加藤陽子さんといえば、平成21(2009)年に『それでも、日本人は
「戦争」を選んだ』(朝日出版社)を発刊している(→こちら)。
本書は、それ以前の平成14(2002)年に新書(講談社現代)として
発刊したもので、本書があって後の『それでも、~』があると言え
るかしらん。
本書の時点で、既に加藤先生らしい「問い」は発せられている。
〇歴史には「出来事」のほかに「問い」がある。
〇いわば、戦争を戦争で語る、戦争を戦争で説明するという行為が、
自然に日常的になされていたのが、戦前期までの日本社会であった
といえるでしょう。このような社会を前提とするとき、太平洋戦争
だけを取り上げて、「なぜ、日本は負ける戦争をしたのか」との問
いを掲げてみても、「正しい問い」をしたことにはならないのでは
ないでしょうか。
<目次>
第一講 「戦争」を学ぶ意味は何か
第二講 軍備拡張論はいかにして受け入れられたか
第三講 日本にとって朝鮮半島はなぜ重要だったか
第四講 利益線論はいかにして誕生したか
第五講 なぜ清は「改革を拒絶する国」とされたのか
第六講 なぜロシアは「文明の敵」とされたのか
第七講 第一次世界大戦が日本に与えた真の衝撃とは何か
第八講 なぜ満州事変は起こされたのか
第九講 なぜ日中・太平洋戦争へと拡大したのか
これらの「問い」を見ただけでも、本書を読んでみたくなる(笑)。
とくに第九講にある「九ヵ国条約、不戦条約をどう乗り切るか」と
いう「問い」に対して、石原莞爾や板垣征四郎が答えを用意(準備
?)していたという指摘は興味深い。
--いわば「超保守」の中にはいまだにそれを主張している人がい
るように思えるのだが・・・・・・。
加藤陽子『戦争の日本近現代史』(講談社現代新書)★×5
<参考>
『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』
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