや前衛的な和声はすっかり影を潜め、概して親しみやすい平明な作風で書かれています。声楽パートもワーグナー的なドラマティックなものから、モーツァルト的なリリックな歌唱スタイルになっているのが特徴です。

初演は入念なリハーサルの後1911年1月26日、ドレスデン宮廷歌劇場で、エルンスト・フォン・シューフの指揮、ゲオルク・トラーとマックス・ラインハルトの演出により上演され、未曾有ともいえる大成功を収めました。すでに作曲家としての地位を確立していたシュトラウスの新作に対する世間の期待は高く、ウィーンからドレスデンまでの観劇客用特別列車が運行されたほどだったといいます。

ドレスデンでは引き続き50回におよぶ再演が続けられたほか、ベルリン宮廷歌劇場、プラハ歌劇場、バイエルン宮廷歌劇場、ミラノのスカラ座など主要な歌劇場でも立て続けに上演され、いずれも好評をもって迎えられました。《サロメ》や《エレクトラ》など、それまでのシュトラウスの前衛的な作風に好意を示していた批評家や作曲家たちからは「時代遅れ大衆迎合的」だと批判されたりもしましたが、聴衆からの支持は絶大で、今日ではシュトラウスの代表作と見なされているばかりか、ドイツ圏の主要歌劇場や音楽祭において最も重要なレパートリーの一つに数えられています。

何しろ3時間かかるオペラですから、あらすじ云々は割愛させていただきます。なので今回は、有名なフィナーレの三重唱をご紹介しようと思います。

美しい新興貴族の娘ゾフィーを好色なオックス男爵から守るべく、オクタヴィアン伯爵と元帥夫人が一計を案じてやりこめるための茶番劇をしかけます。しかし、打ち合わせになかった元帥夫人自身の登場で場面が混乱する中、元帥夫人・オクタヴィアン・ゾフィーそれぞれの思いが交錯し、元帥夫人は若い2人の恋路を目の当たりにして静かに身を引いていきます。

この場面を観ていると、個人的に元帥夫人に感情移入してしまいます。こんな恋愛をした経験は1ミクロンもありませんが、若い2人を残して去っていく元帥夫人の背中に、言いようのない哀しさを感じずにはいられません。

そんなわけで、今日は歌劇《薔薇の騎士》からフィナーレの三重唱をお聴きいただきたいと思います。エリザベート・シュヴァルツコプフの元帥夫人、セーナ・ユリナッチのオクタヴィアン、アンネリーゼ・ローテンベルガーのゾフィーという豪華な配役、ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮、ウィーン国立歌劇場管弦楽団の演奏による1962年のオペラ映画で、リヒャルト・シュトラウスの美しい音楽と20世紀を代表する名歌手たちの歌唱でお楽しみください。


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