共 結 来 縁 ~ あるヴァイオリン&ヴィオラ講師の戯言 ~

山川異域、風月同天、寄諸仏子、共結来縁…山川の域異れど、風月は同天にあり、諸仏の縁に寄りたる者、来たれる縁を共に結ばむ

今日はアレッサンドロ・マルチェッロの誕生日〜バッハも魅了された《オーボエ協奏曲ニ短調》

2023年08月24日 17時22分17秒 | 音楽
今日は朝から狐の嫁入りが繰り返される、妙な天候となりました。張れる度に降った雨が蒸発するので、いつまで経っても湿度が高いままの状態が続いていました。

ところで、今日8月24日はアレッサンドロ・マルチェッロの誕生日です。



アレッサンドロ・イニャツィオ・マルチェッロ(1669〜1747)は、作曲家の他に数学者や哲学者として多分野にわたって活躍した人物です。

イタリア・ヴェネツィアの貴族の家に生まれたアレッサンドロ・マルチェッロは、「エテーリオ・スティンファーリコ Eterio Stinfalico」というペンネームを用いて《12のカンタータ》作品1のほか、数冊のコンチェルト集を出版しました。今日ではその作品は滅多に演奏されなくなっていますが、生前のアレッサンドロは卓越した作曲家として、また楽器蒐集家としても著名でした。

アレッサンドロ・マルチェッロの代表作といえば、何と言ってもオーボエ協奏曲 です。《オーボエと弦楽合奏のための協奏曲 ニ短調》は、1700年代初頭の作品です。

この協奏曲はマルチェッロの最も有名な作品であり、また西洋音楽史上に数多あるオーボエ協奏曲の中でも特に有名な作品の一つとなっています。かつてこの曲はアレッサンドロの弟のベネデット・マルチェッロ(1686〜1739)やアントニオ・ヴィヴァルディ(1678〜1741)の作品と誤って伝えられてきたこともありましたが、現在ではアレッサンドロ・マルチェッロが真の作者であることが知られています。

第1楽章はアンダンテ・エ・スピカート。
低音を欠いた弦楽器のユニゾンに導かれてオーボエが優美なメロディを奏で、このやり取りが交互の演奏されることによって曲は進行していきます。低音を欠く弦楽合奏に先導されることによってキビキビとした中にも軽やかさを内包した音楽となり、最後は弦楽器のユニゾンで堂々と終わります。

第2楽章はアダージョ。さざ波のような弦楽器の伴奏に乗って、オーボエという楽器の特性を十分に活かした哀愁を帯びたメロディが展開していきます。ここでもオーボエソロの伴奏では通奏低音が沈黙し、そのことによってニ短調という調性に漂う独特の重さを軽減することに成功しています。

第3楽章はプレスト。オーボエソロで始まり、ところどころで哀愁を漂わせた旋律が軽快なテンポで駆け抜けていきます。弦楽合奏も華やかに展開していき、颯爽と全曲を閉じます。

この曲は、後にバッハによって《チェンバロ協奏曲BWV974》(チェンバロ独奏用)に編曲されました。また、第2楽章が1970年公開のイタリア映画『ベニスの愛』のラストシーンで主人公が演奏する曲として使われ、単独で脚光を浴びるようになりました。

そんなわけで、アレッサンドロ・マルチェッロの誕生日てある今日は、彼の代表作《オーボエと弦楽合奏のための協奏曲 ニ短調》をお聴きいただきたいと思います。マルセル・ポンセールのバロックオーボエソロと指揮による、イル・ジャルディーノ・アルモニコの演奏でお楽しみください。



コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 慶應義塾高校107年ぶりの甲子... | トップ | 残念な祭り『厚木JAZZ NIGHT』 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。