勝手に映画評

私の見た映画を、勝手に評論します。
基本的に、すべて自腹です。

ヒトラーに屈しなかった国王 / Kongens nei

2017年12月23日 | 洋画(その他)
事実を下にした作品。

第二次大戦初期、ナチス・ドイツがノルウェーに侵攻。戦力に勝るナチス・ドイツは、ノルウェー政府及びノルウェー国王に、ナチス・ドイツの要求に従うように求められるも拒否し、後にノルウェー国王はイギリスに亡命すると言うのは史実な訳ですが、この作品は、そのナチス・ドイツによるノルウェー侵攻のごく初期の3日間を描いた作品です。

この作品を見て、改めて思ったのは、“ノルウェーの歴史って、意外に短い”と言う事。スウェーデンとの同君連合を解消して、ノルウェーが独立国家として成立したのは1905年なんですよねぇ。実は、アメリカよりも、ずっと短い。それ以前にも、同君連合ではありますが、国家としては存在していましたけど、独立の国家では無かったわけですよねぇ。それ以前には、デンマークの支配を受けていたと言う時代もありますし。それらも史実な訳で、そう言う事があった事は認識していましたが、第二次大戦と言う大きな出来事を前にして改めて振り返ると、意外に最近なんだなぁと認識を新たにしました。今の国王陛下(映画の中では、ハーラル王子として登場)で、まだ3代目ですからねぇ。

劇中で、国王と衝突する事もある王太子のオーラヴは、国王に即位後、自らに護衛を付けないことについて「私には400万人のボディガードがいたからね」と述べた人物としても知られています。当時のノルウェーの人口は約400万人であったので、オーラヴ国王は、ノルウェー国民全員が護衛であると言ったことになります。

また、こちらも劇中で、デンマークが早々にナチス・ドイツに降伏してしまっていることが描かれていますが、本作のホーコン7世の兄である、デンマーク国王のクリスチャン10世は、デンマーク降伏後もデンマーク国内にとどまり、ナチス・ドイツに対して有形無形の抵抗をした事で知られています。

いやぁ、それにしても、立憲君主制で実権は無いとはいえ、非常事態には、なぜだか国民国家は、こう言う高貴な方に頼る訳で、そのプレッシャーたるや如何ばかりか。劇中でも、ドイツ公使の要求をはねつけるに際して、その苦しい思いを吐露していますね。この物語は、あくまでも映画で、ドキュメンタリーではありませんが、実際の国王もそのように思ったのでは無いでしょうかね?この国王が居たので、今のノルウェーが築かれたんだなと言う気がしました。

タイトル ヒトラーに屈しなかった国王 / 原題 Kongens nei

日本公開年 2017年
製作年/製作国 2016年/ノルウェー
監督 エリック・ポッペ
出演 イェスパー・クリステンセン(ホーコン7世)、アンドレス・バースモ・クリスティアンセン(オーラヴ王太子)、カール・マルコビクス(クルト・ブロイアー/ノルウェー駐在ドイツ公使)、カタリーナ・シュトラー(アンネリーゼ・ブロイアー/クルト公使の妻)、ツバ・ノボトニー(マッタ/ノルウェー王太子妃)、ユリアーネ・ケーラー(ダイアナ・ミュラー/ドイツ公使館秘書)、アルトゥル・ハカラフティ(フレドリク・セーベル/ノルウェー軍二等兵)、スベイン・ティンドベルグ(ペーデル・ベーデル・ヤールスバーグ)、ケティル・ホーグ(ハルヴダン・コート/外務大臣)、ゲラルド・ペッテルセン(ヨハン・ニューゴースヴォル/首相)、ヤン・フロスタッド(C・J・ハンブロ/国会議長)、エリック・ヒビュ(ビルゲル・エリクセン/オスカシボルグ要塞司令官ノルウェー海軍大佐)、ソフィー・ファルクゴール(ラグンヒルド王女)、イングリッド・ロス・ラフテモ(アストリッド王女)、マグヌス・ケーティルソン・ドビー(ハーラル王子)、ロルフ・クリスチャン・ラーセン(ブリニャル・ハンメル/ノルウェー軍軍曹)

ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命 / The Zookeeper's Wife

2017年12月17日 | 洋画(その他)
事実を下にした作品。

第二次大戦時、ナチスに追われたユダヤ人をワルシャワ動物園の園長をしている夫とともに、動物園で匿った女性の姿を描く。

ナチスからユダヤ人を救った人物って、たくさんいるんですねぇ。今回のジャビンスキ夫妻も、そのような人物に名を連ねます。不勉強ですが、この映画を見るまで、彼らの活躍は知りませんでした。

それにしても、ナチスの裏のかき方、と言うか、このジャビンスキ夫妻とナチスの近さは、他の人たちと比べても一二を争うのではないでしょうか?ナチスの高官が、元々友人であったと言う事もあって、何かとちょっかいを出してくる状況の下での活動の緊張は、如何ばかりか。いやぁ、5年?、よくバレなかったと思います。

それにしても、ダニエル・ブリュール、彼は芸達者ですねぇ。今回は、ナチスの高官を演じたわけですが、明示的に権力を笠に着る訳ではないものの、それも権力を漂わせる人物を上手く演じていました。アントニーナに目を奪われていなければ、もっと早く、からくりを見破る事が出来たのではないかと思います。それだけ上手く、アントニーナが手玉に取ったとも言えるのかもしれませんが。

冷静に考えてみると、ポーランドでの話なので、話されるべき言語はポーランド語なのでは無いかと思いますが、英語での作品でした。そのかわりと言うべきなのか、みんな妙な訛りのある英語でした(苦笑)

普通の夫婦の、勇敢な戦いです。

タイトル ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命 / 原題 The Zookeeper's Wife

日本公開年 2017年
製作年/製作国 2017年/チェコ・イギリス・アメリカ
監督 ニキ・カーロ
原作 ダイアン・アッカーマン『ユダヤ人を救った動物園 ヤンとアントニーナの物語』
出演 ジェシカ・チャステイン(アントニーナ・ジャビンスキ)、ダニエル・ブリュール(ルッツ・ヘック)、ヨハン・ヘルデンベルグ(ヤン・ジャビンスキ)

ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦 / Anthropoid

2017年08月13日 | 洋画(その他)
事実に基づいた作品。ユダヤ人問題の最終的解決計画の実質的な推進者であったラインハルト・ハイドリヒの暗殺計画『エンスラポイド作戦』を描いている。原題の『Anthropoid』とは、その暗殺作戦名の事。

不勉強で、ハイドリヒの事、そして、エンスラポイド作戦の事は、はっきりと認識していませんでした。ナチスの高官が暗殺されたことがあると言う事と、その暗殺の結果、村が一つ完全に破壊された事は知っていましたが、この出来事と結びつきませんでした。

前半は、在チェコスロバキア・レジスタンスと、イギリスの亡命チェコスロバキア政府から送り込まれてきた暗殺部隊の間で、多少の軋轢を生みながらも、暗殺に向けた準備が描かれます。意外に、単調なので、睡魔が・・・。

ハイドリヒの暗殺を実行し、潜伏していた教会がナチスから襲撃を受けるところがハイライトでしょうか。激しい銃撃シーンなので、そういう意味でも中々見せるところだったと思います。

圧倒的なナチス側の戦力に対して、ゲリラ程度の戦力しかない暗殺部隊側ですが、地の利と言うか、攻撃場所の優位性を生かして、最初は中々良い出だしをしますが、暗殺部隊側は弾は尽きるし、倒しても倒してもナチスは攻めてくるはで、善戦したものの暗殺部隊は壊滅。まぁ、そうなるか。ちゃんと、無事に出発地に戻るまでが暗殺作戦なのですがね。

あとから調べてみたのですが、だいぶ事実に即して描いていますね。最後の教会も現存していて、当時の攻防の銃撃の跡が残っているようです。

タイトル ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦 / 原題 Anthropoid

日本公開年 2017年
製作年/製作国 2016年/チェコ・イギリス・フランス
監督 ショーン・エリス
出演 キリアン・マーフィ(ヨゼフ・ガブチーク)、ジェイミー・ドーナン(ヤン・クビシュ)、アンナ・ガイスレロバー(レンカ・ファフコバー)、シャルロット・ルボン(マリー・コバルニコバー)、トビー・ジョーンズ(ヤン・ゼレンカ=ハイスキー)、ハリー・ロイド(アドルフ・オパルカ)、アレナ・ミフロバー(マリー・モラヴェツ)、ビル・ミルナー(アタ・モラヴェツ)、マルチン・ドロチンスキー(ラジスラフ・ヴァネック)、ブライアン・カスペ(アントニン)

しあわせな人生の選択 / Truman

2017年07月09日 | 洋画(その他)
スペイン・アカデミー賞〈ゴヤ賞〉で、作品賞、監督賞、主演男優賞、助演男優賞、脚本賞を受賞した作品。

末期がんで余命わずかな男と彼を取り巻く人々の4日間を描いたドラマ。ちなみに、原題の“Truman”は犬の名前。元々の名前はトロイロと言う犬ですが、撮影終了後まもなく、亡くなったそうです。まさにリアル『しあわせな人生の選択』?

人生で重要なのは、こう言う友人なのですね。改めて、友人のありがたさ、大切さを実感させられるお話です。だって、余命いくばくも無いとは言え、わざわざカナダからスペインにまでやってきて、人生の後始末に付き合い、その上、お金まで多少面倒を見るなんてねぇ。昔、一緒に生活していたという件が劇中に出てきますが、それにしても良い友人です。こう言う友人欲しいですね。

切ないのが、仕事の付き合いのある人に無視されたり、あるいは、以前酷い事(奥さんを寝取った)をした相手から優しくされたりする事。どちらにしても、切ない切ない。あと、わかれた奥さんとも穏やかに話せたり、遠く離れたところに居る息子にも優しくされたりするところも切ない。特に、事情を知らないと思っていた息子は、実は別れた奥さん(息子からみると母親)から事情が伝えられていたと言う事がわかったところは、なんとも言えないですね。

でも、一番切ないのは、フリアンが自分の葬儀の準備ために葬儀社に行ったとき、普通に骨壺などのセールストークを聞かされるところかな。フリアン、だまっちゃったもんね。いくら覚悟を決めているとはいえ、現実を突きつけられると、ああなるよねぇ。

とはいえ、ところどころ、笑えるところもあったりと、切ないだけの作品ではありません。自分を振り返るのに、良かったと思います。

タイトル しあわせな人生の選択 / 原題 Truman

日本公開年 2017年
製作年/製作国 2015年/スペイン・アルゼンチン
監督 セスク・ゲイ
出演 リカルド・ダリン(フリアン)、ハビエル・カマラ(トマス/フリアンの友人。カナダの大学教授)、ドロシス・フォンシ(パウラ/フリアンの従妹)、トロイロ(トルーマン/フリアンの犬)

人生タクシー / TAXI

2017年05月03日 | 洋画(その他)
イランのジャファル・パナヒ監督が、イランのタクシー乗客の様子から、テヘランで暮らす人々の人生模様を描いた作品。2015年の第65回ベルリン国際映画祭で金熊賞を受賞。

初めてのイラン映画!どんなものかと思ったんですが、監督が世界的にも評価の高いジャファル・パナヒ監督と言う事もあって、特に違和感も感じませんでした。もっとも、パナヒ監督は、反体制的な活動を理由に映画監督としての活動を禁じられているらしいんですけどね。本編が始まる前、延々と、そう言う内容のよくわからない映像が流れていたのは、パナヒ監督への敬意を表したものなのかな?正直、あの本編前の映像は、冗長で、耐え難かった。本編は良かったのにね。

編集されているので、どのくらいの時間、撮影していたのかわかりませんが、ぱっと見は一日の活動を編集したものっぽい様ですがが・・・。一日にしては、色んな出来事が起きすぎなんですよねぇ(笑)。最初に乗せた客が、実は強盗だったり、何人目かの客が、人目を憚る海賊版レンタルビデオ業者だったり、交通事故に遭った夫婦だったり・・・、色んな事が起きすぎです。イランの人々の生活を、本当に飾ることなく垣間見る事が出来た感じです。

結局この作品は、イランでは上映禁止だったそうです。正面から政府批判をした映像はありませんでしたが、市井の人の本音を国中にばらまきたくなかったと言う事なんでしょうね。

ちなみに原題は『TAXI』ですが、有名なリュック・ベッソン監督の同名の作品とは全く関係ありません。中身も、全然違います。邦題の『人生タクシー』と言うのは、悪くは無いのかも。

タイトル 人生タクシー / 原題 Taxi

日本公開年 2017年
製作年/製作国 2015年/イラン
監督 ジャファル・パナヒ
出演 ジャファル・パナヒ

幸せなひとりぼっち / En man som heter Ove

2016年12月23日 | 洋画(その他)
本国スウェーデンでは、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』を抑えてトップに躍り出た作品。結局、動員数は160万人を越え、スウェーデン映画史上歴代3位となる興行成績を収め、第89回アカデミー賞では、外国語映画賞のスウェーデン代表作品に選ばれています。(2016/12/23現在、アカデミー賞外国語映画賞へのノミネートはTBD)

もともとは、原作者のフレドリック・バックマンが自身の父親との出来事をブログに書き込んた事が話題を呼び、その後小説化されたものが原作になっているそうですが・・・、まぁ、こう言う偏屈な人は日本にも居ますよね。特に男性は、年をとると偏屈になる人が多いとも言われていて・・・。でもなぁ、極端ではありますが、間違ってはいないんですよねぇ。なんか、世の中いい加減すぎ。

もっとも、オーべの場合、もともとキッチリしすぎていたきらいはありますが、それが“ある事故”をきっかけに、過激化というか、より極端になっていった気がします。その“ある事故”は作品を見て確認してほしいんですが、微妙にあれ?とも思いました。だってねぇ、その事故でって思うじゃないですか。少なくとも私は思ったんですが、その事故はある意味では“切り抜けた”んですね。日本人が描いていたら、あの事故で全てを決してしまうと思います。そうで無い所が、スウェーデン映画なんでしょうか?ただ、その事故後の話があったがゆえに、社会の問題点がよりクリアになったと思います。

この作品も邦題あるあるですね~(苦笑)。この邦題はいけません。原題の意味は『オーべと呼ばれた男』なんですが、そっちの方がスッキリしていますし、オーべと言う一人の男を描いた作品としては、適切だと思います。

タイトル 幸せなひとりぼっち / 原題 En man som heter Ove

日本公開年 2016年
製作年/製作国 2015年/スウェーデン
監督 ハンネス・ホルム
原作 フレドリック・バックマン『幸せなひとりぼっち』
出演 ロルフ・ラスゴード(オーベ)、イーダ・エングボル(ソーニャ)、バハー・パール(パルバネ)、フィリップ・バーグ(若い頃のオーべ)、カタリナ・ラーション(アニタ)

ヒトラーの忘れもの / Under sandet

2016年12月18日 | 洋画(その他)
史実に基づく作品。

第2次世界大戦終戦直後のデンマークで、地雷除去に従事させられた敗残ドイツ軍の少年兵たちを描いた作品。実際には2000人ほどのドイツ兵により150万もの地雷が処理されたそうですが、地雷処理にあたったドイツ兵の多くは少年兵で、その半数が死ぬか重症を負ったそうです。

この話には背景があって、対戦国であればハーグ陸戦条約などで正規軍の兵士は捕虜として扱われ保護対象なのですが、デンマークの場合、ドイツとの交戦国では無かったので、そのような条約の対象外であって、言わばある意味何でもありの状態。なので、少年兵をこの様な危険な作業に従事させることもできたんですね。

いやぁ、それにしてもなぁ、なにも少年兵で無くても良かったんじゃなかと思うんですけどね。まぁ、まともな年齢の兵士が既に居なかったという事もあるのかもしれませんが、最後に貧乏くじを引くのは弱いものばかりですね。

この作品は、邦題あるあるに巻き込まれてしまっていますねぇ。英語のタイトルだと、“Land of Mine”なんですが、こっちの方が適切かな。邦題の『ヒトラーの忘れもの』だと、なんか牧歌的で、中身にそぐわない気がします。

タイトル ヒトラーの忘れもの / 原題 Under sandet

日本公開年 2016年
製作年/製作国 2015年/デンマーク、ドイツ
監督 マーチン・ピータ・サンフリト
出演 ローラン・モラー(カール・ラスムスン/軍曹)、ミケル・ボー・フォルスガード(エベ・イェンセン/大尉)、ルイス・ホフマン(セバスチャン・シューマン)、エーミール・ベルトン(エルンスト・レスナー)、オスカー・ベルトン(ヴェルナー・レスナー)、ジョエル・バズマン(ヘルムート・モアバッハ)

ノーマ東京 世界一のレストランが日本にやって来た / Ants on a Shrimp

2016年12月10日 | 洋画(その他)
世界ベストレストラン50で2009年~2016年まで連続してベスト5入りしていて、そのうち2010年、2011年、2012年、2014年の4回1位に輝いているレストラン「noma」のスタッフたちが、2015年1月に東京のマンダリン・オリエンタル・東京において「ノーマ・アット・マンダリン・オリエンタル・東京」を期間限定で出店するまでの日々を追ったドキュメンタリー。

いやぁ、そんな事があったとは知りませんでした。って言うか、nomaに行くような生活はしていないので、知らなくても当たり前なのかもしれませんが、こんな世界的レストランが東京に期間限定出店したのなら、ニュースになっても良さそうですが、ニュースを作る人達も、こう言う情報が引っかからない人達なんですね。いやはや。

今回、レネ達がコペンハーゲンの本店を閉めてまで日本にやってきたのは、コペンハーゲンでの日々の活動に刺激を感じなくなってきたので、新たな刺激を求めてやってきたという事らしいです。なんか、シェフというより、アーティストですね。

今回の取り組みは、レネ達nomaのスタッフには、言葉はもちろん、習慣、食物など勝手が違うことばかりで、メニュー作りに中々苦労していたことが描かれています。パンフレットやポスターにも使われていますが、アリですよアリ。イナゴは食べますが、アリは食べないよなぁ。でも、アリを使った料理は、nomaの本店でも出しているようです。

そして、今日は初日ということもあって、上映終了後にコラムニストの中村孝則さんのトークショー。中村さんは、世界ベストレストラン50の日本地域のチェアマンもやっているそうです。トークショーの中身的には、

  • 世界ベストレストラン50は世界中のレストランのランキングであって、その時々のトレンドが見える。一方ミシュランは、レストランの評価なので、時の流行などにはとらわれず、そのレストラン自体の評価
  • 世界ベストレストラン50は、世界を27の国と地域に分けていて、それぞれにチェアマンがいる。チェアマンが各地域の投票者40名を任命。投票者の34%がシェフ、33%がフードジャーナリスト、33%がフーディーズ(料理を食べ歩く美食家)と割合が決められている。
  • 各投票者は10票持っていて、自国のレストランに6票、他国のレストラン4票投じる事になっている。投票可能なレストランは、18ヶ月以内に実際に行った事がある店で、その監査はかなり厳密に行われている。
  • 毎年投票者の1/3を入れ換えている。そう言う投票者の入れ換えがあるので、ランキングが年によって入れ換わる。
  • 世界ベストレストラン50で1位になると200万の予約が来る!それほどの予約が有るということは観光業にも影響があって、デンマークは、nomaがあることで11%観光客が増加した
  • オーストラリアは、レストランによる観光客の増加を見て、国家事業としてレストランオーストラリアを推進。来年の世界ベストレストランのコンベンションはオーストラリアのシドニーで行われる。
  • 映画の話に戻ると、レネ曰く「日本は色んな海岸線と山がある。そう言う所はスカンジナビアと似ている。」と言う事で、料理で海と山を表現しようとした。一皿目の海老にアリが使われているのは、そう言うこと。
  • (アリを使った料理について)アリが気持ち悪いと言う人は居ると思うが、そう言う意味ならば生の海老が気持ち悪いと言う人もいるだろう。その人の宗教感や食べ物に関する意識を変えようとも言うことでもある
  • 生の蜆はチャレンジング。食中毒の危険もあるので普通は出せない。だが、食べてみたが美味しかった。衝撃的。でもなぜか、後半はメニューから外れた。
  • ベストレストランに選ばれるのは、ガストロノミーレストランと言うジャンル。このジャンルは、食べ物だけでなく、サービス、店の雰囲気、カトラリー等も対象。店に行った客に、何か驚きがあるところが選ばれる。しかも、18ヶ月以内に行った事がある店が投票対象なので、店側も常に新しいことをする。これはある意味、店のコレクション化(ファッション化)を加速している
  • nomaのレネが来たことによって、日本の良さが再発見されたのではないか
  • いまオスレリア・レストラーナが注目。それと、ペルーのレストラン、セントラルも注目。レネも次は南米に行くらしい。
  • レストラン業界的には、中南米、アフリカがこれから注目。アフリカは、まだ1店舗しか世界ベストレストラン50入っておらず、これからが期待。

とかぐらいですかね。20分と短い時間でしたが、トークショーも意外に面白かったです。

タイトル ノーマ東京 世界一のレストランが日本にやって来た / 原題 Ants on a Shrimp

日本公開年 2016年
製作年/製作国 2016年/オランダ
監督 モーリス・デッカーズ
出演 レネ・レゼピ、ラース・ウィリアムズ、トーマス・フレベル、ダニエル・ジュスティ、ロシオ・サンチェス、キム・ミッコラ

ニコラス・ウィントンと669人の子どもたち / Nicky's Family

2016年12月03日 | 洋画(その他)
2011年と、ちょっと前の作品。第二次大戦時、ニコラス・ウィントンがチェコ・スロバキアのユダヤ人の子どもたちをイギリスに移送した「キンダートランスポート」を描いたドキュメンタリー。チェコとスロバキアの合作ですが、作品中の言語は英語です。

私がよく読む小説の登場人物が、「キンダートランスポート」によって救われたと言う設定があったので、「キンダートランスポート」自体に興味を持っていました。公的機関、あるいは、私的期間ながらもっと大きな組織で運営されていたと思っていたんですが、実態は全然違うんですね。ほとんど、ニコラス・ウィントンの個人事業。それだから故に、素早く出来たという事もあるのかもしれません。

「キンダートランスポート」は、日本語で言えば“子供輸送”と言う感じですが、この事業によって救われた子どもは、“子ども”と言うにはちょっと大きい年齢層も含まれて居たんですね。どの位の年齢層まで含まれたいたんでしょうか?

それと興味深かったのが、救われた子どもたちの言語。イギリスに残ったり、アメリカ、カナダに渡った元子どもたちは英語が堪能でしたが、イスラエルに渡ったりした元子どもたちは、やはりと言うか、英語は英米加に渡った元子どもたちほど得意では無い様でした。なるほどねぇ。

作品の最後は、ニコラスの行ったことが、現代社会において『善意の輪』と言う感じで広がっていることを示して終了。そこだけ無理矢理感を覚えて、ちょっと違和感。ニコラスのやったことは、もちろん善意ではありますが、“生命の危機”と言う根本的な課題に直面していたと言う事も考慮すべきかと。それとは別に、ただ困っている人を助けるという善意は、なんか違うかなぁ。それと、原題が『Nicky's Family』と意外に軽い感じなのに、少し驚きました。

まぁ、何れにしても、人間の素晴らしさを見た感じがします。

タイトル ニコラス・ウィントンと669人の子どもたち / 原題 Nicky's Family

日本公開年 2016年
製作年/製作国 2011年/チェコ、スロバキア
監督 マテイ・ミナーチェ
出演 ニコラス・ウィントン、ジョー・シュレシンジャー、ベラ・ギッシング、アリス・マスターズ、ベン・アベレス、エリ・ビーゼル、ダライ・ラマ14世、クラーラ・イソバー(母親(再現ドラマ))、ミハル・スラニー(ニコラス・ウィントン(再現ドラマ))

手紙は憶えている / Remember

2016年10月30日 | 洋画(その他)
妻が死んだことを覚えていないほど認知症の進んだアウシュビッツ収容所の生き残りが、友人から託された手紙を手がかりに、アウシュビッツ収容所で家族を殺したナチス兵士を探す物語。

重度の認知症で、友人の書いてくれた手紙だけが全てと言う過酷な状態で、よくゼブは任務を完遂しましたねぇ。お約束どおり、手紙に書かれていることを失いそうな出来事もある上に、あまりにも認知症の症状も酷いので、一時はどうなるのかと思い、ドキドキしましたが。

結末は、キャッチコピーに『ラスト5分の衝撃』とか、『すべての謎が解き明かされるとき、あなたの見ていた世界は一転する』とかあったので、「まさか、そういう事?」と思っていたんですが、意外や意外(?)、予想の通りでした。途中、そう言う伏線も無かったし、ナチに対する恐怖も示していたので、「あれ、予想が違ったのかな?」と思ったんですが、そうではありませんでした。

ルディ・コランダーの正体もそうですが、それを除いても、ラストシーンは衝撃です。家族の目前での出来事ですからね。その事件を伝えるニュースシーンで「家族は、呆然としています」と言うようなニュース音声が流れていましたが、そりゃそうだよね。

いやぁ、最後のマックスのセリフ、姿が怖かったですね。目的のためには手段を選ばないと言うやつですが・・・。

タイトル 手紙は憶えている / 原題 Remember

日本公開年 2016年
製作年/製作国 2015年/カナダ・ドイツ
監督 アトム・エゴヤン
出演 ククリストファー・プラマー(ゼブ・グットマン)、マーティン・ランドー(マックス・ザッカー/ゼブの友人)、ヘンリー・ツェニー(チャールズ・グットマン/ゼブの息子)、ブルーノ・ガンツ(ルディ・コランダー#1)、ハインツ・リーベン(ルディ・コランダー#2)、ディーン・ノリス(ジョン・コランダー/ルディ・コランダー#3の息子)、ユルゲン・プロホノフ(ルディ・コランダー#4)