ゆるゆるらいふ

とりあえず、今日も一日機嫌よく・・・

もうひとつのひな祭り

2018年03月04日 | 季節



火傷をした母を病院に送迎したあと、ちょっと家に立ち寄ったら、お雛様が飾ってあった。

私が生まれたときに買ったもので、その後二人の妹とともに、毎年雑誌の切り抜きの写真を見ながら飾ったものだ。

高校を卒業後、進学のために家を出て以来、目にしていなかった。

買ってから、かれこれ半世紀は経っているが、意外ときれいでびっくりした。



実家を引き払うときに、さまざまな家財道具が家族以外の人たちの手で、色々な形で処分された。
もしかしたらもっと価値のあるものがあったかもしれないのに、あえて母はこのお雛様を母の姉の家に預けていた。

当時の私はと言えば、なんだかわからないままバタバタと荷造りをしていて、お雛様の行方など何の興味も無かったことだろう。

かなりの年月を経て、母は伯母からお雛様を引き取ったようだ。

5段飾りの段板は伯母が間違って捨ててしまったらしい。

なので、テーブルの上に簡易的に段を作ってざっくり並べている。

よく見ると、お雛様とお内裏様のアタマにかぶってるはずのモノが無かったり、
三人官女の持ち物がこれであってるのか?とか五人囃子の持ってるモノが違ってたり持ってなかったり、とめちゃめちゃ適当だ。

横に五人並ぶはずの五人囃子は二列に並んでるし。

私の雑さは遺伝なんだなあ、とDNAの恐ろしさを再認識する。

家に帰って息子たちにこの話をしたら、見たいというので再度母の家に行く。

ちゃんとしたお雛様を間近で見たことのない息子たちは、珍しそうに写真を撮っていた。

あのとき、このお雛様たちを伯母に託した母は、何を思っていたのだろう。
そのときから30年以上が過ぎ、平穏な日々を送っているだろう母は、何を思いながらこのお雛様を飾ったのだろう。

黄ばんだり、かびたりしていないきれいなお雛様を懐かしく眺めたあと、
実家の和室で、母や祖母や妹たちとお雛様を飾った遠い日をぼんやりと思い出しながら、
息子たちと家に帰ったのでした。






コメント
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