今日も今日とて、凄まじい暑さとなりました。こういう時は涼しい部屋に引き籠もって、テレビで高校野球を観戦するに限ります。
ところで、今日8月11日は山の日でもありますが、古関裕而の誕生日でもあります。
古関裕而(1909〜1989年)は日本の作曲家で、本名は読み方は同じ古關勇治です。NHK朝の連続テレビ小説『エール』ですっかり御馴染みとなった感がありますが、古関裕而の作品は気品ある格式高い曲風で知られていて、生涯で5000にも及ぶ曲を作曲したといわれています。
福島に生まれた古関裕而は、幼少期より音楽と作曲活動に親しんていました。1929年に国際現代音楽協会主催現代音楽祭作品公募のイギリス支部推薦作品として自身の作品がノミネートされたのを機会に、山田耕筰の推挙で東京の楽壇に進出することになりました。
その後、クラシック畑からポピュラー畑に転身すると数多くの流行歌や歌謡曲、映画音楽、軍歌の作曲を手掛けました。戦後は、ラジオドラマ「鐘の鳴る丘」の主題歌『とんがり帽子』や、二葉あき子の『フランチェスカの鐘』、藤山一郎の『長崎の鐘』、伊藤久男の『イヨマンテの夜』、織井茂子の『君の名は』、岡本敦郎の『高原列車は行く』といった作品のほか、数多くの大ヒット曲を生み出しました。
他方で、母校である福島商業高等学校の校歌『若きこころ』を始めとして、北海道から九州に渡る多数の学校の校歌を作曲しています。更に
早稲田大学第一応援歌
『紺碧の空』
慶應義塾大学応援歌
『我ぞ覇者』
中央大学応援歌
『あゝ中央の若き日に』
東京農業大学応援歌
『カレッジソング』
名城大学応援歌
『真澄の空に』
三重県立四日市高等学校応援歌
『希望の門』
といった応援歌や、
阪神タイガースの球団歌
『大阪(阪神)タイガースの歌(六甲おろし)』
読売ジャイアンツの球団歌
『巨人軍の歌(闘魂こめて)』
中日ドラゴンズの旧球団歌
『ドラゴンズの歌(青雲たかく)』
といったプロ野球球団歌も手がけました。
ただ、これだけスポーツに関わる作品を作り出したものの古関本人はスポーツが苦手だったようです。プロ野球にもあまり興味がなかったために球団関係を気にすることなく作曲を引き受けた結果、敵対するチームだろうがお構いなしに球団歌を作ることになったようです(笑)。
この他にも
1964年東京五輪の選手団入場行進曲
『オリンピック・マーチ』
NHKスポーツ中継テーマ
『スポーツショー行進曲』
など行進曲の分野でも数多の作曲を手がけたことから『和製スーザ』とも呼ばれていました。そんな中から8月半ばの古関裕而の誕生日に相応しい作品といえば、何と言っても全国高等学校野球選手権大会の大会歌『栄冠は君に輝く』ではないでしょうか。
『栄冠は君に輝く』は加賀大介が作詞、古関裕而が作曲した歌・行進曲で、「全国高等学校野球大会の歌」という題名で1948年に発表されました。それから74年後の現在でも高校野球のテレビ中継で使用され、高校球児たちの熱闘する姿と分かち難く私達の心に印象付けられています。
そんなわけで、今日は『栄冠は君に輝く』の演奏動画をお楽しみいただきたいと思います。来年百周年を迎える甲子園球場で、連日熱戦を繰り広げている高校球児たちに思いを馳せながらお聴きください。