10月16日(月)、OB合唱団の須田さんからご紹介いただいた、「明
朗の世界」(豊洲シビックセンターホール)を聴く。
明朗とは菅原明朗(すがはらめいろう)であり、慶應のカレッジ・ソン
グ「丘の上」の作曲者だ(作詩は青柳瑞穂*)。
*青柳瑞穂;1899-1971。慶應義塾出身の仏文学者。ピアニスト
青柳いづみこは孫。
菅原明朗(1897-1988)について、詳しくは、
HP→こちら
Wikipedia→こちら
をご参照。
(私は、姓を「すがわら」と読んでいたが、あらためて見ると「すがはら」
だった)。
菅原明朗について、私は「丘の上」の作曲者であることと永井荷風と
の交友(cf.永井荷風『断腸亭日乗』)で知っていたが、あらためてそ
の「生涯」を調べると(いい意味で)「大変な人」だ。
菅原明朗は、同世代として、大田黒元雄(1893-1979)、野村光一
(1895-1988)、堀内敬三(1897-1983)との交友があった。
慶應の応援歌「若き血」は慶應予科会の委嘱により、野村光一→堀
内敬三(作詩、作曲)の関係で昭和2(1927)年に作られた。その後、
同じく予科会の委嘱で昭和3(1928)年に作られたのが、菅原明朗
作曲「丘の上」である。
長年、「丘の上」がなぜ菅原明朗なのかと思っていたが、その誕生に
は、野村光一、堀内敬三等との交友がベースにあった、と言えるの
ではないかしらん。
同世代の作曲家には、大中寅二(1896-1982)や下総皖一(1898
-1962)がいる。山田耕筰、信時潔の次世代だ。
このあたりを「研究」し始めると、時間がいくらあっても足りないかな
(笑)。
豊洲シビックセンターホールは昨年アンサンブル・マナティーの演奏
会で来たことがあったが、有楽町線豊洲駅を降りて方向違いに出て
しまった。どうもおかしいと、地上でキョロキョロ。あれだ!とシビック
センターを見つけて、会場へ急ぐ。
5階のシビックセンターホールに着くとちょうど開場するところで、片
隅の気に入った席(10列-1)を確保することができた。
その後、ロビーをウロウロ。菅原明朗生誕100年を記念して発行さ
れた『マエストロの肖像 菅原明朗評論集』(6,480円)が3,000円
で販売されていたので、思わず買ってしまった。
その本を売っておられたお若い方に、(どうしようか一瞬迷ったが)
「私、慶應ワグネルのOBの者です」(私)
「え、では『丘の上』の?」
「そうなんです。『丘の上』はいつも歌っています。先週もみんなで歌
いました」(私)
と言うと、私と同年配らしきご婦人が現れ、
「北島でございます。今日は有難うございます」
「こちらこそご案内をいただき、本当にありがとうございます。楽しみ
にして参りました」(私)
と、ワグネルOBの代表のような顔をして(笑)、ご挨拶となった。
開演前に、先ほどの北島さんから
「今日はようこそお越しくださいました。本日の演奏にあたり、あらた
めてミッテンヴァルトさまと3人の演奏してくださる方に感謝申し上げ
ます」
とご挨拶があった。--菅原明朗のお孫さんである北島さんであるとの
自己紹介だ。
<プログラム>( )内は発表年
1.《白鳳之歌》ピアノ・ソロ(全3曲)
(1)臈纈(1931)
(2)和琴(1932)
(3)水煙(1934)
ピアノ;澤田まゆみ
2.《三つの断章》無伴奏ヴァイオリンのための(1977)
ヴァイオリン;印田千裕
--休憩--
3.無伴奏セロ・ソナタ(1962)
チェロ;印田陽介
4.《バラード》ヴァイオリンとピアノのための(1977)
ヴァイオリン;印田千裕、ピアノ;澤田まゆみ
以下、いつもながらつたない感想を・・・・・・
1.《白鳳之歌》ピアノ・ソロ(全3曲)
(1)臈纈(1931)
(2)和琴(1932)
(3)水煙(1934)
ピアノ;澤田まゆみ
澤田さんは白いドレスで登場。身長は160cmくらいかしらん。譜め
くりは、先ほど『マエストロの肖像』を販売しておられた女性だ。
澤田さんは藝大大学院の出身。ソフトながらキッチリした、すばらしい
タッチで、右手の細かな動き(音符)は少しくドビュッシーを思わせる。
(2)は、ゆっくり、旋律が日本風でもあり、東洋風でもある。(3)は、や
や速い。ここでもドビュッシーの影響か(?)5音階の音楽がおもしろか
った。
2.《三つの断章》無伴奏ヴァイオリンのための(1977)
ヴァイオリン;印田千裕
印田千裕さんも藝大出身。身長は156cmくらいかしらん。紺系の光
るドレスだ。かなり大きな音で、音色がすばらしい。曲は、西洋音楽
史的に言えば、バッハに近く、高貴な音と言えばいいかしらん。楽譜
を見つめ、身体を揺すらず、左手を細かく動かしながら、見事に弾い
た。
--休憩--
3.無伴奏セロ・ソナタ(1962)
チェロ;印田陽介
陽介さんも藝大のご出身。千裕さんの弟さんだという。ここで3人と
も欧州に留学されていることに気付く。これまた想像以上に大きな
音だ。曲はやはりバッハ風。第3楽章のアレグロは、あたかも超絶
的な練習曲のようだったが、苦もなく弾いていた。
4.《バラード》ヴァイオリンとピアノのための(1977)
ヴァイオリン;印田千裕、ピアノ;澤田まゆみ
4は、比較的耳になじみやすいと言えるかもしれない。長調と短調の
組み合わさった曲だ。和風の音階はなく、作曲者の名前を隠したら、
いつ頃の誰の作品だか分からないかも。
ヴァイオリンとピアノが真に一体となった演奏で、すばらしかった。
アンコールは、「トリオの曲がないので・・・・・・」、澤田さんによる『ブ
ルゴーニュ1』より「レズレイ」。これまた、右手と左手のバランスよ
ろしく、長調のような短調のような、すばらしい曲と演奏だった。
最後は出演者3人が登場、皆さん揃ってのおじぎでお開きとなった。
これから時々HPで演奏会をチェックしてみよう。
チラシ
プログラム
詳しいProgram Notesは片山杜秀先生による。
松下 鈞編『マエストロの肖像』(大空社)
1916(大正5)年~1974(昭和49)年の随想、評論が収められてい
る。菅原は、生涯にわたって各種の雑誌等に書き残したものはおよ
そ569編あり、その中の83編である。一種の同時代史としても読め
るだろう。
どこから読んでもおもしろい。試みにp83をめくると、
「元来私はそうたいして蓄音器というものが好きじゃない。こんな事を
言うとレコードファンの御小言を頂戴するだろうが、缶詰はなんとして
も缶詰にすぎない」(「蓄音器の管弦楽」1930年7月)
この文章は、録音技術、再生技術のまだまだ未発達の頃のものだが、
現在でも一面の真理を表しているだろう。
永井荷風『摘録 断腸亭日乗』(岩波文庫版)
「摘録(てきろく)」なので完全版ではないが・・・・・・。
17:58 あざみ野より永田町へ
18:02 永田町より豊洲へ
18:14
18:21 豊洲シビックセンターホールのビルを見つけた。
18:23
18:24 5階
18:26 まもなく開場
18:32 定員300席
18:38
18:49 10列-1に陣取る。
19:01
19:44 休憩
20:19 (失礼して)第4ステージを遠くから
20:39 終演後
20:47 豊洲
20:59
21:04
21:04 半蔵門線永田町
21:41 あざみ野へ戻る。
-----------------------------------
7:59 朝、「大型ゴミ」を出す。
14:03 午後は、みんな仲よく「元気かい」
月1回の細川先生の日だ。
15:06 「投票に行きましょう!」
15:08
15:10 「舌の体操」
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