昨日までの《小田原えっさホイおどり》のボランティア活動の疲れを受けて、今日は全く使い物にならない状態でした。普段は思わないのですが、今日が敬老の日のハッピーマンデーで本当によかったと思います…。
さて、そんなグダグダした状況でも何とかブログを更新しようと思ったのですが、9月18日で調べてもこれといったトピックはありませんでした。なので今日は変則的ですが、昨日あったことを遡ってご紹介しようと思います。
昨日9月17日は、バッハのカンタータ《全地よ、神に向かいて歓呼せよ》が初演された日でした。カンタータ第51番《全地よ、神に向かいて歓呼せよ (Jauchzet Gott in allen Landen)》 は、
ヨハン・セバスティアン・バッハ(1685〜1750)が作曲した全5曲から構成される教会カンタータです。
カンタータ《全地よ、神に向かいて歓呼せよ》BWV51は1730年にライプツィヒで作曲された作品で、同年の9月17日に、ライプツィヒで初演されました。自筆の楽譜には
「三位一体節後第15日曜日、及びあらゆる全ての機会に」
と記されていることから、特定の日曜日だけでなく他の目的でも演奏されたと考えられています。
作曲当時、女性歌手は教会で歌うことを禁じられていたため、このカンタータも男声の高音歌手(ソプラニスタ)のために書かれたものとされているのですが、ソプラノの歌唱が高い音域(2点ハ音まで)が技巧的に要求されるので、現在のソプラノ歌手にとっても難曲とされています。またトランペットも華やかに活躍しますが、このパートは当時ライプツィヒで有名だった楽士ゴットフリート・ライヒェ(1667〜1734)が初演時に担当したものと考えられています。
バッハの曲には協奏曲の形式をカンタータに応用した曲がありますが、この作品はその代表的なもので、特に第1曲はソプラノ・トランペット・ヴァイオリンのための三重協奏曲のような趣きすらあります。そのような華やかさと、中間楽章の叙情性とが見事な陰影を作るこの曲は、バッハのカンタータの中でも特に個性的なものです。
この曲は何といってもソプラノの歌唱が聞き所ですが、高い音域と高い技術が要求され、しかも約20分歌いっぱなしということで、ソプラノにとっては大変な曲です。ソプラノ独唱用カンタータとしては《わが心は血の海に漂う》BWV199や《しりぞけ、もの悲しき影(結婚カンタータ)》BWV202等と並んで、バッハのソロ・カンタータの人気の高い作品となっています。
また、バロックトランペットによるソロも聴きものです。音の細かいパッセージをソプラノと丁々発止にわたり合う様は、初演を務めたライヒェが如何に名手であったかを物語っています。
そんなわけで今日は、正確には昨日9月17日に初演されたバッハのカンタータ《全地よ、神に向かいて歓呼せよ》をお聴きいただきたいと思います。マリア・ケオハネのソプラノ、セバスティアン・フィルポットのトランペットソロによる、ヨーロピアン・ユニオン・バロック・オーケストラの演奏でお楽しみください。