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青い空

 塾の授業中、私立中受験生の小6の女の子が、「大気があるから空が青く見えるとこの問題の解説には書いてあるんですけど、どうしてですか?」と質問した。私は一瞬たじろいで、「う~ん、何でだろうな・・。海が青いのは青い空を反射しているからだって聞いたことはあるけど、空が青い理由か・・分らないなあ」とかなりしどろもどろになってしまったが、「プリズムって知ってる?多分光が空気の層に当たると、光の中の青い物だけが、見えるようになるんじゃないかなあ、勘だけど・・」とお茶を濁してしまった。 
 愛知県の私立中学入試は先週末から始まっている。その女の子も土・日で2校受験してきたが、今週末・来週末とあと3校試験が残っている。私の塾では一番成績がいい子であるだけに、質問の内容も高度だ。「なぜ空は青いのか」などという問題が入試に出ることなどありえないが、好奇心の芽を私が摘み取ってしまうのは許されることではない。ちゃんとした答えを出そうとあれこれ調べて、私なりに簡単にまとめてみた。
 太陽の光は見かけは白い光だが、もともとは七色の光(赤・オレンジ・黄・緑・青・紺・紫)でできた平行光線である。これが空気中の水滴などに当たったりすると屈折する。波長の長い赤はあまり屈折しないが、波長の短い青はよく屈折する。地球の大気中を通ってくるときに青はよく曲がるのでまっすぐ地面に届かずに空気中に散乱してしまう。それで空を見上げると散乱した青い光が四方八方から目に入って来るようになる。空全体が青く見えるのはこのためである。   
 こういった問題を解決するには、何よりも「情報」と「知識」が必要であるが、それだけでは解決できない問題も数多くある。そうした問題を解決しようとするならば、上の2つに「知恵」が加わらねばならない。それは自分の集めた「情報」と「知識」を吟味し、咀嚼し、さらに消化吸収した上で、自らの考えを導き出す作業のことであり、「思考」と言い換えてもいいだろう。これに関してフランスのジャン・ギットンという哲学者・神学者が興味深いことを自著「新しい思考術」の中で述べている。彼は、何よりも考えることの大切さを説き、思考を助ける3つの言葉を提唱している。それによれば、
 まず自分があることを考える。そして「これに対してある人は」という第一の言葉を唱えてみる。それによって、思考の中に反対論が入ってくる(無論それも自分で考えるのだが)。次に第二の言葉「なるほど」を言って、いったん他の人の考えを受け入れてみる。さらに思いをめぐらし発展させた上で、「しかし」という第三の言葉を使って、その問題について自分の判定を下す。 
 「あなたがたが思い浮かべた観念に、この形式を当てはめてみなさい。そうすれば、たぶん思考が生じるだろう」とギットンは述べている。 では、ギットンの言葉を信じて以下に試してみようと思う。
 「今年のヤンキースは果たして優勝できるだろうか?これに対して多くの人達がレッドソックスが有利だと言っている。なるほど松坂大輔が加わって先発ローテーションはかなり強力になった。攻撃陣は元々破壊力抜群なチームだけに、選手にケガさえなければ、相当の強敵である。しかし、ヤンキースには松井秀喜がいる。昨年は左手首の骨折のため、シーズンの大半を棒に振ってしまった。その松井が「今年こそは!」と静かな闘志をふつふつと滾らせている。必ず松井が鬼神のごとき働きをしてレッドソックスを打ち負かしてくれるだろう。したがってヤンキースの優勝は間違いない!」

 などと、青い空からヤンキースの優勝宣言まで、私の心もかなり乱反射しているようだ。

 

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