絵話塾だより

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2024年2月10日(土)文章たっぷりコース第5期・第6回目の授業内容/高科正信先生

2024-02-18 20:40:14 | 文章たっぷりコース

この日は、高科先生が大好きな映画『ミツバチのささやき』(1973年)のビクトル・エリセ監督が、21年ぶりにメガホンを取った『瞳をとじて』が公開されるというお話から。
先生は子どもが主人公の映画が好きで、『ミツバチのささやき』も大好きだなのそうですが、その映画の主役だった子役アナ・トレントが最新作に出ているということで、とても楽しみなのだとか。

その後は高科先生の最新絵本『プレゼントはひとつ』(福音館書店・こどものとも)を読んだ子どもの読者から、先生のところにお便りが来たというお話。
その子は主人公の男の子が本当にプレゼントがもらえたのか心配で、幼稚園の先生に頼んで出版社に手紙を送ってくれたのだそうです。
それを話してくださる先生は、とても嬉しそうでした。

続いてテキスト『60歳からの文章入門』(近藤勝重 著/幻冬舎新書)のP85~P99を見ていきました。
ここでは、
・組み立て方①「現在—過去—未来」〜矢沢永吉に学ぶ「現在—過去—未来」
・組み立て方②「体験—気づき—普遍性」〜個人の体験と社会をつなぐ
・組み立て方③「起・承・転・結」
と、その例を見ていきました。
同じ体験をしても、人によっては感じ方が違います。
感動をそのまま書いても楽しんでもらえるかを考えながら、誰にでも当てはまるように書く必要があります。
①と②を混ぜた構成は、人に伝わりやすい “鬼に金棒” で、良い文章には①②のミックスが多く
逆に③では “転”の部分が難しいので、うまい “転” がある場合だけこれを使うと良い、とのことでした。

その後、たびたび参考に使っている大野晋氏の著作『日本語練習帳』(岩波書店)もP58〜65を見ていきました。
分かりやすいセンテンスは「AはB」という形の、AとBの距離が近いものです。
例文として「私は今井君をなぐった佐藤君の横面をひっかいた田中君をけとばしてやった」という難解なものが上げられていました。(行為がたくさんあるのも混乱する原因になる)
「は」と終点までの距離はなるべく短く、早く明示することが大切だということが分かりました。

文章が長くなると、どうしても「A(主語)はB(述語)」の関係性が分かりにくくなるので、一文は原稿用紙に3行程度で改行し、一段落は5〜6行におさめるのが分かりやすく、内容を間違えずにとらえやすいそうです。
これを必ず守らなければならないというわけではありませんが、文章を書くときの目安にしてみてください。

休憩をはさんで、急にタコの話が始まりました。

頭足類(タコ・イカ・オウムガイなど)のタコは元々貝の仲間でしたが、身を守る貝殻を捨て、自由に動けるようになって、知能が発達したのだそうです。
軟体動物なので化石は残っていませんが、カンブリア爆発(5億年ほど前)には存在していたと思われます。
タコに興味のあった先生は、以前奥井一満氏の『タコはいかにしてタコになったか〜わからないことだらけの生物学』(光文社知恵の森文庫)を読んだそうですが、タコの話題はそれほどたくさん書かれていたわけではなかったとか…。

そこで、今回の課題は「タコについて」です。
ひらがなが読めるようになった子どもが自分で読めるように、ひらがなで書き(分かち書き不要)、本文1200字でまとめてください。
原稿用紙でいうと、タイトルと作者名で5行必要ですので、1枚目が300字、2〜3枚目が400字で、最後4枚目は100字、ということになります。
子ども向きなので、内容も構成も分かりやすく書くことを心がけてください。

提出は次回7回目の授業(3月9日)の時です。よろしくお願いいたします。

 


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2024年1月27日(土)文章たっぷりコース第5期・第5回目の授業内容/高科正信先生

2024-01-28 15:54:39 | 文章たっぷりコース

この日はまず、テキスト『60歳からの文章入門』(近藤勝重 著/幻冬舎新書)のP56~P85を見ていきました。

日本語には、言葉の最小単位である「文節」(後ろに「ネ」を付けて意味をなす言葉)、次に「句」(修飾語などを含むフレーズ)、そして「文」(主語・述語などを伴い、最後に。が付く)、いくつかの文がまとまった「段落」、それらで構成される「文章」という単位があります。
小さな子どもの読む絵本の文章は、ひらがなだけで長々と文章を書くとどこで切ったらよいか分からなくなるため、文節で分けた「分かち書き」で書かれていることが多いです。
国語の授業では、自分で書くことより人が書いた文章を読み取る授業が多いため、文法について詳しく学ぶ機会があまりありません。

例えば助詞の使い分けは、外国人にとってはたいへん難しいのだそうです。
・「〜が」は主に未知の情報について付き、「〜は」は既知の場合につく助詞で、その下に新たな情報を求める働きもある。
・そして「〜も」は、共同体の雰囲気を作る助詞で柔らかいニュアンスになるが、最初に書くのは違和感がある。
・「〜へ」は方向を示し、「〜に」は帰着点を表す。(ただし関西弁では両方省略する傾向がある)
……などと、いちいち考えながら話していては会話が先に進みませんが、文章の場合は使い分けをする方が作者の意図が分かりやすくなります。

ここで、一つ問題です。
「象の鼻が長い」という文では、どれが主語でどれが述語でしょうか? ディスカッションが始まりました。
これは、日本語学者の三上章の『象は鼻が長い』(くろしお出版)に書かれていることです。
他国の言語では、主語(S)→述語(V)→目的語(O)の順番で構成される文章が
日本の場合、主語(S)→目的語(O)→述語(V)の並びになっているため、主語が略されることも多いです。
この文章では、「象は(S)」+「鼻が長い(V)」、または「象は(S)」+「鼻が長い」修飾語(+ 略されているが「動物である(V)」)とも考えられます。

 

参考資料として、大野晋の『日本語練習帳』(岩波書店)も見ていきました。この本によると、
・「〜は」は問題を出して、その下に答えがくることを予約する働きのある助詞だそうです。
 (問題提起と答えの間にあまり長い説明文が入ると分かりにくくなるので気をつけましょう)
・もう一つ、「〜は」が二つ以上続いて出てくるとき、それはその二つを対比させる役割があります。

確かに日本語は主語を省略しても意味が通じる言語ですが、読み手にとっては主語が示されている方が書き手の意図が理解しやすいので、うまくバランスをとって書くようにしましょう。
例えば数人の人物のことを描写する場合は、誰が喋っているか、誰が動いているのか、分かりやすく書きましょう(敢えてミスリードを誘う場合は除く)。

これ以上やるとこんがらがってきそうなので、
前回も見ていった 広瀬友紀著『ちいさい言語学者の冒険――子どもに学ぶことばの秘密』 (岩波科学ライブラリー)  の続きをやりました。
・子どもにとって、「ん」「っ」「ー」を一拍と数えるのは難しい〜世界の言語を見ても、日本語の数え方の方が少数派である。
・子ども特有の言い間違いに、「とうもろこし→とうもころし」など、文字を発音しやすい順に入れ替える(音位転換)ことがある。
これらは、日本語を身につける課程で自然と正されていくようです。

休憩をはさんで、後半は課題についてです。

前回皆さんが提出した「わらう」をテーマにした文章は、新年に起こった大震災と「笑うこと」を結びつけたものが多かったようです。
特にそう指定されていたわけではないのに自然とそうなったということは、それだけ印象的な出来事だったからでしょう。

提出されたものの中には、以前提出して先生にチェックしていただいたものを修正して、再度提出された作品もありました。
高科先生は、「それは歓迎します」と言っておられますので、どんどんブラッシュアップした作品を仕上げてください。

ここで一つ注意しなければならないのは、書き手は自分は知っているのでその設定で書きますが、読み手は初見では初めて知る情報なので、できるだけ分かりやすく書く必要があるということです。
推敲していくうちに大切な情報まで抜け落ちないよう、気をつけてください。

さて今回の課題はまた動詞シリーズに戻って、「めでる(愛でる)」です。
自分がいちばん愛でているモノ・コト・ヒト・場所・味・音楽…なんでも構いません。
好きなスタイルで、好きなボリュームで、思う存分書いてください。

提出は次回2月10日、第6回目の授業の時です。
よろしくお願いいたします。

 


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2024年1月13日(土)文章たっぷりコース第5期・第4回の授業内容/高科正信先生

2024-01-21 20:30:44 | 文章たっぷりコース

年明け最初の授業です。長らく体調を崩してお休みしておられた方もこの日から復帰され、教室が賑やかになりました。
寒い季節は風邪やインフルエンザなど危険もいっぱいですが、皆さんこのまま健康に過ごしましょう!

元日から能登半島地震が起こったということで、神戸の人間はどうしても29年前のことを思い出してしまいます。
高科先生も「どうってことない日常が毎日続くということが、ありふれた奇跡である」とおっしゃっていました。
私たちも震災当時を思い出しながら、今の穏やかな日々をありがたく思い、一日一日を大切に過ごしていきましょう。

ということで、テキスト『60歳からの文章入門』(近藤勝重 著/幻冬舎新書)のP54~P74を見ていきました。
「読むだけで上達する藤沢周平作品のすすめ~村上春樹も文章のうまさを絶賛」とあり、いくつかの例文が紹介されています。
もちろん好き嫌いはあると思いますが、確かに簡潔で臨場感のある描写は魅力的で、リズミカルな文章は読むだけで学びになるのは分かります。

次の「驚くうちは楽しみがある」のところで、最近ではビジネスの企画書などで「5W1H」ではなく「6W2H」と言われるとありました。
Who When Where What Why How に、「Wow」(感動を表す)と「How much」(費用がいくらかかるか)が必要なのだそうです。

藤沢周平が奥様を亡くされた時の話(『半生の記』文春文庫)が紹介されていた流れで、『いまも、君を想う』(川本三郎・新潮文庫)の一部を見ていきました。
奥様に先立たれた文筆家の方々は、皆さんセンチメンタルな文章を書いておられますが、それに違和感を覚えるという人もいました。
そこで先生は「人間は情動の生き物であり、それをどのように書くかが問題だ」とおっしゃっていました。
即ち、素人は感情の赴くままに書いても良いが、プロの書き手は自分を対象化して、自分を客観的に見る必要がある。
それには自分で実際にいっぱい経験をし、いっぱい人の書いたものを読まないと、技量を獲得できない、と。
人の書いた文章を読むとき、自分ならどんなことをどんなふうに書くだろうかと考えて過ごしているのだとか…

 

休憩をはさんで後半は、前回も見ていった 広瀬友紀著『ちいさい言語学者の冒険――子どもに学ぶことばの秘密』 (岩波科学ライブラリー)  の続きをやりました。

今回は、「しゃ、しゅ、しょ」と記載する時の子音と母音部分の数が合わないとか、「じ」と「ぢ」・「ず」と「づ」の使い分けなど、ややこしいことが出てきました。
実は、学校では英語の文法を学ぶ授業はあるのに、国語の授業では日本語の文法は習いません。私たちは、経験で習得していきます。
だから、なぜそうなるのか疑問に思って、日本語の法則を発見したりするのは、子どもだったり外国人だったりするのだそうです。

前回の提出した課題「たべる」をテーマにした作品については、皆がそれぞれの切り口で書いてきたことを紹介した後で、
もし先生が「たべる」をテーマにした作品を書くなら…という内容について教えていただきました。
まさに先ほどおっしゃっていた「人の書いた文章を読むとき、自分ならどんなことをどんなふうに書くだろうかと考えて過ごしている」ということですね。

最後に、今回の課題は「コラムを書く」です。
コラムは各新聞に必ずある、いわば各新聞社の顔とも言えるコーナーです。
参考に2024年1月11日付けの「天声人語」を見ていきました。先日八代亜紀さんが亡くなったことについて、高倉健の映画『駅〜station』のエピソードを絡めて書かれた作品です。
今回は書く内容は自由ですが、文章のスタイルは18字×35行で、そのうち文頭の5行は14字、文末の2行は17字で書き、書き出しは1字下げて改行の代わりに▼を使う、という約束事があります。
ぜひあーでもないこーでもないと練り上げて、あなたならではの味のあるコラムを書いてください。
提出は次回1月27日(土)の授業の時です。よろしくお願いいたします。


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2023年12月23日(土)文章たっぷりコース第5期・第3回の授業内容/高科正信先生

2023-12-28 17:20:37 | 文章たっぷりコース

約一か月ぶりの文章たっぷりコースの授業でした。
お一人だけ風邪で欠席の方がいらっしゃいましたが、他の方々は元気で今年最後の授業に臨んでおられました。
※ スタッフがうっかりして、この日の記録写真を撮り忘れたため、今回は授業風景の写真がなくて申し訳ありません。

年末ということで、今年の締めくくり的なお話から。

今年もたくさんの方が亡くなりました。
11月末に亡くなった脚本家の山田太一は、ドラマ「岸辺のアルバム」や「ふぞろいの林檎たち」などの話題作で有名です。
高科先生はこの人の作品がお好きで、脚本集も持っておられるとか。
たとえ亡くなっても、その人が残した作品を見るといつでも彼らの世界に触れることができます。
高科先生も、いま山田太一の作品を読み直しておられるところだそうです。

ということで、テキスト『60歳からの文章入門』(近藤勝重 著/幻冬舎新書) のP36〜P53を見ていきました。

著者は、新聞でコラムを書くようになってから「気づきメモ」を取るようになり、後日そのメモから文章の題材を見つけるようになったとか。
文章に行き詰まったら、歩き回るとアイデアが浮かぶ、とも。
中国で昔、欧陽脩という人が、「気づき/ひらめきが得られる場所は、鞍上・枕上・厠上である」と言い、それが「三上の説」として伝わっているそうです。
「今なら移動中の電車の中、床の中、トイレの中であろう」とは、外山滋比古が著書『思考の整理学』 (ちくま文庫) の中で言っていることです。 
外山氏はさらに、「夢中・入浴中・散歩中」にもアイデアが浮かぶことがある、と言います。これは皆さん思い当たることでしょう。
そして、時には「休む」ことも重要だとのこと。
人それぞれやり方があると思いますが、自分のやりやすい方法を探してみるのも良いのではないでしょうか。

 

休憩をはさんで後半は、広瀬友紀著『ちいさい言語学者の冒険――子どもに学ぶことばの秘密』 (岩波科学ライブラリー)  から、
子どもたちがなぜ言い間違い、書き間違いをするのかという興味深い箇所を見ていきました。

「か」と「が」「た」と「だ」は発音する時の口の形が同じなのに、「は」と「ば」は違うから間違うのだ。とか、
「女心」は「おんなごころ」なのに、「女言葉」が「おんなことば」は、通常なら2つめの言葉の最初の文字が濁音になるところも、2つめの言葉に既に濁音が含まれているときはこの限りではない(ライマンの法則)とか、目からウロコな内容でした。

昔、日本には書き文字がありませんでしたが、奈良時代に中国から漢字が伝わり、平安時代にはかな文字ができて、書き言葉が盛んになったのは江戸時代になってからです。そして明治時代に学校ができ、現代仮名遣いが統一されました。
今はひらがな44音・濁音18音ですが、奈良時代にはかな61音・濁音27音もあったそうです。
もう使われなくなってしまった音も多いですが、神楽や能などの中には、昔の発音で歌われていることもあるようです。

最後は、課題についてです。

課題を提出するときに、書き直しを何回するかということで、皆に訊いていきました。
高科先生は、①下書き→②書き直す→③少し時間を置いて過不足を調整し、推敲する→④清書する→⑤読み直して、順番や言い換えを考慮して再度書き直す→⑥清書する
というように進めているそうです。
人それぞれにやり方がありますが、今はワープロソフトで書いている人も多いため書き直しも簡単にできるので、先生のような進め方も参考にすると良いでしょう。

そして、今回の課題のテーマは「わらう」です。
「あるく」「たべる」と動詞が続いていますが、テーマは言葉そのものではなく、「わらいにまつわるさまざまなこと」と捉えていただければ結構です。
いろんな「わらう」について好きなように、文字数やジャンルも自由に書いてください。

提出は、年明けの1月13日(土)にある次(4回目)の授業の時にしてください。よろしくお願いします。
お正月休みの間にアイデアを練ってくださいね。

それでは、良いお年を!

 

 

 


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2023年11月25日(土)文章たっぷりコース第5期・第2回の授業内容/高科正信先生

2023-11-26 20:54:52 | 文章たっぷりコース

文章たっぷりコース第5期の第2回目の授業は、高科先生が自作にかけた思いについての話から始まりました。

世の中には沢山の本があります。書店に並んだ本からお気に入りを選び、それを買って読んだり
あるいは図書館で借りて読むこともあるでしょう。
その時は、読者はその本を好きに読むことができるし、どんな感想を持っても良いでしょう。
作者が何を思って作品にしたかなど、できあがってしまうと読者には関係ありません。
でも、ほんの少しでよいから、作者が伝えたかったことについて気にかけてくれると嬉しいとのことでした。

まず、今期テキストとなる『60歳からの文章入門』(近藤勝重 著/幻冬舎新書)を皆で音読。
前回の【思うより思い出すことを書け】の続きで、筆者が毎日新聞で発表したコラム「アジサイを振り返り眺めつつ」と
【身のまわりの変化をとらえる】から、灘中の入試問題に使われたコラム「サンダルからブーツ」と、「天気は天の気」
を見ていきましたが、入試問題はとても難しく、先生を含め受講生の皆さんはどうやら灘中に入れそうにないことが分かりました。

続いて、哲学者の鶴見俊輔が1979年に行った一般向けの文章教室で話した内容をまとめた『文章心得帖』(ちくま学芸文庫)から
鶴見氏が考える理想の文章の条件が書いてある部分を皆で読んでいきました。

鶴見氏は必要なのは、①誠実であること ②明晰であること ③わかりやすいこと だと言っています。
 ①は、人が作った言い回しなどを使わずに、普段使っているような自分の言葉で書くこと
 ②は、自分できちんと定義できる範囲の言葉で書くこと
 ③は、読者にとって分かりやすい表現で書くこと だそうです。
 特に高度な知識を持つ人は、「おりていく」ことが必要ではないかということでした。

では、分かりやすく書くにはどうすれば良いか。
文章をまとめていく段階として①思いつき ②裏付け ③うったえ の順番があるそうです。
 ①は、発想、気づき、ひらめき のこと
 ②は、①の根拠を調べて確認する作業のこと。文章にリアリティを持たせるうえで、重要になります。
 ③は、何が書きたかったかを明確に示すこと なのだとか。
最後まで書いても分かりにくいときは、②③を繰り返しましょう。
以上は、コラムなどを書く場合で、小説を書くときはもう少し複雑な作業になるそうです。

休憩をはさんで後半は、ひらがなについての興味深いお話です。
50音には、各行ごとに色や形の特徴的な感覚があるというのです。
そこで、絵本『かっきくけっこ』(作・谷川俊太郎/絵・堀内誠一 初出・ひかりのくに/再版・くもん出版)を紹介してくださいました。

この本は、1972年に ひかりのくに から出版され、高科先生はそのバージョンを持って来てくださったのですが
そのバージョンには、ことばパフォーマーの はせみつこ さんたちが朗読したソノシートがついていて、今回はその音声を聞かせていただきました。

言葉というものは発声しないとわからないこともあって、ひらがなの各行には特徴的なイメージがあります。
ひらがなに濁点がつくと、また違ってきます。
ひらがなの持つ柔軟性と、その中から生まれてくる言葉遣いに気をつけて、かなを使うようにしましょう。

最後に、前回の課題「あるく」の参考文献として、朝日新聞に寄稿した平民金子さんのコラム『神戸の、その向こう』より
「心の中に きみだけの花を」「ふいに特別な 深夜散歩」を見ていきました。
平民さんのコラムはいつも、日常のほんの一瞬を捉えた “この人にしか書けない文章” になっているので、先生は以前からよく紹介してくださいます。
ユーモアやペーソスがあり、具体的に分かりやすく、読んでいると情景が浮かんでくる…彼のような文章が自在に書けたらいいですね。

さて、今回の課題のテーマは「たべる」です。
食べること、食べたこと(思い出)、食べ物についての考えなどについて、自由に書いてください。
食べることをテーマにした、創作でもかまいません。
枚数も自由ですが、できるだけ人に伝わるように書くためには、それなりのボリュームが必要になってきますね。

ということで、次回12月23日の授業の時までによろしくお願いいたします。

授業はここまででしたが、終わった後で生徒さんから
一つの作品の中で時間が行き来したりすることがある場合、一行空けたりするのはどうしたらよいか?という質問がありました。

文章には、まず “音節” があります。音節とは「わたしは」など、これ以上小さくできない(意味のある)言葉の単位です。
それを集めたものが “文章” で、文章を集めたものが “段落” です。段落は、意味がそんなに違わない文の固まりです。
段落は、あまり長くなりすぎると読みづらいので、4〜5行から長くても7〜8行を目安にすると、書き手も読み手も分かりやすいです。
そこから別の文章に移るときに、“改行” をします。
改行をしてからも話は続くのですが、そこで今まで書いてきた時点から時間が経ったり、別の視点から書くことになる場合は、
そのまま続けて書くと話が分かりにくくなるので、“一行空け” たりして進めるのが、常套的な手段になります。

また、会話文の書き方についても質問がありました。
先生の考え方では、(慣れないうちは)会話文と地の文は分けて書いた方が良いでしょうということです。
でも会話だけで続けていくと、話し手の様子が分かりにくくなるので、「…」の前後で情景が分かる文章を入れる場合もあります。

という具合に、このクラスでは先生のお話だけでなく、生徒さんからの質問で思いがけず授業が盛り上がることも多々あります。
皆さん意欲的に授業に参加されているので、2時間半があっという間な感じがします。

次回の授業まで一か月ほどあきますので、受講生の皆さんは体調を崩さぬよう気をつけて、課題執筆に務めてください。

なお、高科先生はつねづね課題以外の文章についても、何か書いたものがあれば読んでアドバイスしてくださるとおっしゃっているので、
皆さんどんどん書いていってくださいね!

 


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