本書はジークムント・フロイト批判の書である。フロイトはマルクスとともに20世
紀に大きな影響を与えたユダヤ人(ユダヤ系オーストリア人)である。
本書「はじめに」より引用しよう。
フロイトはドラキュラ伯爵のごとく不死身である。イギリスの文学史家リチャ
ード・ウェブスターはフロイトについて、「西洋文明最大の愚行の一つと見なさ
れることになった、複雑な似非科学の創造者」と述べている。ノーベル生理学・
医学賞受賞者ピーター・メダワーが心理療法を20世紀「最悪のペテン」と評し、
その速やかな消滅を予言したのは20年も前のことである。しかし、彼の見通しは
甘かった。マルキシズムはベルリンの壁とソ連の消滅によってスクラップの山と
化したが、深層心理学は実証的データによって解体されてもパワーアップしてよ
みがえってくる。
本書はフロイト理論に対して実証的に反論、批判している。(☆印の「?」を取れ
ばフロイト理論になる。)
第1部 「影響力」のウソ
☆人格は教育によって決まる?
☆広告は消費者の行動を左右する?
第2部 「心」のウソ
☆不快な意識内容は「抑圧」される?
☆無意識の領域が人間の行動を操っている?
第3部 「意識」のウソ
☆「瞑想」するとストレスに強くなれる?
第4部 「脳」のウソ
☆人間は脳の10パーセントしか活用していない?
☆左脳は論理的、右脳は直感的?
一方、フロイト理論に多少なりとも(いな!大きな)影響を文学の例として、私の
読んだものから紹介しよう。今読み返してもおもしろい!
遠藤周作『ほんとうの私を求めて』(集英社文庫)
--見せかけの自分、人びとのなかでとりつくろっている自分、社会や家庭では
いつもマスクをかむっている自分。そんな自分ではなく、自分の本当の素顔を探
すために、如何に自分とつき合うか、自分の可能性を生かすかを、優しくユーモ
ラスに語る、幸福セミナー。(カバー裏より)
三島由紀夫『音楽』(新潮文庫)
--麗子の強烈な自我は、彼女の不感症を癒すべく、懇切な治療を続ける精神分
析医の汐見医師をさえ気まぐれに翻弄し、治療は困難をきわめる--。女性の性
の複雑な深淵に迫り、人間心理を鋭く衝いた、悪魔的魅力をたたえた異色作。
(カバー裏より)
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