8月30日(土)、渋谷のアミューズCQNで「ラストゲーム--最後の早慶戦」を観た。
この映画は、(ウィキペディア08/8/31現在の引用によって簡単にまとめると)
「太平洋戦争中の1943年10月に行われた野球の『出陣学徒壮行早慶戦(通称:最後
の早慶戦)』の開催に尽力した関係者、また徴兵を前に『最後になるかもしれな
い』野球試合に臨む選手たちを描」いている。--「戦時中の青春物語」という言
い方もできよう。
最後の早慶戦とは、三國一郎『戦中用語集』(岩波新書)p169を引用し、若干詳
しく書けば、
「(昭和18年)当時慶應義塾大学の塾長だった小泉信三は、この年の前年、海軍主
計大尉だった令息を戦死させていた。小泉塾長がそのとき思いついたのは、出陣学
徒へのはなむけとして、野球の早慶戦を実現することであった。
当時は学生野球も前年秋のリーグ戦を最後に、昭和18年の文部省通達で連盟が解
散、早慶戦などは実現しそうになかった。
しかし、それは実現した。雨中のパレード(注;神宮外苑の出陣学徒壮行会)の5
日前の10月16日、快晴の戸塚球場で『出陣学徒壮行早慶戦』が実現し、10対1で早
稲田が勝った。試合後、早稲田は慶應の、慶應は早稲田の応援歌を合唱したが、そ
れもやがて、あの『海行かば』の全員合唱に盛り上がっていったそうである」
というものである。
主役の渡辺大(だい;渡辺謙の長男)、早稲田野球部の顧問飛田穂洲役の柄本明が
いい。野球もかなり練習したのだろう、皆うまい。慶應の強打者で、戦後阪神・毎
日で大活躍した別当薫(眼鏡のコマーシャルの方が有名かしら。)も登場する。
野球部員達俳優の若々しさと関係者・家族のベテラン俳優(石坂浩二、藤田まこ
と、富司純子、山本圭等)の味が見所。何回もの涙なくしては観られない映画だ。
観客は団塊の世代より上の方が多かったが、ところどころ若い男女も交じってい
た。
それにしても、戦後から見ればなんとでもいえるが、あの時代に早慶戦を実現した
飛田穂洲(明治19年生)と小泉信三(明治21年生)の大きな勇気には尊敬以外何者
でもない。今更ながら<平和の有難さ>を実感する。スポーツも音楽も平和あって
こそである。
→(参考)5月10日「小泉信三生誕120年」
主題歌;鬼束ちひろ作詞、作曲「蛍」
ベースボール・マガジン社から笠原和夫・松尾俊治『最後の早慶戦』が出版されて
いる。
なお、映画は事実(ノンフィクション)に基づくフィクションであるが、最後の
「海行かば」の事実はカットされていた。
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