先週土日はワグネルの定期演奏会、そして翌日の9日成人の日は朝から午後3
時までブログ作りにバタバタと時間を費やした。(グッタリ~!)食事の時間もパソ
コンに向かいながら作成したので、かなりミスもあり、10か所以上(!)を訂正した。
(--一週間かけて少しずつ修正、写真等も追加した。)
岩波新書編集部編『日本の近現代史をどう見るか』(岩波新書)★★★★
同じ会社(--厳密には本社)のTさんは、歴史好き、それも日本の近現代史が
お好きで、Tさんが読むものと私が読むものが重なることがある。そのTさんから
お借りして年末に読んだ本である。
岩波新書のシリーズ近現代史の最終巻として、9巻の著書がサマリー的に書い
たもので、文体も統一されており、読みやすい。
以前にも書いたが、戦前の歴史研究は日進月歩のようで、いよいよ歴史の仲間
入りとなりつつあるのではないかしらん。問題意識も研究者の若返りとともに多
少変化しているのかもしれない。--本書を読んで、そんな感想を持った。
各章ごとに著者の推薦参考図書もあげられており、興味は尽きない。
ドナルド・キーン『日本人の戦争--作家の日記を読む』(文春文庫、H23年12月)
★★★★★
ドナルド・キーンは、畑中良輔先生、山田風太郎、そして水木しげる等と同じ大正
11年の生まれで6月には90歳を迎える。独身なのかしらん、余生を日本人ととも
に送りたいと日本永住を決め、帰化する方向のようだ。
本書は、そのキーンが、昭和16年から21年まで、日本の作家がつけていた日記
をベースに日本人の精神に迫ったエッセーである。
昨年、私は、『永井荷風日記』をベースにした『永井荷風の昭和』(半藤一利)、高
見順『敗戦日記』、山田風太郎『戦中派不戦日記』をおもしろく読み(*)、それを
時代評論としてまとめてみたい気持ちが少しおきたが、私にそのような力量など
あるはずもなく、そのままになってしまっているタイミングで読んだのが本書であ
る。
(*)その時の「人生ブンダバー」は・・・こちら(8/15)とこちら(8/22)。
さすがキーン先生、自分の気持ちと重ね合わせ、読み解き、書く力がすばらしい。
本書で取り上げられている、主な日記作者は、永井荷風(明治12年生)、高見順
(明治40年生)、伊藤整(明治38年生)、山田風太郎(大正11年生)、清沢洌(き
よし)(明治40年生)等々である。
以下、本書の一節をご紹介しよう--(引用が長くなるので、一部略し、数字は
横書きにした。詳しくは本書をご参照。)
昭和20年(1945)3月10日の空襲は東京の住民を恐怖で戦慄させたが、空
襲を受けなかった町に住む人々も似たような恐怖を経験した。(略)
高見順は鎌倉の安全性に危惧を抱き、母親を疎開させることにする。上野駅
は、少しでも安全なところへ逃げようと必死になっている罹災民で満ちていた。
前年いた中国で目撃した光景を思い出し、高見は日記の中で中国人と日本人
を比較している。上野駅ほど混雑していたわけでもないのに中国人は大声で
わめき立て、あたりは大変な喧噪だった。そうした喧しい中国人に比べて、おと
なしく健気で、我慢強く、謙虚で沈着な日本人に、高見は深い感銘を受ける。
私の眼に、いつか涙が湧いてきた。いとしさ、愛情で胸がいっぱいだった。
私はこうした人々と共に生き、共に死にたいと思った。否、私も、--私は今
は罹災民ではないが、こうした人々の内のひとりなのだ。怒声を発し得る権
力を与えられていない、何の頼るべき権力もそうして財力も持たない、黙々
と我慢している、そして心から日本を愛し信じている庶民の、私もひとりだっ
た。
(文庫版p111~112)
この「高見順日記」の一節は、私も感動したが、ドナルド・キーンも大好きなよう
だ。東日本大震災と日本人をこの一節と重ね合わせ、日本永住を決意したの
カモしれない。
* * * *
1月9日(月・祝) ブログ作りのかたわら、横目で高校サッカー決勝をTV観戦。四
日市中央工業VS市立船橋。四日市中央工業を応援。四日市市は昔の「地元」だ。
ロスタイムで追いつかれたうえ、延長で逆転負け。20年ぶりの優勝ならず、無念!
20年前優勝の中心選手が小倉隆史、中西永輔等である。
「小泉恵子門下生による声楽発表会」(入場無料)があったがブログ作りのため断
念!
1月10日(火) 部内(社内)の人権啓発研修。「さまざまな予断や偏見から生じる
差別」をなくそうという趣旨で毎年行われている。私は一応「講師役(先生)」となっ
ているが、私も初心に戻り、「受講者(生徒)」のつもりでDVDを視聴した。
さまざまな予断や偏見から自由であることは、なかなかに難しく、<不断の努力>
が必要だ。
「日本人は(すべて)勤勉だ」
「ワグネル(男声合唱団)は、(いつも)ドイツ語の歌がうまい」
--このような考え方は危険(!)だ。
日本人には勤勉な人もいれば、そうでない人もいる。
ワグネルはドイツ語がうまいのではなく、いい指導者(専門家)のもとで、<必死
の練習>をするから、多少はうまくなるのではないだろうか。とくに大学の合唱団
は4年でメンバーが入れ替わってしまうから、下手になるのはあっという間で簡単
だ。
言い方を変えれば、○か×かという考え方(--S.I.ハヤカワをこれを「二値的
考え方」といっている。)はよろしくない。最近はいわれなくなったが、保守か革新
かという言い方も二値的なものだ。政治宣伝に多い。
「二値的考え方」の反対語は「多値的考え方」である。
なお、S.I.ハヤカワは、「いくら言ってもわからないんだな、ジョー、お前の考えは
二値的考え方の悪い例だ」--こういうことをいう人は「多値的考え方」をしてい
ませんよという趣旨のことを『思考と行動における言語』(岩波書店)で書いてい
る。→こちら
1月12日(木) 今年一番の寒さ。夏はこの寒さを忘れているが、寒波の実感を
思い出した。東京都心は0.7℃まで下がったという。最高気温は7℃。東京とし
てはかなり寒い。
1月15日(日) 「北村協一メモリアルコンサート MISSION」--関学、上智、
同志社、立教すなわちミッション系OB合唱団合同演奏会をすみだトリフォニー
ホールで聴いた。(この感想はまた来週)。
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