絵話塾だより

Gallery Vieが主宰する絵話塾の授業等についてのお知らせです。在校生・卒業生・授業に興味のある方は要チェック!

2024年4月27日(土)文章たっぷりコース第5期・第10回目の授業内容/高科正信先生

2024-05-03 20:07:09 | 文章たっぷりコース

高科先生は、最近電車の中で小さな子どもにスマホを見せている親御さんが気になっているそうです。
子どもは恐ろしい早さで母語を獲得していくので、それに最適な時期があります。
それなのに、動画を見せて一方的に情報を取得させるようなことで良いのだろうか、というわけです。
今の時代はデジタルツールを使わずに生活することは難しくなっていますが
絵本を読み聞かせることは、一方通行ではない「学び」があります。
いま一度小さな子どもにスマホを渡す前に、できることを考えてはいかがでしょうか…

この日はテキスト『60歳からの文章入門』(近藤勝重 著/幻冬舎新書)から、P154〜164を見ていきました。

・尾崎放哉の俳句を詠む
・谷川俊太郎、まど・みちおの詩を読む
・スマホを手放し、五感で対話する

俳句や川柳は、「読者」からいきなり「作者」になれる文芸です。
俳句には五七五の定型に捕らわれない自由律俳句もあるので、オススメとのことです。

 

それから、まど・みちおさんの『全詩集』(伊藤英治 編/理論社)『いわずにおれない』(集英社be文庫)から
いくつかの詩を紹介していただきました。
まど さんは、1994年に日本人として初めて国際アンデルセン賞の作家賞を受賞したのですが、
児童文学の世界のノーベル賞と言われる同賞で、詩人が作家賞を受賞したのも初めてのことでした。

昔は子どもたちが童謡や唱歌を歌うのがは当たり前のことでした。
今も歌い継がれている曲はありますが、『おぼろ月夜』や『春の小川』のように
五感を働かせる描写のものは少ないです。
たまには目を瞑ってみたりして、意識的に五感を働かせるのも良いものです。

自分で実際に体感して習得したり他人と共感しあえることは、人として重要なことですが、今はそれがうまくできない子どもや大人が増えています。
レイチェル・カーソンの『センス・オブ・ワンダー』(上遠恵子 訳/新潮文庫) では、作者が幼い甥っ子を連れて自然の中に出かけ、さまざまなものを体感し、それを彼と共感する様子が書かれています。
彼女のように大自然に入っていかなくても、道ばたの草や住宅街の庭木、町中を飛び交うツバメなど、身のまわりをよく見ると、興味深い世界が広がっています。
そのことに気づき、その時に感じたことを、誰かと共有するのは素晴らしいことです。
「気づき」や「ひらめき」は文章を書く際にも役に立つことを覚えておいてください。

  

休憩をはさんで後半は、『ダンゴムシに心はあるのか』(森山徹 著/ヤマケイ文庫) を見ていきました。
ダンゴムシの話ではありますが、心は何か・心はどこにあるか、について考察する難しい文章でした。
結論から言うと、脳を持たないダンゴムシでも、行動実験を通じて「心がある」といえるのではないかとのことでした。

そして、『ぼく、だんごむし(かがくのとも傑作集 )』(得田之久 著・たかはたきよし 絵/福音館書店) を紹介していただきました。

最後に、今回の課題は「ぼくは○○」「わたしは××」など、何かになりきったつもりでてお話を書く、というものです。
一人称は、「俺」でも「うち」でもなんでもかまいませんし、主人公が生物でも無生物でも良いです。
それになりきったらどんな行動に出るか、どんな事件が起こるか、なった気持ちで書いてください。

参考になれば…と、長新太の『ぼくはイスです』(亜紀書房) を紹介してくださいました。
いつも腰掛けられるばかりのイスが、何かに腰掛けに行ったらどうなるかというお話です。
このように、なりきったらどんなことが起こればおもしろいかを考えましょう。
対象年齢も、文章のスタイルも(長編・絵本のテキスト 問わず)も自由です。

 

このコースでは、創作とそれ以外の課題を交互に書いて提出します。
いろんなタイプの文章を書くことで、「書く力」がついていきます。

今回配布された比喩表現についての資料は次回(5月11日)使いますので、
忘れないように持って来ててください。よろしくお願いいたします。

 


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2024年4月13日(土)文章たっぷりコース第5期・第9回目の授業内容/高科正信先生

2024-04-19 19:56:10 | 文章たっぷりコース

この日は担当スタッフが体調不良で休んでいたため写真がなく、このレポートも音源を元に書いておりますので、情報不足の件は何卒ご容赦ください。

桜が終わったら、ツバメがやって来ましたね…ということで、高科先生はいつも授業の始めに季節の移り変わりのことを話されます。
都会に住んでいても、家の周りを気をつけて観察していると、自然を感じることがよくあります。
忙しい毎日のなかでも、季節の花々や小さな生き物、空のすがたを見て「もののあはれ」を感じることは、文章を書くための栄養になるのではないでしょうか。

さて、この日もまずテキスト『60歳からの文章入門』(近藤勝重 著/幻冬舎新書)から、P133〜150のところを見ていきました。

●読者を惹きつける村上春樹の文章術
・若々しい文体の秘密
・村上流 性的比喩表現
・読者を眠らせないための2つのコツ
・「会話」が生むドラマ

多くの人から支持されている世界のハルキ氏ではありますが、高科先生は今に至るまであまりハマったことがないそうで、ノーベル賞が獲れないことにも納得できるとか。。
文章を書くときに比喩表現を使うことは必要なことではありますが、たとえば同人誌をやっている人とかの文章にはとても多く使われていて、目障りになることもあります。
比喩表現は、自分が思っている(書きたい)ことをより伝わりやすくする方法の一つです。ココは重要なことなので次回の授業でもう少し深く掘り下げてくださるそうですよ。

村上氏によれば「小説は、①情景描写 ②心理描写 ③会話 で成り立っている。これらをどうブレンドしていくのが作家の腕の見せどころ」だそうです。
高科先生も会話を大切にして作品を書いておられますが、会話文だけではお話が成立しないので、地の文をはさむことで会話がより生きてくるよう心がけておられるとか。
長谷川集平が『はせがわくんきらいや』(すばる書房1976、復活ドットコム2003)で注目された後、関西弁の会話文で進む作品が流行したこともありましたが、関西弁をそのまま使うのは下品になるので、徐々に廃れていった経緯もあったそうです。

●「気づき/ひらめき」脳トレ問題集
・良い文章の条件
・津村記久子『まぬけなこよみ』を読む

このコースでは何度も取り上げていますが、良い文章の条件として ①自分にしか書けないことを ②誰が読んでもわかるように書く ことです。
これは、高校生のための文章読本』(梅田卓夫・清水良典・服部左右一・松川由博 編/ちくま学芸文庫に出てくる言葉ですが、確かにその通りですが、それだけで良いのか?と先生は懐疑的…この2つに、誰も書いていない独自の気づきやふと頭をかすめたひらめきのある文章を含まれる、と書いてあります。


テキストでは参考文献として津村記久子『まぬけなこよみ』が紹介されていますが、先生はお気に入りの平民金子氏が朝日新聞夕刊に連載していたコラム『神戸の、その向こう』の最終回「ぶらぶらメメント・モリ」を取り上げ、皆で見ていきました。最後はちょっとしんみり。平民さん、お疲れさまでした。

その後は井上ひさし氏の『にほん語観察ノート』(中央公論)から「わからないけど」の箇所を。氏曰く、これはうんと敬意の度合いが低い半敬語法であろうとのこと。
相手に自分の意見を言う時に、緩衝材を入れて相手との関係を壊さないようにしているのではないか、というのです。
関西人の「しらんけど」は、もう少し会話の「間」を大事にするための言葉である意味合いが強くなります。
語尾をちょっと上げる半疑問形も、今では会話の緩衝材として皆意識せずに使っていますね。

さて、休憩をはさんではまたタコについてのお話。今日はついに土屋光太郎氏の『イカ・タコ ガイドブック』(阪急コミュニケーションズ)の中にあるコラムを見ていきました。
イカとタコの違いについて専門的なことが書いてあるのですが…なぜ先生がここまで何度もタコのことを取り上げるかというと、つまり、お話を書くうえで大切なのはリアルとファンタジーの加減だというのです。
子どもの本には動物が出てくるものが多いですが、動物にはその種類独自のフォルムや生態があります。それを無視してお話を作るより、ある程度リアルを取り入れた方が共感を得やすくなります。
たとえば、リスはどんぐりを頬袋に入れて運びます。頬にどんぐりをいっぱい頬張ったリスの顔は、ポコポコ膨れて見えます。この可愛らしい習性を生かしたお話と、効率的に台車に載せて運ぶようなリスの話では、全く違う性質のものになってしまいます。
旭山動物園で飼育員をしていた経歴を持つ絵本作家のあべ弘士は、動物の生態から離れたものは描かないと決めているそうです。

フィクションといえども下調べは大事です。「何か書く時は、必ず手元に辞書を」と高科先生は口癖のようにおっしゃっていますが、内容によっては今回の『イカ・タコ ガイドブック』のような、資料になる本も携えておいた方が良いでしょう。(もちろんその都度パソコン等で調べても良いわけですが)

さて、「わらう」「たつ」など動詞をテーマにした課題が続いていますが、今回は「とぶ」(飛ぶ・跳ぶ・翔ぶ)をテーマにした作品を書いてください。
とんだこと、とんでみたいこと、とぶ時のこと…etc. 「とぶ」にまつわる文章なら、創作でもエッセイでも、スタイルもボリュームも自由です。
できれば本日習った “ 村上春樹説 ” のように、①状況描写 ②心理描写 ③会話 をうまくブレンドして構成することを試しても良いかも…
比喩表現については次回もう少し深く学ぶ予定ですので、その後で実践してみてくださいね。

よろしくお願いいたします。


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2024年3月30日(土)文章たっぷりコース第5期・第8回目の授業内容/高科正信先生

2024-04-02 18:43:25 | 文章たっぷりコース

急に暖かくなり、ここ1〜2日で桜もほころび始めました。
週明けには4月で、あっという間に今年も4分の一終わり。早いですね〜!

ということで、この日はテキスト『60歳からの文章入門』(近藤勝重 著/幻冬舎新書)P117〜132を見ていきました。(以下は見出し)

・言葉の重複や慣用句に要注意
・段落と改行の使い方
・句読点の使い方
・メールは細心の注意を払って
・避けたい決まり文句
・推敲は読者への親切心

「未だ未解決」のような言葉の重複や、「雪辱を晴らす× → 雪辱を果たす○」など、間違いやすい言葉をいくつか見ていき、書くときは細心の注意を払いましょうとのことでした。

今はパソコンを使って文章を書く人も多いですが、やはり縦書き・原稿用紙形式にすると、一文のまとまり具合(一字下げ、改行など)も読みやすくなります。
日本語そのものがもともと縦書きであり、文章も頭から下へおりてくる感覚があるので、縦書きでないと文章力が身につかない、とまで言う職業作家もいらっしゃるそうです。

この日の授業で一番時間を取ったのは句読点の使い方で、テキスト以外に本多勝一氏の『日本語の作文技術』(朝日新聞社出版/朝日文庫) からの例文も見ていきました。

渡辺刑事は血まみれになって逃げ出した賊を追いかけた。
→ この文では「、」を入れる位置で血まみれになっている人が変わってしまいます。

私はAがBがCが死んだ現場にいるたと証言したのかと思った。
「Cが死んだ現場にBがいた」とAが証言したのかと、私は思った。
→「、」の位置に留意することと、主語と述語はなるべく近い位置にすることが、分かりやすい文章を書く鉄則です。

「、」は必要ないところには打たない。文章のリズムや流れを作るためには必要ですが、多用するのはいけません。
「、」だけでなく、同じ言葉(名詞・接続詞など)の多用もいけません。
でも推敲の末、自分の意思で多用する(その際の効果を考慮して)のは、かまいません。
自分でも気づかぬうち、不用意に使う場合がよくないのです。

 

マリー・ホール・エッツの『もりのなか』(まさきるりこ 訳・福音館書店)には、「そして」と言う言葉が多用されています。これは、作者が推敲の末に使うことを決めた言葉だからです。

 

休憩をはさんでは、前々回の課題にもなっていたタコの話になり
奥井一満氏の『タコはいかにしてタコになったか~わからないことだらけの生物学~』 (光文社/知恵の森文庫) のタコに関する部分と、長新太氏の『イカタコつるつる』(講談社)見ていきました。

タコについて、学術的な文章と、ナンセンスでユーモアあふれるお話を紹介していただきました。

このクラスの皆さんは、エッセイは書けてもお話を書くのが苦手な人が多いようで、前回の課題(タコについてのお話を書く)は提出した人が少なかったのですが、先生は「遅れてもいいし、うまく書けなくてもかまわないけれど、大事なことは書き上げることです」とおっしゃいました。

そこで、今回もお話(絵本のテキスト=本文)を書くという課題が出ました。

絵本をはじめ、あらゆる書物は8の倍数ページでできています。それがいちばん紙や印刷の無駄がなく、効率的だからだそうです。(=8n)
絵本は左右2ページの見開きで一場面を表しています。(8n÷2=4n)
けれども書物には扉と奥付があるので、最初と最後の2ページは除いたものが見開きの数になります。(=4n-1 → 7, 15, 23, 30など)

そこで今回の課題は、⑮見開きの絵本のテキストをひらがなで書く。
見開きごとにまとめて①〜⑮と番号を打ち、見開きと見開きの間は一行空ける。(めくる感じ)
内容は、ひらがなの読み書きができる子ども〜大人までに向けて。
もし思いつかなければ、「わたしは○○です」「ぼくは△△です」のように擬人化して書いてみてください。
例えば起承転結でお話を進めるなら、ページ構成を考えて、うまく作ってください。

今度はできるだけ提出してくださいね!よろしくお願いいたします。

 


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2024年3月9日(土)文章たっぷりコース第5期・第7回目の授業内容/高科正信先生

2024-03-14 18:43:44 | 文章たっぷりコース

最近では、電車に乗っているほとんどの人がスマホの画面を見ているという話から、
絵話塾の卒業生で絵本の大きな賞を獲った人に、どんな時にアイデアが浮かぶのか尋ねたら
ぼーっとしている時〜電車に乗っている時などに、パッと下りてくることが多いと答えたそうです。
私たちも車内で暇だからと、ついついスマホを触ってしまうことが多いですが、
もしかしたら大事なことを逃してしまっているのかもしれません。
そのスマホ、どうしても今見る必要がありますか?と、電子機器を持たない高科先生はつねづね思っておられるそうです。

続いてテキスト『60歳からの文章入門』(近藤勝重 著/幻冬舎新書)のP100~116を見ていきました。
●文章の表現と伝え方 から
①「人・物・自然」を書く:主体を取り巻く場面全体が見えてきて、情感が伝わる。
②「写生」ではなく印象を「描写」する:見たそのままを書くのはスケッチ、他の人に伝わるように自分の印象(情景)や心の動き(心理描写)を書くのが描写。可能な限り、自分が感じ取ったものを総動員して書く(描く)。ただし書きすぎるとしつこくなる。
③「自分の心がどう動かされたか」を書く:人の心を動かすのは、出来合いの言葉ではなく、実際に自分の心がどう動かされたかを具体的に書いてこそのもの。

悪例として載っている文章は『縦横無尽の文章レッスン』(村田喜代子 著・朝日新聞出版社)からの引用だったので、
引用先も見ていきました。

ここでは、文章上達で最重要なのは「自分の癖」を知ることである、と書かれています。
村田氏曰く、癖というのは我流(自己流・悪癖)であり「個性」とは異なるのだが、本人は個性だと思い込んでいたり、文芸的な表現だと自負していたりする。
観念用語が多いと誰が読んでも違和感を覚えるのだが、それを自己のアイデンティティーと思って手放さない人も多い。とバッサリ。
ついついカッコいい言い回しを書きたくなる時もありますが、気をつけなければならない点ですね。

●表現・表記のチェックポイント からは
①主語「私」はなくてもいい:自己主張の程度の問題であるが、一つの文章の中で多用するのはやめた方がよい。
②一人称は一視点からしか書けない:一つの文章の中で視点が混在しないように、気をつける。
③「だから」「しかし」を削るとリズムが生まれる:接続詞と副詞は、なくても文脈が変わらないところには使わない方がテンポがよくなる。パソコンの変換で出てくる漢字も、必要ないところではひらがなの方がよい。効果的に使うことを考える。

休憩をはさんで後半は、皆で「雑」のつく言葉をあげていきました。

「雑」の右側「隹」はもともとは「鳥」で、「集」は鳥が木にとまっているさまを指します。
左側は「衣」に由来し、いろんな草を集めてきて様々な色の衣を染めることから、多種のあつまり=まじりを意味する「雑」という漢字になったそうです。
アメリカ雑草協会によると「雑草は人類の生活に支障を来す望まれない植物のこと」と規定しているそうで、雑草は人為的に作られた土地にしか生えないそうです。(ただし牧野富太郎や昭和天皇は「雑草という草はない」と言ったそうですが)

 

そして、『中高生のための文章読本 ― 読む力をつけるノンフィクション選』(澤田英輔・仲島ひとみ・森大徳 著/筑摩書房)
から、稲垣栄洋の「花の色には意味がある」を見ていきました。(『雑草はなぜそこに生えているのか — 弱さからの戦略』稲垣栄洋 著・ちくまプリマー文庫 より引用)

稲垣氏の書く文章は、明快でわかりやすい。さして興味なく読み始めても、読んでいるうちにどんどん引き込まれていきます。
たまにはこういうノンフィクション系の本を読むのも、よいものですね。

最後は、課題についてです。
前々回の「めでる」についての作品を返却されるのに、皆さんがどんなものを愛でているかをざっと紹介していただきました。
今回は動詞シリーズの続きで、「立つ」がテーマです。
文字通り「立つ」動作について書いてもいいですし、立っているものについて、立っている場面、立場について書いてもかまいません。
自分のことでも、スポーツ選手や他の誰かのことについてでもいいです。スタイルや枚数に制限もありません。
経験をすくいだして、気づいたことや思ったことなど、自由に書いてください。
もちろん今日習ったことも思い出して、留意しながらですよ!

提出は次回30日の授業の時です。よろしくお願いいたします。

 


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2024年2月10日(土)文章たっぷりコース第5期・第6回目の授業内容/高科正信先生

2024-02-18 20:40:14 | 文章たっぷりコース

この日は、高科先生が大好きな映画『ミツバチのささやき』(1973年)のビクトル・エリセ監督が、21年ぶりにメガホンを取った『瞳をとじて』が公開されるというお話から。
先生は子どもが主人公の映画が好きで、『ミツバチのささやき』も大好きだなのそうですが、その映画の主役だった子役アナ・トレントが最新作に出ているということで、とても楽しみなのだとか。

その後は高科先生の最新絵本『プレゼントはひとつ』(福音館書店・こどものとも)を読んだ子どもの読者から、先生のところにお便りが来たというお話。
その子は主人公の男の子が本当にプレゼントがもらえたのか心配で、幼稚園の先生に頼んで出版社に手紙を送ってくれたのだそうです。
それを話してくださる先生は、とても嬉しそうでした。

続いてテキスト『60歳からの文章入門』(近藤勝重 著/幻冬舎新書)のP85~P99を見ていきました。
ここでは、
・組み立て方①「現在—過去—未来」〜矢沢永吉に学ぶ「現在—過去—未来」
・組み立て方②「体験—気づき—普遍性」〜個人の体験と社会をつなぐ
・組み立て方③「起・承・転・結」
と、その例を見ていきました。
同じ体験をしても、人によっては感じ方が違います。
感動をそのまま書いても楽しんでもらえるかを考えながら、誰にでも当てはまるように書く必要があります。
①と②を混ぜた構成は、人に伝わりやすい “鬼に金棒” で、良い文章には①②のミックスが多く
逆に③では “転”の部分が難しいので、うまい “転” がある場合だけこれを使うと良い、とのことでした。

その後、たびたび参考に使っている大野晋氏の著作『日本語練習帳』(岩波書店)もP58〜65を見ていきました。
分かりやすいセンテンスは「AはB」という形の、AとBの距離が近いものです。
例文として「私は今井君をなぐった佐藤君の横面をひっかいた田中君をけとばしてやった」という難解なものが上げられていました。(行為がたくさんあるのも混乱する原因になる)
「は」と終点までの距離はなるべく短く、早く明示することが大切だということが分かりました。

文章が長くなると、どうしても「A(主語)はB(述語)」の関係性が分かりにくくなるので、一文は原稿用紙に3行程度で改行し、一段落は5〜6行におさめるのが分かりやすく、内容を間違えずにとらえやすいそうです。
これを必ず守らなければならないというわけではありませんが、文章を書くときの目安にしてみてください。

休憩をはさんで、急にタコの話が始まりました。

頭足類(タコ・イカ・オウムガイなど)のタコは元々貝の仲間でしたが、身を守る貝殻を捨て、自由に動けるようになって、知能が発達したのだそうです。
軟体動物なので化石は残っていませんが、カンブリア爆発(5億年ほど前)には存在していたと思われます。
タコに興味のあった先生は、以前奥井一満氏の『タコはいかにしてタコになったか〜わからないことだらけの生物学』(光文社知恵の森文庫)を読んだそうですが、タコの話題はそれほどたくさん書かれていたわけではなかったとか…。

そこで、今回の課題は「タコについて」です。
ひらがなが読めるようになった子どもが自分で読めるように、ひらがなで書き(分かち書き不要)、本文1200字でまとめてください。
原稿用紙でいうと、タイトルと作者名で5行必要ですので、1枚目が300字、2〜3枚目が400字で、最後4枚目は100字、ということになります。
子ども向きなので、内容も構成も分かりやすく書くことを心がけてください。

提出は次回7回目の授業(3月9日)の時です。よろしくお願いいたします。

 


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