本日は春闘の集中回答日でしたが、ほとんどの大手企業で労働組合の要求に対する満額回答が出て、中には満額以上の回答があったりと、それ自体良いことではあります。まず大手がそうならないと中小企業もその見込みすらないわけですから。
それと昨日、参議院の予算委員会で中央公聴会が開かれ、自民党推薦で立教大学経済学部教授の首藤若菜氏、立憲民主党と社民党の2党推薦で東京大学名誉教授の大沢真理氏がそれぞれ出席されました。
このニュース、NHKニュースでも取り上げられていて、
よくよくちゃんと聞いていたら、自民党推薦で出席した首藤氏が「中小企業に賃上げを広げるために労働組合の組織率を向上させることが必要」と意見を述べられており、一瞬びっくりしました。
「自民党推薦で、そんなこと言っちゃうんだ」
でも、さらによくよくちゃんと考えてみたら、首藤氏は以前NHKの「日曜討論」でもベテランの国会議員さんを目の前にして、毅然として自分の意見を仰っていて胸のすく想いをしたことがあり、そんな首藤氏が自民党の推薦で公聴会に出ていること自体がそもそもびっくりでした。
実際に、大沢氏も含めどんな意見を仰っていたかは、上のNHKの記事にある動画を観ていただくか、下記の参議院から生中継されていた動画をご覧ください。7時間以上ありますが、お二方の部分は最初から2時間10分ぐらいまでです。
途中飛ばしてみていたら、お二方に選択的夫婦別姓制度に関する質問があり、首藤氏が答えるところがあるんですが、実体験を交え、なかなか切実な意見を述べられています。(1時間55分ごろ)大沢氏も至極当然なお答えをされています。
その他でもお二方とも画期的なご意見が多く、非常に勉強になります。お時間あれば、観たほうが良いと思います。
さて、話を元に戻しますが、本日の春闘での満額回答の裏では、非正規労働者の方々がストライキをやっておられるなど、早くもその明暗を感じられずにいられません。
ニュースなどでも、労働者の7割を占める中小企業に所属する労働者に関してはこれからの回答で、この賃上げの流れが確実に中小企業の労働者まで波及するか?
またそもそも物価上昇率に追いついていない賃金レベルを追いつかせるために、実質賃金を上昇させてるために、継続して賃上げをしていけるか?
などが課題とされているわけですが、実際にはどうなることか?
未来には何があるかわかりませんから、今後の経済の行く末もわからないところがあります。それに応じて臨機応変に対応するしかないのですが、どちらにしても現時点で懸念材料となりえそうなのは、ウクライナ侵攻やガザのジェノサイドなど、世界には未だ通常で正常な経済活動の妨げとなる戦争が行われているところがありますから、これがどのように今後影響してくるかわかりません。(そういう意味においても、ウクライナの本来の国境外へのロシアの即時完全撤退、ガザの即刻完全停戦を求めたい!)
それを念頭に置きつつ、今日も政労使(政府、経済界、労働界の3者)会議が行われ、中小企業の賃上げを後押しする考えを岸田首相も示されたように、社会全体で、世の中全体で「賃上げ」の動きが、今、非常に強いです。
今日の春闘集中回答日のニュースでも「満額」の文字がここまで並ぶことは、僕は子供の頃からニュースをよく観ますが、過去これまでに観てきた中でもなかったです。(断言。どうやら約50年ぶりみたいです。)
それを強く感じた記事がこちら。
上の記事中にある、「人件費の一部である労務費の価格転嫁に向けた指針」については下記リンク先よりダウンロード可。
価格転嫁の際の交渉について、具体的な進め方や受注者側と発注者側それぞれの考え方について書かれています。(必読!)
またこちらの記事の最後でも首藤氏がインタビューを受けておられます。
そういった社会の状況の中で、特に労働者全体の7割を占める部分に属する労働者(僕もそうです)はどのように考えれば良いのか?
まず思ったのは、これまでに、今までに、ないような世の中の強い賃上げの流れがある中でも、結果的に今年あるいは2024年度中にご自身の所属する会社で賃上げがなかった場合、それはどちらにしても先行きが非常に危ういような気がします。この世の中の状況で少なくとも人材流出が予見できていない会社と言えます。
会社が悪いのか?業界が悪いのか?よく見極めていただいて、賃上げがあった同業他社に転じるか、業界を移るか。
価格転嫁といっても、4次5次のような下請けで言い値でしか仕事を請けれない会社もありその場合、社長さんの手腕もありますが、今回政府も後押しするぐらいですから、元請け企業に率先して自ら動いてほしいという監督官庁からの呼びかけがあったり、業界団体や商工会議所などが会社の相談に乗ってくれる場合もあるそうです。なので、それさえもやらない元請けさんの下請けや会社の社長さんだと、これも先行き不安ですね。
それとやっぱり簡単に転職とかできない場合ですよね。
これはやはり所属している会社に労働組合があり、ちゃんと会社といろいろなことで交渉しているのであれば、加入しておいたほうが良いでしょう。
冒頭の話に戻りますが、世の中の労働価値がここまで下がってしまったのは労働組合の組織率が下がってしまったのと関係しているように思います。
なので、首藤氏が仰っているように労働組合の組織率を上げることによって、中小企業で働く労働者にも納得できる、今回の強い賃上げの流れの恩恵を享受できるようにする、そのような社会にすることが重要と思います。
それが、労働価値を本来のあるべき価値に戻す本当の原動力、流れになるでしょう。
労働組合と聞くと何かめんどくさいものに感じられる方、特に若い人には多いのかもしれません。中には偏見の眼で見る方もおられるのかもしれません。でも、労働組合は法律でその権利が認められている組織です。
今や消費者庁というものがあり消費者もその立場や権利が認められているように、もともと労働者もその立場や権利が認められています。(厚生労働省はその昔、厚生省と労働省に分かれていた)
なので、偏見の眼で見る必要は一切ありません。
また労働組合は会社を潰すために存在しません。なぜなら会社が潰れたらそもそも雇用がなくなってしまうのでそんなことはしません。会社(経営者)とともに話し合い、より良い働く環境、より良い賃金などにしていき、さらに全体としてより良い会社にしていくのが目的です。
なので、ちゃんと活動している労働組合が会社にあるのであれば加入したほうが良いですし、会社になければ他の労働者(従業員)のみなさんと労働組合をつくっても良いのです。
この賃上げの強い流れの間に会社に労働組合をつくっても良いと思います。
世の中全体がここまで賃上げに向かっているのですから、今こそつくりやすい時期はないのかもしれません。
そうやって賃上げの交渉をすれば、個人でお願いするよりも良い結果が得られると思います。
※文章を一部、加筆修正いたしました。(2024.3.14.)
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