人生ブンダバー

読書と音楽を中心に綴っていきます。
現在は、暇に飽かして、日々更新。

伊藤隆さんを偲ぶ

2024-08-28 05:00:00 | 読書

8月19日、歴史学者、東大名誉教授の伊藤隆さんが亡くなった
(→こちら)。

伊藤さんは、史料の発掘・整備、オーラル・ヒストリー等々実証
的な研究で知られていた。


伊藤隆『歴史と私』より
「まえがき」より一部抜粋
今でも、あれは夢じゃないかと思います。
平成と改元されてから、しばらく経ったある日のことです。
自宅に一本の電話がかかってきました。
侍従からでした。
「陛下がお話になりたいというので、おいでくださいませんか」
突然のことでしたから、ちょっと半信半疑でした。
・・・・・・(略)
お部屋には陛下がお一人でいらっしゃいました。お酒と軽いつまみが出ました。
日本近代史をどう考えるか、といったお話でした。陛下が質問をされたり、ご
意見を述べられたりして、それにお答えしたり、逆に質問したりしました。陛
下はかなり勉強されていて、そのため話も非常にスムーズでした。

・・・・・・(略)
菊の御紋の入った煙草をいただきました。まずい煙草だなと思いました。
でもそれだけで、他に謝礼も何もありませんでした。振込記録もありません。
私の日記以外、お目にかかった証拠は何もないのです。

今でも、あれは夢じゃないかと思います。
・・・・・・(略)

ちなみに伊藤さんは、上記「陛下」(現上皇さん)の一歳年長だ。

もう10年近く前になるが、「天皇陛下のご感想(新年に当たり)」
にハッとしたことを思い出す(→こちら)。


本書にも書かれているが、昭和50年代初めに「天皇制ファシズム
論」を疑問視したことによって論争が起きたことで有名だ。

--もっとも「戦前の昭和史では、軍国主義ではあったにしても、ファシズム
(体制)ではなかった」と中村菊男先生が既に昭和40年代初めに『天皇制ファ
シズム論』(1967/改題『政党なき時代』2009)で書いているのだが、忘れら
れている?



<関連図書>


1.『大政翼賛会への道』(1983/文庫2015)
2.『日本の内と外』(2001/文庫2014)
3.『歴史と私』(2015)
いずれも★×5。
とくに1は力作かつ名著。目からウロコ?
3はざっくばらんな語り口がおもしろい。


御厨貴監修・聞き手
伊藤隆・飯尾潤聞き手
『渡邉恒雄回顧録』(2000/文庫2007)
「ネベツネ節」の独壇場?シャベリ過ぎ?


中村菊男『政党なき時代』2009(『天皇制ファシズム論』1967)
(満州事変以来のこの「下剋上」の)政治体制はその推進力が軍部であったと
いう意味において軍国主義と呼びうるが、権力の一元的集中化が行われず、政
治の最高首脳部のリーダーシップが確立されなかったという意味において、
ファシズムではなかったといいうるのである。(『政党なき時代』p313)

今読んでも腑に落ちる本だ。

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 「時代の進歩」かもしれないが、「安心安全」なアプリであっ
 てほしいものだ。では、どうすれば?


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