人生ブンダバー

読書と音楽を中心に綴っていきます。
現在は、暇に飽かして、日々更新。

内田健三『派閥』(S58)

2020-05-13 05:00:00 | 読書

書棚を整理していたら、元共同通信社政治部長・論説委員長内田健
三(1922-2010)の『派閥』(講談社現代新書、S58[1983])が
出てきた。おもしろく読み返す。

本書が書かれた背景は、
 はじめに--
 ここ数年にわたる日本の政治状況は、”三角大福”の四者による「派閥怨念の十年」
 と呼ばれ、また、ロッキード事件にからむ”田中軍団”の異常な増殖が話題となる
 など、自民党派閥の存在とその動向があらためて国民の注目を集めている。

というものである。


発刊当時は、知らなかったが、Wlikiによると、内田は学徒出陣の世
代だという。
学徒出陣は、昭和18(1943)年10月からだが、たしかに内田は、大
学在学中の昭和18年7月に21歳となっていた。
戦後、東大に復学、丸山真男(1914-1996)に師事したことも、知
らなかった~。

平成2(1990)年に、現在の選挙制度(衆議院-小選挙区比例代表
並立制)を答申した「第八次選挙制度審議会」に委員の一人として
参加している。
(第八次選挙制度審議会答申から30年!)


平成6(1994)に成立した「小選挙区比例代表並立制」(や「政党
交付金」等「政治改革四法」)は、目論みどおり派閥弱体につなが
った、といえるのではないかしらん(--成立は細川内閣の時。本
制度の実施は、平成8[1996]年の衆院選から)。


本書にあるが、田中角栄は、昭和58(1983)年当時、「派閥をやめ
ろという議論は、小選挙区制を前提としたものだ。小選挙区制はや
らない。派閥は作るなというのでは、自民党を落とせということだ
っ」と言っている。

また、岸信介は、'80(S55)年代初めに、小選挙区制によって、二
大政党制と派閥解消が進むと言っている(「小選挙区は野党を強く
する」『岸信介証言録』)。

--民主党(1998-2016)が一時自民党とともに二大政党制におさ
まりそうだったが・・・・・・。民主党政権はいまだ「心的外傷」(トラ
ウマ)?


しかるに、自民党は派閥が弱体化したために、「党内野党」がなく
なってしまったとメディアは批判するが、では昔、彼らが批判して
いた、派閥選挙があり、野党が未成熟な1.5大政党の方よかったのか
しらん?と言いたくなってしまう。
メディアは常に現政権批判??

選挙制度に100点満点はないけれど、やはり多くの国が採用してい
る小選挙区制の方がいいのではないかしらん。


本書は、半分以上のページにわたって、自民党の派閥分析に当てて
いる。しかし、派閥はどこにでもある!

本書によれば、社会党(当時)にも派閥があり、しかもそれはイデ
オロギーがらみのものだったという。

一方、共産党と公明党は、「ともに一糸乱れない結束と統一を誇り、
その意味で党内権力が集中・確立している。・・・・・・だから内部に派
閥を生じる可能性は乏しいし」、「もし分派が生まれれば、党から
追い出されてしまう。共産党の歴史はそのことを実証している」と
いう。
--これは、本書から40年近く経った現在も変わらないのかしらん。

<目次>
1.自民党は”派閥連合”政党
2.自民党派閥の誕生
3.”八個師団”から五大派閥へ
4.合従連衡の生態
5.「三角大福中」の十年戦争
6.政党派閥はなぜ生まれるか
7.権力と利益の争奪
8.日本的「閥」の系譜
9.派閥政治の転換点


内田健三『派閥』(講談社現代新書)


『岸信介の回想』と『岸信介証言録』

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NHK「エール」を毎日視聴している。
主題歌「星影のエール」(→こちら)を歌っているGReeeenって、4
人組で、みんな歯科医師なんだってね~。

〇このところ、検察官定年延長問題で国会が盛り上がっている。反対
 をツィートしている芸能人たちは、ある前提から共有しているのだ
 ろうが、私は頭が悪いのか、何が問題なのか、ワードショーを視聴
 してもよく分からない。
 ハッキリしているのは、
 ・検事総長は内閣が任命する(--任期は2年程度)。
 ・「通常は」、検事総長は、東京高等検察庁検事長の次のポスト。
 ということだが、興奮している人の話というのは、真偽不明のウワ
 サの類も交じって、どうも分かりにくい(笑)。


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