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山笑う(2)

 ちょうど一年前に「山笑う」という記事を書いた。晴れ渡って新緑がまぶしい日に書いたものだが、その中で次の写真とともにひとつの疑問を投げかけていた。


 『白っぽく見えるのは花粉が付いている樹木だろうか、それとも白い花が咲いているからなのだろうか。今、家の近くの道路わきにはニセアカシアの花が咲き乱れているが、それとはどうも違う。一体なんだろう。』

 今年も市の郊外を車で走っていると、山の斜面がぼーっと薄黄色に浮かび上がっているのが見えるようになってきた。去年と同じように「何だろう?」と思いながら眺めていたが、先日お千代保稲荷へ参拝した帰り道にその答えらしき物が見つかった。以下にそのときの様子を記す・・。

妻「山のあの薄黄色は何の色なのか、伯母さん分かる?」
伯母「何だろう?」
妻「栗かな?」
伯母「栗はまだちょっと早いと思うよ」
妻「何だろうねえ・・」
・・・・・・・・・・・・・・
伯母「あそこ、あそこに一本生えてるよ」
妻「本当だ。あそこなら車で行けるよねえ?」
私「たぶん行ける」
そう言いながら細い道を車でたどって行ったら、何とかすぐ近くにまで行くことができた。
 そこは小さな神社だった。こんな神社があるなんて今まで知らなかった。

 

 妻が「これだよね、きっと」と言って車を降りたのに続いて私と伯母もおりた。なんだか、栗のような銀杏のような不思議な香りが周囲に立ち込めている。「変な匂い・・」と妻が言いながら、神社のほうへ歩いて行った。すると手招きしながら私に叫んだ。「ここにこの木の説明があるよ」と立て看板を指差した。「ほうっ!」と声を立てながら近づいていった私は、説明を読んでみた。

 『マルバタラヨウ  市指定天然記念物』
 この木はモチノキとタラヨウの雑種で平成8年に新種として学会に報告された。
 モチノキとタラヨウはいずれもモチノキ科に属する常緑樹である。雄木と雌木があり、モチノキは4月中旬、タラヨウは5月中旬ころ開花する。
 マルバタラヨウはタラヨウに類似するが、小枝が細く、葉は短く、葉の周辺の鋸歯が緩やかである点が異なっており、モチノキとは葉が大きく、葉の周囲が鋸歯状になる点で異なっている。
 タラヨウは本来雑種が非常にできにくい種であり、自然の状態で交配し雑種ができたのが確認されたのは、このマルバタラヨウが初めてである。国内はもとより世界的にも例をみず、極めて貴重な木である。

 なるほど・・。この説明どおりに雑種ができにくいのなら、山で開花している木が全てマルバタラヨウだとは考えにくい。でも、薄黄色の花の感じが遠目ながらもこのマルバタラヨウの花と酷似しているし、開花した時期から考えてみても、山の木がタラヨウの仲間であることは間違いないように思う。と言っても、まったくの素人考えだから当てにはならない。だが、一つ賢くなったような気がして気分がいい。

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