3月28日(水)午後、 銀座一丁目の ル テアトル銀座 へ。由佐憲靖さんがア
ンジョルラスを演じるというので、東宝ミュージカルアカデミー6期生の卒業公演
「レ・ミゼラブル」を鑑賞した。
東宝ミュージカルでは、過去に森繁久彌の「屋根の上のバイオリン弾き」、市川
染五郎(現松本幸四郎)の「ラ・マンチャの男」を帝国劇場で観たことがあるが、
「レ・ミゼラブル」は初めてだ。
昔--今から40年以上前に、家に読まれない世界文学全集(それと平凡社の
世界大百科事典)があった。出版社は河出書房ではなかったかしらん。その中
には、「レ・ミゼラブル」も含まれていたに違いない。
しかし、前述のとおり、その世界文学全集は読まなかったので、「レ・ミゼラブル」
がヴィクトル・ユーゴーの小説で、『ああ無情』であることを知らなかったし、舞台
は19世紀前半のフランスで、その主人公が「1本のパンを盗んだために19年も
の監獄生活を送ることになった」ジャン・バ(ヴァ)ルジャンであるということも知
らなかったし、「行く先々で冷遇された彼を、75歳のミリエル司教は温かく迎え
入れる。しかし、その夜、大切にしていた銀の食器をヴァルジャンに盗まれてし
まう。翌朝、彼を捕らえた憲兵に対して司教は『食器は私が与えたもの』だと告
げて彼を放免させたうえに、二本の銀の燭台をも彼に差し出す。それまで人間
不信と憎悪の塊であったヴァルジャンの魂は司教の信念に打ち砕かれる。迷
いあぐねているうちに、少年プティ・ジェルヴェの持っていた銀貨40スーを結果
的に奪ってしまったことを司教に懺悔し、正直な人間として生きていくことを誓う」
ということも知らなかった。(知らないことはいくらでもある。)
また、由佐憲靖さん演じるアンジョルラスが「秘密結社ABCの友に所属する若
作りで天使のような容姿端麗の22歳の青年で、結社の首領。富裕な家庭の一
人息子」(*)で「イケメン」であることも、無論知らなかった。
(*)ウィキペディアより
ル テアトル銀座は客席数770の中劇場で、この日はほぼ満席だった。出演者
の友人・知人を中心に女性客が多かった。
ミュージカルは、オペラ→オペレッタ→ミュージカルと発展してきたもののようだ。
オペラとミュージカルは似ており、どちらも歌(歌唱、発声)と演技が中心であるが、
ミュージカルにはそれに加えてダンスが加わり、演技の比重も大きいのではない
かしらん。また、一般的に、オペラはマイクを使用しないが、ミュージカルは使用
することが多いようだ。
この公演は東宝ミュージカルアカデミーの卒業公演ということもあり、ジャン・バ
ルジャン役の上條恒さん(上條恒彦の長男、今年43歳)は別として、20代の人
々が歌って踊って、若々しい演技を繰り広げた。
発声的には人によって若干ばらつきがあったが、「お目当て」のアンジョルラス
は途中から登場し、「1832年6月5日、ラマルク将軍の葬儀のあった夜、他の
共和派と共に決起し、居酒屋コラントを中心としてバリケードを築き、マリユス
らとともにバリケードに立て篭もって暴徒たちを指揮する(後にこの暴動は、6
月暴動と呼ばれるようになる。)」シーンを中心に目立つ役だった。中でも、最
後にバリケードの上から下へ仰向けに倒れる場面は圧巻だ。音大(声楽)を卒
業されているだけあって、発声的には頭一つ抜け出していたのではないかしら
ん。
ちなみに・・・上條恒さんはお父さんを彷彿とさせる声で、さすがの存在感を示
していた。(--「出発(たびだち)の歌」を思い出した。)合唱もアインザッツよ
ろしくなかなかよかった。エポニーヌ(木村帆香さん)のソロは思い入れある歌
唱でひきつけられた。
カーテンコールでは、6期生の一人(女性)から「たくさんの先生方、スタッフの
方々、陰で支えて下さった皆様のお蔭で、この日を迎えることができたことに
感謝しております。6期生一同、これからもこの一年間の経験を活かし、それ
ぞれの道を歩んでまいります。今後も私たちの応援、よろしくお願いいたします」
という気持ちのいい挨拶があった。皆さん今後の活躍が楽しみだ。
TMA6期卒業公演『レ・ミゼラブル』キャスト(3月28日)
ジャン・バルジャン;上條 恒
ジャベール;黒沼 亮
エポニーヌ;木村帆香
ファンティーヌ;今込 楓
コゼット;山田麻里奈
マリウス;豊田昌史
テナルディエ;辺田友文
テナルディエの妻;町田桂子
アンジョルラス;由佐憲靖
ガブローシュ;堀田杏奈
リトル・コゼット;石井アン(「日の下に安」)璃
リトル・エポニーヌ;田邊瑤子
ジョリ;梅原早紀
少年1;落合千菜咲
かつら屋;勝目雪菜
バベ;久保 光
ファクトリー・ガール;酒井翔子
フイイ;島田 瞬
クールフェラック;竹内真理
モンパルナス;田中ひかり
プルベール;塚越眞夏
レーグル;津吉麻致子
マテロット;中根百合香
バマタボア/アゼルダ;永井 誠
買い入れ屋/ブリジョン;原 宏美
グランテール/工場長;松村 光
クラクスー;三浦奏子
コンブフェール/司教;水鳥繭見
演出;増田邦彦
音楽監督;山口「王に秀」也
Orchestra Members
Key board 1 & Conducter;Billy 山口
Key board 2;間野亮子
Key board 3;知野根倫子
Bass;眞鍋真一
Percussion;長谷川智紀
W・Wind;清水直人
翻訳;酒井洋子
訳詩;岩谷時子
27日と28日のキャスト(50音順)
27日のアンジョルラスは田中秀哉さん。なかなかの前評判のようだった(27日
は未聴。)が、由佐憲靖さんも勝らずともけっして劣らないと思わせる熱演だった。
上のトリミングが下の写真 (今月来週には27歳! おめでとう!)
中央通り銀座一丁目交差点より京橋方面
このあたりは営業時代によく歩いたものである
銀座一丁目9-12 ドトール柳通り店で開演前に一服
銀座通り口交差点の交番
テアトル銀座のビル(銀座一丁目)
1階に貼り出された案内
3階会場入口
3階ロビー
座席より
<読書>
橋本武『<銀の匙>の国語授業』(岩波ジュニア新書 新刊)★★★★★
私は「知らなかった」が、橋本武先生は、知る人ぞ知る灘中・高の国語の先生。
中勘助『銀の匙』(岩波文庫)--たいした厚さではない--を6年間かけ、横
道へそれながら読んでいく授業を50年間続けたという。現在99歳、今年には
100歳を迎える。感動的であり、大変におもしろかった!
渡辺満里奈『満里奈の旅ぶくれ-たわわ台湾-』(新潮文庫)★★★★
私の台湾シリーズ。台湾観光局のイメージキャラクターに選ばれた著者による
台湾食べ歩きの本である。実際に歩いて食べたところが地図入りで紹介され
ている。平成15(2003)年の発行で少し古いかもしれないが、中国茶の記述
も多く、楽しめる。amazonで348円。
成田龍一『近現代日本史と歴史学』(中公新書)★★★★
2月におもしろい本が出た。「歴史は書き替えられる」ものであり、「書き替えられ
てきた過去(明治維新以降)」を整理した、本書である。問題意識は時代ととも
に変化するといえるのかもしれない。「現代史は歴史ではない」といったのは誰
だったろう。昭和史もまたこのようにして歴史となっていくのカモ。
<CD>
東日本大震災被災者支援プロジェクトとして音楽CD付き写真集「二千年の祈
り-未来の子どもたちのために-」(1260円)が出版された。
全国の写真愛好家から応募された作品21点の入選作品は、いずれも日本の
風土を撮ったものである(監修;松田美由紀)。
歌は、「二千年の祈り-未来の子どもたちのために-」(舩山嘉之作詞作曲)
と「見上げてごらん夜の星を」(永六輔作詞、いずみたく作曲)がカップリング
されており、いずれも藝大出身のテノール馬場崇さん(第36回イタリア声楽コン
コルソ シエナ大賞受賞ほか)が歌っている。
とくに「二千年の祈り」はひと言でいえば「癒しの歌」といえばいいのかしらん。じ
わじわと心にしみてくる歌唱である。もしかすると、「じわじわと」大ヒットするか
もしれない・・・と思いながら耳を傾けた。
「私たちの誇り 私たちの祈り ・・・ 美しいこのくに」(歌詞の一部)
この収益金は東日本大震災の被災者支援に寄付されるという。
こちらもご参照。amazon等でも購入できる。
* * * *
3月29日(木) 新宿文化センターにてOB練習。「ソーラン節」などと「尾崎喜八
の詩から」を練習。発声練習の「発声」と曲を歌う時の「発声」は同じであるべき
だろうに、(私は悪い癖で)まだまだ別物になっていまう。ゴルフでいえば、練習
とラウンドのスイングが別になっているといえるだろう。22時20分、疲れて帰
宅。
3月31日(土) 東京(靖国神社)の桜が開花を迎えた。平年より5日遅いという。
近所の桜はまだつぼみである。(下の写真)一日、嵐のような風が吹いた。
これはたまプラーザのデパートの桜
4月1日(日) 晴れ。ブログ作成後、少しウォーキング。
こぶしの花はまだ咲かない
レンギョウ
ジンチョウゲ
桜のつぼみもふくらんでいる
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