お正月に--別に正月でなくともよいのだが、少しく本の整理を行っ
た。「整理」といっても、なかなか断捨離とは行かない。
サラリーマンになって、会社としてはいきなり営業に出すわけにはい
かないと、業務部門に配属になった。最初は新聞のスクラップをして
いた。
ゼミでご指導いただいた大熊先生に、大きな声で「(会社に入って)新
聞のスクラップをしています」と言ったら、笑われた。
業務部門に入って、一番痛感したのは自分の文章力の貧弱さだ。
『ビジネス文書の書き方』といった本を片っ端から読んだ。そうこうして
いるうちに、営業に転属となった。
新聞記者はどうやって文章力の勉強をしているのかしらん。
あらためて考えてみると、文章力は、広い意味で国語力だ。
小学校時代、K先生(今もお元気だ。)から段落の要約する勉強を教
わった。おもしろくないので、「やらされた」感があったのかもしれない
(K先生、ごめんなさい)。真面目にやっていれば、少しずつでも国語
力がついたことだろう。
高校時代、国語のF先生からは、毎日、朝日新聞の社説を原稿用紙
1枚に要約するのが一番勉強になると勧められた。クラス50人の内、
何人がそれをやったのかしらん。
以下は、社会人になってから、国語力アップのために、私の読んだ
「文章読本」である。
「文章の書き方」もさることながら、もう少し広く、「文章の読み方、味
わい方」もテーマになっている物が多い。
はたして、私の国語力はアップしてきたのかしらん。
左から
1.谷崎潤一郎『文章読本』(中公文庫)
2.三島由紀夫『文章読本』(中公文庫)
3.丸谷才一『文章読本』(中公文庫)
4.清水幾太郎『私の文章作法』(中公文庫)
5.外山滋比古『文章を書くこころ』(PHP文庫)
6.向井敏『文章読本』(文春文庫)
1.昭和9年に書かれたものだが、いまだ価値を失っていない、現役!
2.三島由紀夫が川端康成に対抗して書いた?付録の「質疑応答」
がおもしろい。
3.1は文庫本230ページであるのに対して、これは文庫317ページ
だ。しかも活字が小さい--大書である。
あるとき芥川龍之介が夏目漱石と話をしていて(それゆえ大正四
年か五年のことである)、志賀を褒め、「どうしたらああいう文章が
書けるんでしょうね」と言ったところ、漱石が、「文章を書こうと思わ
ずに、思うままに書くからだろう。おれもああいうのは書けない」と
答えた(p.47)
という逸話がおもしろい。芥川は志賀にインフィオリオリティー・コン
プレックスを抱いていたらしい。
4.読めば分かるが、はたしてテーマごとに、著者の口述筆記がベー
スになっている。
5.「文章は料理のように、おいしく、つまり、おもしろくなくては話にな
らない」等々いろいろなヒントが書かれている。
6.著者は「書評家として当代無類の目利き」。例文(良文と悪文)につ
いてのエッセーといった書きぶりがすばらしい。
いずれも、この歳になって読み返すと、昔読んだ時よりも全然おもしろ
い。本が知らない間に成長したのかしらん(笑)。
なお、たまたまだろうか、1~4の著者は東大卒である。
ちなみに『新文章読本』を書いた川端康成も東大卒だ。
(それがナ・ニ・カ・・・・・・?)
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