秋は名のみの風の暑さや…今日も7時台から30℃を超えるような暑さとなりました。言われなくてもマメに水分補給をしていないと、室内にいても気分が悪くなりそうです…(;´Д`)。
ところで、今日8月10日は
モーツァルトの交響曲第41番ハ長調《ジュピター》が完成した日です。上のスコアにも1788年の8月10日に完成したことが記されていて、同じ年に作曲された第39番(6月26日)、第40番(7月25日)とともに『モーツァルト後期3大交響曲』と呼ばれていますが、他の2曲同様に作曲の目的や初演の日時は不明のままです(第40番だけは生前に演奏された可能性がありますが、モーツァルト自身が演奏を聴いたという確たる証拠はありません)。
この交響曲はローマ神話の最高神ユーピテルにちなんで『ジュピター』のニックネームを持っていますが、これは同時代の興行師ヨハン・ペーター・ザロモン(1745〜1815)が名付けたとヴィンセント・ノヴェロ(1781〜1861)の『モーツァルト巡礼』の中で紹介されています。この作品のスケールの大きさや輝かしく荘厳な曲想から付けられた通称として、このニックネームは19世紀半ばにはすでに広く知れ渡っていたと考えられていますが、標題的な具体的意味合いはありません。
力強いユニゾンで堂々と始まる第1楽章や、柔らかなメロディに細かく駆け巡る音形が印象的な第2楽章、半音階下降音形が一度聴いたら忘れられない第3楽章と魅力満載の《ジュピター》ですが、何と言っても圧巻は複雑な構造をもつ第4楽章です。
この楽章の特徴は第1ヴァイオリンによって奏される
『ドーレーファーミー』という、俗に言う『ジュピター音形』と呼ばれるテーマです。このテーマを始めとして実に4つの音形が第4楽章に登場し、それぞれが複雑に絡み合ってフーガを形成していくのですが、特に終結部であるコーダの部分になると
こんな感じで4つの音形が絡みまくっていきます。
私も《ジュピター》を演奏したことがあるのですが、何しろ第4楽章は様々なテーマが複雑に絡み合っていて楽譜を見失ったら戻って来られなくなりそうなので、当たり前ですが演奏中は一瞬たりとも気が抜けません。楽しんで弾けるようになるまで大変でしたが、様子が分かってくると宇宙の如く複雑な世界観の一端を担っていることが堪らなく快感になってきます。
そんなわけで、今日はモーツァルトの名作交響曲《ジュピター》をお聴きいただきたいと思います。フランス・ブリュッヘン指揮による、18世紀オーケストラのライブ映像でお楽しみください。