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サザン

 サザンオールスターズが無期限の活動休止を発表した。このブログで何度か書いたことがあるように、私はサザンのファンだ。いくら近年は彼らの曲を聴くことが少なくなったとは言え、こうした発表を聞いて何も反応しないわけにはいかない。ファンの印を残そうというつもりはないが、少しばかり思ったことを書き留めておこうと思う。
 サザンは、今年でデビュー30周年になるから、私が大学生だった頃からの付き合いということになる。とは言え、彼らが出すアルバムを忘れずに買っていたのは1990年に発表された9番目のアルバム「Southern All Stars」までだったように思う。私がサザンの曲を車の中で絶えず聴いていたのもその頃までかもしれない。それ以後は、売れるのを狙ったような曲が多くて、なかなか聞く気が起こらなかった。あの、300万枚を売り上げたといわれる「TSUNAMI」なども、まともに最後まで聞いたことは一度もない。「サザンは初期の曲がいいよ」などと聞いた風な口をきくつもりはないが、サザンが世に出た頃のサウンドが余りに強烈な印象を私に与えたので、いつまでたってもその呪縛から抜け出せないのかもしれない。
 だが、「歌は世につれ世は歌につれ」という名言が示すように、歌は時代を映す鏡であろう。その時代の空気を的確に表現した歌は聴く者の心をかきむしる。時代の空気という曖昧模糊としたものを敏感に感じ取ることができるのは若い世代だ。私がずっと買い続けているディアゴスティーニの「青春のうた」に収められている曲は、そのほとんどが当時若者だった者が作り、歌ったものばかりある。時代の流れを体現する若者たちが作った歌を、多くの若者たちが聴いて心を震わせる、そうしたことを繰り返してきたのが音楽の歴史ではないだろうか。
 勿論年長者がマーケッティング調査をした上で若者向けに作った曲もあるだろうが、そんな恣意的な曲は早晩消えていってしまう。そういう意味では、「TSUNAMI」のヒットは長年売れる曲作りを続けてきた桑田佳祐のすごさを物語るものと言えるだろう。昔からのサザンファンのうち、どれだけがこの曲を支持したのか分からないが、サザンを知らぬ世代に訴えかける何かが「TSUNAMI」の中にはきっとあったのだろう。残念なことに、それを私は感じ取れないが・・。
 30周年を記念して、サザンとしては久しぶりのシングルが夏に発売されるという。果たしてどんな曲なのだろう、楽しみだ・・。とは書いたものの、正直言えば、さほどではない。たとえどんなに素敵な曲であっても、もう私の心に深く響くことはないような気がする。サザンという名で発表される曲は、どうしたって今まで彼らが長年培ってきたものから逸脱することはできないだろう。それはビッグバンドになってしまったサザンの宿命のようなもので、多くのファンの期待を裏切るわけには行かない。ひょっとしたら、今回の活動休止宣言も、こうした足枷からもういい加減に脱け出したい、もっと自由な発想ができるようになりたい、そうした思いが募った結果なのではないだろうか。勝手にそんな妄想を膨らませている・・。

 昔を懐かしむつもりもないし、美化するつもりもない。でも、サザンがまだ若かった頃の曲はやはり素晴らしい。「Ya Ya (あの時代<とき>を忘れない)」が私にとってサザンのベストであるが、その他にも好きな初期の曲はいくらでも挙げることができる。その中でも、サザンの30周年を私なりにお祝いするつもりで、「シャ・ラ・ラ」の映像を YouTube から載せておく。 初期のサザンのコンサートツアーではラストを飾る重要なレパートリーとされたらしいが、桑田と原由子のデュエットが泣かせる。そういえば、ドラマ「ふぞろいの林檎たち」の中でもよく流れていた。印象深い一曲だ。

   何するにせよ そっと耳元で語ろう
   例えば言葉が無くても心は 
   不思議な期待などもてるこのごろ
   Let me try to be back to this place anyday
   Let me try to be back to this place anyday
 



   
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