今日も春のような陽気となりました。しかし、私は大人しく一日中自宅に籠ってソーシャルディスタンスを図っておりました。
はたして私だけがこんなことをしていてどうなるものかと思ったりもするのですが、それでもやらないよりはまだマシでしょう。
今日はひたすらあてど無い練習をしたり、部屋の片付けをしたりしていました。そして一通りやることを済ませてから、久々にレコードをひっぱり出して聴いてみることにしました。
何にしようかな…と思ったのですが、こんなお天気のいい日にはバッハが聴きたくなったので
チェンバロ協奏曲のレコードを聴くことにしました。これは確か、私が小学6年生の時に小遣いをチマチマと貯めて買ったものだと思います。
幼少期、祖父の家でヴィヴァルディやバッハのレコードを聴いていて、合奏の後ろから聞こえるチェンバロの音色に興味が湧いていました。ピアノとは全く違ったあのキラキラした音色に、子ども心にものすごく惹かれていたのです。
そんな中、FMラジオから流れてきたバッハのチェンバロ協奏曲が気になって、少ない小遣いをせっせと貯めて駅前のレコード屋で買ってきたのが上のLPレコードです。その当時はよく分かっていなかったでしょうが、私が購入したのはなんとドイツバロック音楽界の巨匠カール・リヒターのものでした。
子どもながら随分と渋いものを買ったものだなと思いますが、恐らく当時は他に選択肢が無かったのではないかと思います。昭和時代の小学生にとって3千円もするLPレコードは高嶺の花でしたから、かなり苦労したことだけは覚えています。
ところで、このLPレコードのメインに収録されている名曲『チェンバロ協奏曲第1番 ニ短調』も勿論素晴らしいのですが、個人的にハマったのがB面に収録されている『2台のチェンバロのための協奏曲 ハ短調』でした。
この曲は元々『オーボエとヴァイオリンのための協奏曲 ニ短調』という今では楽譜が失われてしまった作品を基に、バッハ自身の手によってチェンバロ2台用に編曲されたものです。第1楽章の華やかなメロディに始まって、優美なバルカローレ(舟歌)調の第2楽章、力強いユニゾンから綾織のように繰り出される第3楽章と、どこを取っても飽きることのない素晴らしい音楽が展開されていく名曲です。
近年ではこの曲を基にして、オリジナルと言われている『オーボエとヴァイオリンのための協奏曲』が復刻されています。勿論それも魅力的な曲なのですが、私はこちらの2台チェンバロ版の方が断然好みです。
私がゴチャゴチャ言うより聴いて頂いた方が早いと思いますので、同じ音源の動画を転載してみました。カール・リヒターとヘドヴィヒ・ビルグラムとのソロ、ミュンヘン・バッハ管弦楽団との組み合わせによる、きらびやかな世界を御堪能ください。