江上剛『失格社員』（新潮文庫）★★★★

江上剛は私より3歳ほど下だろう。江上といえば『非情銀行』、『起死回生』であ
る。旧第一勧銀、みずほ銀行の支店長を務めながら小説家としてデビュー。とくに
第一作、平成14（2002）年の『非情銀行』は覆面作家として話題を呼んだ。

その江上の『失格社員』を一気に読んだ。サラリーマン社会－－とくに著者得意の
銀行等を舞台にした一種のユーモア小説である。モーゼの十戒をもじった、サラリ
ーマン社会にいかにもありそうな10編の短編集である。

本格的な本の「箸休め」として読んだのだが、大変おもしろかった！（半日あれば
読めるでしょう。）

「汝、殺すなかれ」、「汝、姦淫するなかれ」、「汝、偽るなかれ」－－パワーハ
ラスメント、セクシュアルハラスメント、談合問題などいかにも「ありそうな」話
がとりあげられている。サラリーマン必読？？