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「パンドラ」

 WOWOW初の連続ドラマとして放送されている「パンドラ」が今度の日曜・25日で最終回を迎える。私は妻が録画したものを1回目から見ているが、地上波のジャニーズ系をとっかえひっかえして作る安手のドラマとは比べ物にならないほど、ストーリーはしっかりしているし、実力を持った役者ばかりが出演しているので、実に見応えのあるドラマとなっている。
 ストーリーは、三上博扮する鈴木医師が18年の歳月をかけてたった一人で開発したがん治療薬「パンドラ」をめぐって、様々な人間が自分の思惑・欲望にしたがって右往左往する有様をリアルに描いている。「ヒトデの中にある抗がん物質を抽出し、それを人間の風邪のウイルスに注入して、全身を巡らせることによってがん細胞を死滅させる」という人類待望の新薬を開発した鈴木医師の周りには、地位や名誉や金銭欲に駆られた者たちが、その新薬を我が物にせんと集まる。それは、まるでパンドラの箱を開けたときのように、人間の想像しうる災厄が一斉に彼を襲ってくる。最初はただひたすら己の研究の成就に全霊を傾けていた鈴木医師が、欲望むき出しの周りの人間に煽られて、今まで己をないがしろにしてきた者たちへ鬱憤晴らしをしていくようになる変化を、三上博が鬼気迫る形相で演じたのには驚いた。人間は状況に応じて如何様にも変わるものだ、そんな思いを深くした。
 新薬開発の周辺で発生した犯罪調査に携わる刑事役の柳葉敏郎も、冴えない風貌ながらも悪を見逃さない確固とした信念を持った役どころを、地味ながら好演している。従来のピシッとしたイメージから外れているが、渋さが滲み出始めたギバちゃんもなかなかいい。
 他にも医薬関係の新聞記者役の山本耕史、医学部長役の國村隼、病院理事役の平田満、厚生労働大臣役の小野武彦など、誰もが重厚な演技をしていて、どの場面をとっても見応えがある。席を立つのもままならないほどの緊張した場面の連続で、1時間の放送時間があっという間に過ぎてしまう。久しぶりに次回の放送が待ち遠しくなるドラマだ。
 見所満載のこのドラマの中でも、私が今一番注目しているのは、官房副長官役で出演している女優・余貴美子だ。第4話からの登場だが、元アナウンサーで総理大臣の側近という役どころは元防衛大臣・小池百合子女史を連想させ、野心あふれたいやらしさを好演している。


 彼女は、NHKの大河ドラマ「篤姫」に島津斉彬の正室・英姫として出演していた。顔の痘痕を隠すために目から下を薄絹で覆っていたため、余美貴子の顔はよく分からなかったが、その独特な台詞回しと目の力強さは、私の印象に強く残った。それまで、彼女の名前は知っていたが、さほど詳しくはなかったので Wikipedia で調べてみた。

 「余貴美子(よきみこ 1956年5月12日)は、日本の女優。神奈川県横浜市中区出身(東京都や神戸市にも一時期暮らしていた)。所属事務所はアルファーエージェンシー。血液型はB型。台湾出身の父と日本人の母のハーフ。趣味は民謡、三線、タップ。好物は塩むすび。范文雀はいとこ。2006年3月に2歳年下のNHK美術スタッフと結婚。

 年齢は私よりも2歳上だ。熟女という括りで語っていいものかどうか分からないが、「落ち着いた大人の女性」の魅力があふれ出ている。名前から中国系なのかなとは思っていたが、范文雀のいとこだとはまったく知らなかった。彼女が亡くなったのは2002年だからもう6年近くなる。私にとっての范文雀といえばやはり、「サインはV」でのジュン・サンダース役だが、「探偵物語」で松田優作と共演したのも忘れられない・・。

 などと思い出話にふけっているわけには行かない。日曜夜10時から「パンドラ」最終回は絶対に見落とせない。日曜は大相撲の千秋楽もあり、なかなか楽しみな一日になりそうだ。飲みすぎてTVの前で寝込んでしまわないように注意しよう! 



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