人生ブンダバー

読書と音楽を中心に綴っていきます。
現在は、暇に飽かして、日々更新。

原彬久『戦後史のなかの日本社会党』

2020-05-20 05:00:00 | 読書

戦後史の一環--原彬久『戦後史のなかの日本社会党』をamazon
で取り寄せ、大変おもしろく読んだ。

本の内容は、「戦後史のなかの日本社会党」を「日本社会党を中心
とした戦後史」と読み替えることもできるかもしれない。力作だ。


日本社会党は、昭和20(1945)年、終戦後に非共産党系の合法社会
主義勢力が結集してできた。

ごくごく簡単にいうと、戦前の日本のマルクス主義者は、「講座派」
(→こちら。野呂栄太郎、山田盛太郎、平野義太郎、羽仁五郎等)
と「労農派」(→こちら。大内兵衛、猪俣津南雄、向坂逸郎等)に
分かれていた。

「講座派」→日本共産党(=当初、コミンテルン日本支部)、「労
農派」→日本社会党左派(社会主義協会)という流れだ。

--記憶では、両者は、70年代でもNHK討論で「明治維新をどう見
るか」で論争していた。

で、結党時の日本社会党には、大きくいうと、「労農派」マルクス
主義者(左派)と西欧型民主社会主義者(右派)の寄り合い所帯だ
った。(そもそも、一緒になるべきでなかった?)。

社会党50年の衰退の歴史は、イデオロギー観念論がからんだ派閥闘
争の歴史だったといえるかもしれない。


ちなみに・・・・・・
もし資本主義モデル(自由放任経済)と社会主義モデル(計画経済)
があるとすれば、両者を比較するのはいいだろう。
また、現実の、資本主義国と社会主義国を比較するのもよろしかろ
う。
(現実には、100%の資本主義国も100%の社会主義国もなく、「混合経済」という
ものだ)。


しかし、「現実の」資本主義国と「理想としての」社会主義モデル
を比較するのはナンセンスである(比較するのはおかしい)。

社会主義国(共産主義国)の「実態」が明らかになるにつれて、社
会党をはじめ「左翼」が衰えたのは、「必然」と言えるのかもしれ
ない。
「資本主義と自由」(M.フリードマン)ならぬ「社会主義(共産主義)と不自由」?


<目次>
第1章 戦後社会主義の出発
 1.「八月一五日」を越えて
 2.日本社会党の誕生--片山連立内閣の形成
第2章 「日米安保」を求めて
 1.初めての社会主義政権
 2.「日米安保」への模索
第3章 講和・安保に臨んで
 1.「日米安保」否定への助走--左派優位の起点
 2.講和・安保に揺れて--分裂の宿命
第4章 六〇年安保の疾走
 1.左右統一への道--反安保闘争の前景
 2.「安保改定」反対闘争の除幕--新条約調印を前に
 3.闘いのクライマックス--新条約調印を経て
第5章 後期冷戦のなかで--その(1)
 1.社会党衰退への道--路線・派閥抗争の躍動
 2.安保・外交政策の核心--「非武装中立」の旗
第6章 後期冷戦のなかで--その(2)
 1.社会党外交の実践--中国との関係
 2.社会党外交の実践--ソ連・北朝鮮との関係
 3.社会党外交の実践--西欧・第三世界・アメリカとの関係
第7章 冷戦終焉と日本社会党の崩落
 1.五五年体制を脱して
 2.「自社」連立政権と村山首班
終章 日本社会党の「理想主義」

参考資料は、約120冊の文献と約30人のインタビューがあげられて
いる。

<関連年表>
1950/1 平和問題談話会声明(全面講和論)
1950/1 第5回党大会:左右分裂→いったん統一
1950/6 朝鮮戦争(北朝鮮が韓国に侵攻)
1950/7 総評(日本労働組合総評議会)成立
1951/3 総評:行動要領「平和四原則」高野実事務局長
1951/10 講和・安保両条約で左右分裂
1955/10 社会党左右(再)統一(鈴木委員長、浅沼書記長)
1955/11 保守合同(自由民主党)
1958/10 警職法反対闘争激化
1959/3 第二次訪中団:浅沼「日中共同の敵」発言
1960/1 民主社会党結党
1960/5 安保反対大衆闘争激化(安保騒動)
1964/12 「日本における社会主義への道」(66/1補正)
    →こちら
1977/3 江田三郎離党
1986/1 「日本社会党の新宣言」→こちら
1987/4 国鉄民営化→JRグループ
1987/11 連合の発足
1991/12 ソ連崩壊
1992/6 (社会党)PKO法案に反対
1994/6 村山内閣(自社さ連立政権)
1994/7 村山の「政策大転換」
    ・日米安保は不可欠である。
    ・必要最小限度の自衛隊は合憲である。
    ・日の丸が国旗、君が代が国旗であることは尊重する。
1996/1 「社会民主党」に党名変更
1999/8 国旗及び国歌に関する法律成立(→こちら。)

(注)社会党の「非武装中立」は、ほとんど<現実>を見ない観念論と言っていい
 だろう。
 現在の社民党も、「自衛隊は違憲であり、縮小し、非武装を目指す」というもの
 (2006年宣言)。   

 *社民党の現有議席:衆議院2、参議院1(R2[2020]/5現在)。



原彬久『戦後史のなかの日本社会党』(中公新書、2000/3)★×5

 ------------------------------

5/19(火)
〇東京都の新たな感染は5人。
 ニュースは、「気を緩めてはならない」の大合唱。

〇OB幹事会(WEB会議)--報・連・相の情報共有。
 「情報共有」と「情報発信」はまことに大切。

〇音楽会、コンサート等は、6月や7月まで引き続き続々中止、延期
 となっている。
 こちらは聴きに行けないことを我慢するだけだが、当事者、主催
 者は、死活問題で、さぞ大変だろう。
 一刻も早い終息を願うばかりだ。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 5/15 あざみ野をぐる~っと... | トップ | 那須聖『ソ連崩壊』  プレ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

読書」カテゴリの最新記事