人生ブンダバー

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満州事変と『戦う石橋湛山』(半藤一利) 終盤の東京五輪

2021-08-06 05:00:00 | 近現代史

石橋湛山は、明治17(1884)年生まれ。
同年生まれには、元首相の東條英機、元外相の有田八郎などがい
る。小泉信三は明治21(1988)年生まれだ。

石橋湛山は、昭和5年の旧平価金解禁反対(高橋亀吉、小汀利得
とともに。)、昭和32年の首相退陣(当時72歳*)などで知ら
れている。

占領中は、まったく理不尽な公職追放にあっている(その昔、細
川隆元と小汀利得の「時事放談」で、小汀が「あれほど訳の分か
らないことはなかった」と怒っていた記憶がある)。


本書p19*
 昭和31年12月、自民党大会で奇跡の逆転劇を演じ、岸信介を7票の差で破り、
 首相の座についたとき、国民は喝采をもってそんな豪気な湛山を迎えた。

 湛山首相も大いにハッスルした。
 小泉信三も外国の首相の例をひいて休養の必要を説いた。しかし湛山は耳を
 貸そうとしなかった。

 結果はあまりにも無情なものとでた。32年1月25日、気管支炎で石橋は起き
 上がれなくなってしまったのである。・・・・・・これでは首相として予算審議に
 は一日も出席できない。
 翌23日、石田博英官房長官が石橋首相の引退声明を読み上げ、内閣総辞職を
 発表した。


  友人諸君や国民多数の方々には、そう早まる必要はないというご同情ある
  お考えもあるかもしれませんが、私は決意しました。私は新内閣の首相と
  して、最も重要な予算審議に一日も出席できないことが明らかになった以
  上は、首相としての進退を決すべき
ものと考えました。私の政治的良心に
  従います。



さて、満州事変勃発時、朝日と毎日は徹底して軍部にエールを送
り、若槻内閣を「叱咤」した。
--国民も軍部を支持し、朝日と毎日は、「大人気」で販売部数
を伸ばす。

本書p118
 朝日の社説は「権益擁護は厳粛」という標題で論じている。
 「事件はきわめて簡単明瞭である。暴戻なる支那側軍隊の一部が、満鉄線路
 のぶっ壊しをやったから、日本軍が敢然として起ち、自衛権を発動させたと
 いうまでである」

 朝日は9月23日「朝鮮軍の満洲出動 閣議で事後承認」を報じたうえで、そ
 の社説「中外に声明するところあれ」で、かえっていまこそ勇断を示せと政
 府の尻を叩いているのである。
 「事実において陸軍が動いた以上は、それは帝国陸軍が動いたのである。・・・
 ・・・」と、いぜんとして弱腰をみせている若槻内閣に勇断を示せと迫るのであ
 る。



では、元々満州を捨てよという持論を持っていた石橋湛山は、
「東洋経済」で、満州事変をどのように論じたのだろう。

本書p132
 湛山は前者(9月26日号)の社説で、軍部の独走を指摘した。事件勃発いら
 いの経過をみていると、内閣と軍部との間に意見がひどく相違しているのは
 明白である、として、内閣の不拡大方針を軍部が無視して勝手なことをして
 いると断じた。


  内閣はぜひとも事件を拡大せぬように、兵を動かさぬようにと、しきりと
  軍部に要求せるにもかかわらず、その要求はほとんど受け入れられた形跡
  もない。
  はなはだしくは、内閣会議で議論が決せず、その決定を明日に保留せる出
  兵を、会議終了後いくばくの時も経ず、すでに朝鮮軍司令官が独断で決行
  したから、そう承知してもらいたいと、陸軍大臣は首相に報告して済まし
  たと公表せられた。
  これは、もともと内閣が決定を明日に延期したのが間違いで、軍司令官の
  独断専行は、全く機宜の処置やむをえなかったためであろう。・・・・・・が、
  それにしても、かように内閣の方針が、ほとんどことごとに軍部のなすと
  ころと異なって、どこに内閣の権威があろう。

石橋湛山は、この時47歳であった。


半藤一利『戦う石橋湛山』(ちくま文庫)★×5。
<昭和初期、敢然と軍部を批判し続けた壮絶な言論戦を、日和見
な大新聞との対比で描いた傑作>

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東京オリンピック2021+1
〇陸上男子100m:ハラハラしたが、まずはきっちり走り予選通
 過!決勝は8/6(夜)。



〇男子砲丸投げ:初めて見る「回転投法」にビックリ!
 ライアン・クルーザーは圧倒的に強い金メダル。
 金、銀、銅はリオ五輪と同じ(大珍事)!
 砲丸投げを視ると、前回東京五輪のタマラ・プレス、イリーナ・
 プレス姉妹を思い出す。

〇女子ゴルフ:稲見がいい位置につけている。畑岡は、畑岡にし
 ては調子がいま一つ?まだまだチャンスあり。
 その他の選手も、オリンピックは予選落ちがないので最後まで
 頑張って!
 (通常のツアーだと予選落ちになりそうだと、ギャラリーも付
 かず、流してしまうこともあるようだが・・・・・・)。

 あまりの猛暑のため、明日からはOUT、INの同時スタートにな
 るという。

 膝の位置から「ドロップ」していたのにビックリ!

 今回は、18ホールにTVカメラが設定されている。贅沢な放送だ。




〇20km競歩:池田、山西が銀と銅。これも歴史的快挙だ。
 札幌だって暑い時は暑い!?


ラスト1周の鐘が鳴る。


日本のメダル数は43個に。まだまだ増えそう。


〇女子レスリング:川井姉妹が金メダルの快挙!!



〇新種目空手「形」もおもしろい!清水の動きがすばらしい。


〇新規感染者数:東京5,042人、神奈川1,846人。
〇ワクチン接種のペースが遅すぎる?

〇河村名古屋市長は何をやったの?


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