人生ブンダバー

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那須聖『ソ連崩壊』  プレミアムカフェ「東京ランドマーク図鑑」

2020-05-21 05:00:00 | 読書

金森久雄『わたしの戦後経済史』(5/10→こちら)という本で、
『男の選択』(5/14→こちら)を知り、次にその中にあった那須聖
『ソ連崩壊』に興味を覚え、amazonで取り寄せた。
まことにおもしろく読んだ。

本書の発刊は、昭和61(1986)年6月だ(ソ連崩壊の5年前)。
当時、大々的に新聞広告に出ていたが、SFか何かだと思い、購入
しなかった(笑)。

本書より
 はしがき
 われわれが生きている現代を、長い人類の歴史の中に位置づけてみると、それ
 は激動期であるといっていい。その激動の原因には様々のものがあるが、主た
 る政治的原因は何といっても共産主義国ソ連がとる「膨張主義政策」(注:「
  」は当ブロガーが加えたもの。)、換言すれば帝国主義政策にあるといって
 もいい。

 ソ連の「膨張主義政策」の窮極目標は共産主義によって制覇して、モスクワの
 支配下におくということで、この政策は第二次世界大戦以後ますます露骨にな
 ってきた。・・・・・・

 マルクス・レーニン主義及びそれにのっとるソ連体制を客観的にかつ詳細に分
 析してみると(注:後述)、その中には文明の歴史についていけず歴史のふる
 いにかけられて崩壊していかざるを得ない要因が内蔵されている。そしてその
 要因が今ではかなり動きだしている。つまりソ連体制の崩壊は宿命であり、そ
 れは避けることができないのみならず、ソ連体制は今や崩壊過程をたどりつつ
 ある。


膨張主義政策はソ連なき現在、中国が採っている?

マルクスがいうような資本主義の崩壊が必然ではなく、共産主義の
崩壊が必然なのは歴史が証明している?


興味深いのは「第6章 崩壊後に来るもの」である。
 ソ連帝国の崩壊は共産主義、つまりマルクス・レーニン主義が失敗であったこ
 とを世界に劇的に知らせる事件であるから、それは多くの国々の内政にも影響
 してくる。
 日本の場合をみておこう。日本では共産党は事実上消滅してしまうであろう。
 ほとんど誰も相手にしなくなるからである。社会党も大急ぎで右旋回しなけれ
 ばならないが、過去の行きさつや人材からみて難しいであろうから、小政党に
 転落する。自民党はこれをみて喜んでばかりいるわけにはいかない。・・・・・・
 日本が保守、革新でなく、アメリカのような保守の二大政党制になるまでには
 まだ相当の試練を経験し、時間をかけなければならないであろう。

 

当時、ソ連が崩壊するなどとは思ってもみなかったが、実際に崩壊
したのは1991(平成3)年12月だ。

もしかすると、中国も5年後には「崩壊」(民主化?)するかしら
ん。


そもそもソ連はいつできたのか?(--私が生まれる前である)。
1848 マルクス・エンゲルス『共産党宣言』
1914 第一次世界大戦勃発(~1918)
1917/3 二月革命(当初は食料配給改善デモから。でも・・・・・・)
1917/3 ロシア皇帝退位(→1918/7銃殺)
1917/4 レーニン帰国、「四月テーゼ」
1917/8 レーニン『国家と革命』執筆
     --プロレタリア独裁、暴力革命論
1917/9 共和国宣言、ケレンスキー首相
1917/11 十月革命(武装蜂起)、レーニンソヴィエト政府組織
1919/3 コミンテルン(共産主義インターナショナル)結成
1922/12 ソヴィエト社会主義連邦成立
1924/1 レーニン死去
1925 (日本)1.ソ連を承認(日ソ基本条約)、3.普通選挙法、4.治
   安維持法

  *   *   *   *

(参考)
1945/8 ソ連、日ソ中立条約に違反し、満洲等へ侵攻
    (参考)国民の「反ソ感情」→こちら
1947/9 ソ連、コミンフォルム(共産党・労働者党情報局)結成
1949/10 中華人民共和国成立
1950/1 コミンフォルム、日本共産党の野坂参三の平和革命論を批
    判。
1950/2 中ソ友好同盟相互援助条約(日本を仮想敵国と明記)
1950/6 朝鮮戦争(北朝鮮、韓国へ侵攻)
1951/2 共産党、武装闘争方針(山村工作隊)--暴力革命の新綱
    領(→こちら
1951/9 サンフランシスコ平和条約・日米安保調印


<本書の目次>
第1章 ソ連帝国の崩壊は宿命である
第2章 ホモ・ソビエト
第3章 大衆を愚弄する偽情報と情報統制
第4章 負担に耐えられなくなった膨張主義政策
第5章 ソ連体制の対衛星国関係
第6章 深刻な国内問題を解決できないソ連体制
第7章 崩壊へのシナリオ
第8章 崩壊後に来るもの



那須聖『ソ連崩壊』(太陽企画出版、S61[1986])★×5
著者紹介(本書出版当時)
大正5年生まれ。コロンビア大学で、国際関係論、国際機構論を専攻。毎日新聞社
ワシントン特派員、ニューヨーク支局長、外信部副部長、論説委員を歴任。現在、
ニューヨーク在住外交評論家。




レーニン『国家と革命』1917(岩波文庫)
「プロレタリアート独裁」と「暴力革命(暴力蜂起)」を justify したもので、ロシ
ア革命期に執筆、発表された。



コミンテルンなき今日、民主主義諸国の共産主義政党は、「暴力革命」を放棄して
(?)、
「プロレタリアート(一党)独裁」を目指す??


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5/19(火)BSプレミアムカフェ「東京ランドマーク図鑑」を視聴。
日本の建築の発想、技術、「突貫工事」はすばらしい--東京タワ
ー建設に思う。


東京タワーの建設









東京タワーには、恥ずかしながら、まだ行ったことがない(東京ス
カイツリーには一度だけ行ったことがある)。


〇弁松に続き、東京の美々卯(みみう)も閉店。大ショックだ。


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2 コメント

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東京タワーといえば、 (sho)
2020-05-21 10:23:46
東京タワーといえば映画「鬼畜」です。長女を置き去りにするシーンが強烈に残っています。

舞台は埼玉県・川越市。印刷屋を営む宗吉(緒形拳)は、妻・お梅(岩下志麻)に隠れ、料理屋の女中・菊代(小川真由美)を妾として囲い、7年の間に3人の子供を産ませていた。(中略)
ついに末子である次男・庄二が、お梅による育児放棄の末、衰弱死する。お梅は残りの子供も処分することを宗吉にせまり、宗吉は長女・良子を東京タワーに連れて行き、置き去りにする。さらに長男・利一をも毒殺しようとするものの果たせず、2人で涙に暮れる。

慶應から近いです。
返信する
Re;東京タワーといえば、 (katsura1125)
2020-05-21 10:45:40
shoさん、早速のコメント有難うございます。

「鬼畜」は松本清張、怖いですね~、怖いですね~。と言いながら、観たことはありません(笑)。

JR田町駅(東京)から慶應の方に歩いて行くと、国道1号線(桜田通り)に出ますが、ちょうどその上り方向正面に「東京タワー」が見えますね~。
返信する

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