散り際に精一杯装ったあと
植物たちは静かにいっときの眠りに入ります。
地上は今までの華々しさと違って今度はモノクロの世界
密やかな花たちがさりげなく姿を見せてくれます。
全部が黄色くなる前の青い葉も見られるイチョウ、
これくらいが一番きれいなときかもしれない。
これ以上赤くなれないほど赤くなったハゼの葉、
今まで生きてきた証をこの色に変えて散っていくのでしょう。
キキョウがまだ残っていました、
草むらに埋もれながら朝日を浴びて輝いている姿は健気です。
暗い木陰でほんのりと咲くサザンカ、
ここでは陽の光を浴びることなく散ってしまうのでしょうか。
草むらにリンドウが、ここにも陽が当たりません
「もっと光を」、咲くに咲けないリンドウの花。
大きな木に小さな花、コブクザクラ(子福桜)です、
花一輪につき2~3個のサクランボがなるという、これを子宝に恵まれたものとして「子福桜」と。
ヒイラギの花。
そもそも日陰にトゲのある葉を茂らせているヒイラギ、よく見ると白く小さな花が。
老木になるとこのトゲがなくなり葉も丸くなる、
「角(かど)がとれる」、ということでしょうか。
それを人生になぞらえる向きもあるようです。
枯芙蓉(かれふよう)。フヨウの花が枯れた後、枝先に毛に覆われた球形の実をつける。
とても風情があり趣きのある姿が観賞用にも愛でられ、
俳句では冬の季語になっています。
「芙蓉枯れ 枯るるもの枯れつくしたり」 富安風生
「枯」と言う言葉が三か所に表現されていてその情景が浮んできます。
ものみな枯れてしまう季節、
でもそれは新しく生まれ変わるための季節でもあります。
data:EOS70D/EF70-200 1:2.8。 撮影 11月 8日 向島百花園