勝手に映画評

私の見た映画を、勝手に評論します。
基本的に、すべて自腹です。

コロニア / Colonia

2016年10月01日 | 洋画(その他)
注意!
ネタバレあり。

事実に基づく作品。1973年にチリのピノチェト独裁政権下の「コロニア・ディグニダ」で置きた、監禁、拷問事件を描いている。

一番怖いのは、物語終盤の出来事。レナとダニエルが「コロニア・ディグニダ」からやっと逃げ出して、自国ドイツの大使館に逃げ込んだのに、いざチリから出国という所で、騙される形で「コロニア・ディグニダ」に引き渡されそうになった所。「コロニア・ディグニダ」は、チリの色んな所に影響力があったと言う事もあるんでしょうけど、映画では描かれていませんが、「コロニア・ディグニダ」の“教皇”パウル・シェーファーが元ナチ党員であったという事も無関係ではないでしょうね。

もう一つ怖いのが、レナとダニエルの文字通りの必死の脱出の結果、「コロニア・ディグニダ」での出来事が明らかになったにも関わらず、1997年になるまで、当局からなんら追求されなかったこと。追求することを期待される当時のチリ政権と一心同体だったからでしょうね。

この「コロニア・ディグニダ」事件で更に怖いのが、この作品を見た後、インターネット上の巨大百科事典サイトで「コロニア・ディグニダ」の事を調べてみたら、これの後継組織が、名前を変えていまだに存在していること!怖いね。日本でも、名前を変えて存続し続けるカルト組織がありますが、それと同じですね。

本当は、ハーマイオニーがハードな役をやっている所に注目すべきなのかもしれませんが、内容があまりにも怖いので、そっちばかり目がいってしまいました。

タイトル コロニア / 原題 Colonia

日本公開年 2016年
製作年/製作国 2015年/ドイツ・ルクセンブルク・フランス
監督 フロリアン・ガレンベルガー
出演 エマ・ワトソン(レナ)、ダニエル・ブリュール(ダニエル)、ミカエル・ニクビスト(パウル・シェーファー)、リチェンダ・ケアリー(ギゼラ)、ビッキー・クリープス(ウルセル)、ジャンヌ・ウェルナー(ドロ)

エル・クラン / El Clan

2016年09月18日 | 洋画(その他)
アルゼンチンで、1980年代に実際に起きた誘拐事件え描く。家族で誘拐ビジネス・・・。怖いです。

数年間に渡りビジネスとして誘拐を行っていたにしては、結構その手口は雑です。恐ろしいほどに雑です。最初の内、「なんでこんなに雑なのに捕まらないんだ?」と思っていたんですが、父親の経歴がモノを言っていたようですね。時の捜査機関とそれなりのいい関係であったようです。まぁ、南米にはありそうな話ですね。

他にも怖いと思ったのが、長男。基本的には善良な人間なんでしょうけど、誘拐ビジネスを手伝っている上に、何食わぬ顔でラグビーチームに参加しているってねぇ。なんか精神構造が・・・。それが故に、彼の人生の結末は悲しい結末になるんですけどね。

次男は・・・。まぁ、あんなもんなんでしょうね。むしろ喜々として誘拐ビジネスに参加していたような気が・・・。

母親を始めとした女性陣はと言うと、母親は、夫のしていることを知っていたんじゃないですかねぇ。どうも・・・。でも、長女、次女、長男の妻は知らなかったのかな。

いやぁ、怖い話です。

タイトル エル・クラン / 原題 El Clan

日本公開年 2016年
製作年/製作国 2015年/アルゼンチン
監督 パブロ・トラペロ
出演 ギレルモ・フランチェラ(アルキメデス・プッチオ/父)、リリー・ポポビッチ(エピファニア・プッチオ/母)、ピーター・ランサーニ(アレハンドロ・プッチオ/長男)、ガストン・コッチャラーレ(マギラ・プッチオ/次男)、フランコ・マシニ(ギジェルモ・プッチオ/三男)、ジゼル・モッタ(シルビア・プッチオ/長女)、アントニア・ベンゴエチェア(アドリアナ・プッチオ/次女)、ステファニア・コエッセル(モニカ/アレハンドロの妻)

栄光のランナー 1936ベルリン / Race

2016年08月14日 | 洋画(その他)
いままさにリオデジャネイロオリンピックたけなわですが、1936年、ナチス政権下で行われたベルリンオリンピックにおいて、史上初の4冠を達成したジェシー・オーエンスの半生を描いた作品。

134分と、二時間を超える長い作品ですが、時間を感じさせないほど中身に引きこまれました。単に“努力しました”と言う話だけじゃ無い気がするんですよね。確かに、ジェシー自身は努力しました。ただ、それだと、物語が薄っぺらくなってしまう気がするんですよね。

ベルリンオリンピックでのジェシーの活躍は、ジェシー自身の出場するかボイコットするかの悩み、ジェシーのコーチのラリーのオリンピックへの思い、ベルリンオリンピックの走り幅跳び決勝で戦ったルッツ・ロングとのやり取りやルッツの思いなど、それ意外の様々な人の、様々な立場での、様々な思いの結集なんだと思います。

特にルッツ・ロングには感動しました。まともなドイツ人も居たんだなと。あの時代、あのような考え方をドイツ国内でするのは、相手がアメリカ人であったとはいえ、中々勇気の要ることだったと思います。結構衝撃的でしたよ。

あと改めて感じたのが、月並みで薄っぺらいですが、ジェシー・オーエンスは、アメリカ国内でも人種差別と戦っていたんですよね。戦前の出来事なので、まだ差別の残る時代と言ってしまえばそうなのかもしれません。でも、そう言う時代に、構成に残る業績を残したジェシーは、強い人なんだったと思います。まぁその強さは、ルースとの結婚を巡っても発揮されたようですが(苦笑)

単に感動じゃないですね。色々と考えさせられ、心に残る作品でした。

タイトル 栄光のランナー 1936ベルリン / 原題 Race

日本公開年 2016年
製作年/製作国 2016年/カナダ・ドイツ
監督 スティーブン・ホプキンス
出演 ステファン・ジェームス(ジェシー・オーエンス)、ジェイソン・サダイキス(ラリー・スナイダー/ジェシーのコーチ)、シャニース・バンタン(ルース・ソロモン/ジェシーの恋人)、ジェレミー・アイアンズ(アベリー・ブランデージ/アメリカオリンピック委員会会長)、ウィリアム・ハート(エレミア・マホニー)、カリス・ファン・ハウテン(レニ・リーフェンシュタール/ベルリンオリンピック記録映画『オリンピア』の監督)、バーナビー・メシュラット(ヨーゼフ・ゲッペルス)

ニュースの真相 / Truth

2016年08月11日 | 洋画(その他)
2004年にアメリカで実際に起きたジョージ・W・ブッシュ大統領の軍歴詐称疑惑にまつわる“スクープ”報道による騒動を描いた作品。

結局は、ブッシュ大統領の軍歴詐称の『証拠』とされたものが、偽造されたものであったと言うことになるのですが、これってもはや典型的な陰謀論になってないですかね?一応、公的には軍歴は詐称していないということになるのだと思うんですが、実は本当は軍歴を詐称していて、その調査を潰すために逆に偽造した証拠を掴ませて、それ以上の追求をされないようにした・・・とか。ブッシュ大統領が空軍州兵になるために口を利いたという人物もいるわけですしね。真相は闇の中ですね。

ダン・ラザーをロバート・レッドフォードが演じているのですが、似てない?って言うか、「ロバート・レッドフォード歳取ったな」と思ってしまいました。

この騒動の中心に居た人物に寄る自伝を原作としているので、内容的には、微妙に自己弁護的雰囲気を感じずにはいられません。独立調査委員会の描写にしても、実際にもそうであったのかもしれませんが、結論ありきのシャンシャン委員会であったと言わんばかりの描写ですしね。

この作品で判ったことは、報道に携わる人達は、時の権力に萎縮してはいけないということじゃ無いかな。作品中、CBSの親会社バイアコムが、時の政権ベッタリなので“スクープ”を葬ろうとしているという趣旨の描写がありましたが、報道の自由の国のアメリカとしては、そういう事は無かったと信じたいですけどね・・・。翻って今の日本。報道機関よ、もっと頑張れ。もっと質問しろ!もっともっと勉強しろ!

タイトル ニュースの真相 / 原題 Truth

日本公開年 2016年
製作年/製作国 2015年/オーストラリア・アメリカ
監督 ジェームズ・バンダービルト
原作 メアリー・メイプス『大統領の疑惑』
出演 ケイト・ブランシェット(メアリー・メイプス)、ロバート・レッドフォード(ダン・ラザー)、エリザベス・モス(ルーシー・スコット/60Minutesチーム)、トファー・グレイス(マイク・スミス/60Minutesチーム)、デニス・クエイド(ロジャー・チャールズ中佐/60Minutesチーム)、ステイシー・キーチ(ビル・バーケット中佐)、ブルース・グリーンウッド(アンドリュー・ヘイワード/CBS CEO)

フラワーショウ! / Dare to Be Wild

2016年07月03日 | 洋画(その他)
実在の景観デザイナー、メアリー・レイノルズをモデルにした作品。100年以上の歴史を誇る、チェルシー・フラワーショーへの挑戦を描く。

イギリスのEU離脱の選択により、イギリスが連合王国では無くなってしまうことまで取り沙汰されていますが、アイルランドは、いち早く(?)連合王国から離脱したにもかかわらず、未だにイギリスの影響を受けているんだなぁと真っ先に思いました。色々あって独立を果たしたはずなのにね。一部では陸で国境を接しているし、曲がりなりにも同じ国だったこともあるんで、一足飛びには行かなということなんですかね。

それと、ケルトと言うのは、イギリスに置いても、神秘性や自然、郷愁を感じさせる言葉なんですね。それが故に、メアリーの思いがチェルシー・フラワーショーの審査員にも届いたし、結果としてメアリーが金メダルを取れたんだと思います。

マイナス的な印象を持ったのは、最後のあたり。金メダルを受賞した人物にも関わらず、レセプションへの出席を招待状がない事が理由に断られたのは、階級制度の姿をしたイギリスの差別を見るような気がしました。アメリカだったら、「(紙の)招待状がないけど金メダルを取ったことが招待状だね」とか言ってレセプションに入れてくれそうな感じですけどね。

アイルランドの社会とイギリスの社会、アイルランドとイギリスの関わりを垣間見た気がします。

タイトル フラワーショウ! / 原題 Dare to Be Wild

日本公開年 2016年
製作年/製作国 2015年/アイルランド
監督 ビビアン・デ・コルシィ
出演 エマ・グリーンウェル(メアリー・レイノルズ)、トム・ヒューズ(クリスティ・コラード)、クリスティン・マルツァーノ(シャーロット・“シャー”・ハーベイ)

神様メール / Le tout nouveau testament

2016年05月28日 | 洋画(その他)
いやぁ、神様サイテー。って言うか、こう言う設定と描写は、キリスト教的に大丈夫なのか?と心配になりました。インターネットの巨大百科事典によれば、ベルギー国民の約58%(2012年)はローマ・カトリックですし、外務省のベルギーに関する基礎データでも『キリスト教(カトリック)が大勢』とあるんで、こう言う描き方にはかなりの反発が有るのでは?と思うんですけどね。でもなぁ、ベルギーでは累計興行収入が『マッドマックス 怒りのデスロード』を超えたそうですので、特に抗議行動もなくと言うことですよね。あまりにも荒唐無稽なので、大丈夫だったんでしょうか?

えーと、この作品の公式HPの【ストーリー】の最後に「小さな奇跡が呼び起こす、神様のパソコンから人類への[最高にハッピー]なメールとは?」とありますが、マヂ「え゛?そうだった?」と思います。いやぁ、面白くないわけではないんですが、そう言う内容じゃないよね?まぁ、ハッピーエンド(?)なのかもしれませんが、その描写はいただけません。

原題が『Le tout nouveau testament』ですが、これは日本語で言うと、“新・新約聖書”と言う事で、それがわかると(そして、聖書の成り立ちもわかると)この映画の組立が理解できます。

ぶっちゃけ「結局、何が言いたかったの?」と思う気持ちはありますが、ファンタジー作品なので、これでも良いのかも。なんかやたら“愛する”とか、“人を思う”見たいな事が描かれていたような気もするので、ベースに有るのは“愛”“思いやり”なのかもしれませんね。

それと、カトリーヌ・ドヌーヴには驚き。彼女、ああ言う役もやるんだ。

タイトル 神様メール / 原題 Le tout nouveau testament

日本公開年 2016年
製作年/製作国 2015年/ベルギー・フランス・ルクセンブルク
監督 ジャコ・バン・ドルマル
出演 ピリ・グロワーヌ(エア)、ブノワ・ポールブールド(神様/エアの父)、カトリーヌ・ドヌーブ(マルティーヌ)、フランソワ・ダミアン(フランソワ)、ヨランド・モロー(女神/エアの母)

素敵なサプライズ ブリュッセルの奇妙な代理店 / De Surprise

2016年05月28日 | 洋画(その他)
幼い頃のトラウマで、感情を無くし、生きる気力も失ったオランダの貴族で大富豪が、人生の旅立ちを“代理店”に依頼することから始まるストーリー。

なるほど~。ヤーコブの依頼したコースがサブライズであることと、もう一つの“サプライズ”が隠されているわけですね。冷静に考えて見れば、そう言う設定は、劇映画にはありがちな設定ですが、その設定が明らかになるまで、考えても見ませんでした。お見事。店主はそうでもないですが、店主の息子たちがインド系に見えるので、見事に騙されました。

それにしても、貴族の生活って、庶民には理解不能ですね(笑)。広大な敷地に巨大な館、そして、高級車が何台もあると言う、維持費だけで首が回らなくなりそうな生活。この作品では、別途、財団を設立して社会活動を行っているという設定はわかりましたが、逆の収入の方はわかりませんでした。一体、どう言う事業を行っているのか謎です。

EUで、シェンゲン協定の賜だなぁと思ったのが、ヤーコブがオランダ国民で有るのに対して、旅立ちを依頼したのがベルギーの代理店であるということ。実際ヨーロッパのEU圏に行ってみると、国境線なんて日本で言う県境みたいなもんですからね。

それと、オランダあるいはベルギーだと思ったのが、様々な言語にみんな通じていること。英語、フランス語、オランダ語・・・。そうじゃ無いと生きていけないですからね。

旅立ちを延期したくなったヤーコブに課せられた課題のシーンは、ちょっとホロリとします。

この代理店の業務は、ある意味“安楽死?”な訳ですから、ベルギーと言う設定なのかな?

中々面白かったです。

タイトル 素敵なサプライズ ブリュッセルの奇妙な代理店 / 原題 De Surprise

日本公開年 2016年
製作年/製作国 2015年/オランダ
監督 マイケ・ファン・ディム
出演 イェルーン・ファン・コーニングスブリュッヘ(ヤーコブ・ファン・ズイェレン・ド・ウィズ)、ジョルジナ・フェルバーン(アンネ・デ・コーニング)、ヤン・デクレイル(コーナルド・ムラー/執事長)、ヘンリー・グッドマン(Mr.ジョーンズ/代理店店主)

グランドフィナーレ / Youth

2016年05月01日 | 洋画(その他)
年老いて引退していた作曲家で指揮者の老人が、親友とアルプスの高級リゾートで過ごしていた。そこへ、エリザベス女王の使者から「代表作を披露してほしい」と言う依頼がくるが・・・。

実はこのストーリーは、実際に起きた“著名なイタリア人指揮者が、女王からオーケストラの指揮を依頼されたが、レパートリーについて折り合いがつかずに断った”と言うエピソードにインスピレーションを得ているそうです。指揮者のレパートリーを調べずに依頼するというのもアレですが、女王の依頼を断るというのもアレですね(笑)。どちらも、なんとも・・・。まぁ、指揮者もプロだから断ったんでしょうね。

さて、こちらの作品の話ですが、予告編から予想される内容とはちょっと違いますね。もっとも、最後に依頼された曲を演奏するというのはその通りなんですが、そこに至る過程がね、予想とは異なりました。それと、ネタバレになってしまうので、あんまり書けませんが、フレッドの“シンプル・ソング”の指揮を拒む理由が、「この曲は妻のために書いたが、妻はもう歌うことが出来ない」と言う事なんですが、こう言われるとね、普通はね・・・と思うんですが、これには驚き。「えっ!こう来るの?」と言う感じです。

スイスのリゾートを舞台にした作品なので、色々と有名人に似た人が出てきます。マラドーナ(のそっくりさん)が居たり、あるいは、ポール・ダノの言う“ロボット映画”って、あの車がロボットに変形する映画のこと?だって、なんか見た目が、シャイア・ラブーフに似せてるんだもん。でも物語後段、ポール・ダノが演じているジミーの“役作り”の格好にはびっくりです。ヒトラー?一瞬、誰だかわかりませんでした。

正直って、なんだかちょっと釈然としないまま物語は終わってしまいました。何かもう少し、フレッドの心の動きとかがあるのかと思ったんですが・・・。それと、これだけ焦点になっていた“シンプル・ソング”もイマイチ・・・

タイトル グランドフィナーレ / 原題 Youth

日本公開年 2016年
製作年/製作国 2015年/イタリア・フランス・スイス・イギリス
監督 パオロ・ソレンティーノ
出演 マイケル・ケイン(フレッド・バリンジャー)、ハーベイ・カイテル(ミック・ボイル)、レイチェル・ワイズ(レナ・バリンジャー)、ポール・ダノ(ジミー・ツリー)、ジェーン・フォンダ(ブレンダ・モレル)

ハロルドが笑う その日まで / Her er Harold

2016年04月17日 | 洋画(その他)
IKEAが進出したあおりを受けて閉店に追い込まれた、ノルウェーの地方都市の家具店店主によるIKEA創業者誘拐の顛末を描いたドラマ。

日本ではイオン、アメリカではウォルマート、北欧だとIKEAなんですかね?いわゆる、地方都市の地場の商店に嫌われる大型チェーン店は。確かに、地道に家具を売ってきた地場の家具店の人にしてみれば、粗製濫造のIKEAの家具は腹に据えかねるものでしょうね。買う側からしてみると、それなりのデザインで、低価格なのでお手頃なんですけどね。劇中のカンプラードの口から言わせていますが、「時間が経つと壊れる」ものなんですけどね。

それと、「お腹がすいた」と言うカンプラードに「ミートボール」と言わせているのは、皮肉なんでしょうね。って言うか、そもそもスウェーデンだったら、こんなストーリーの映画は作られなかったのだと思いますが、先の「時間が経つと壊れる」とか「ミートボール」とかもそうですし、メディア戦略とかを創業者の口から言わせているのは、ノルウェー人にもIKEAの事を快く思っていない事があるということの現れなんだろうなぁと思いました。実名で「ナチ」だとか「児童労働」だとか、実際に指摘されていることではありますが、母国ではここまで描けないでしょうからね。

もう一つ気になったのが、ハロルドの奥さん。認知症として描かれているんですが、やっぱり北欧でも認知症そのものと、認知症を患った妻(あるいは夫)を老いた夫(あるいは妻)が介護する老々介護って、問題になっているんでしょうね。そうでなければ、あそこまで普通に描かれないですよね。

IKEA創業者を誘拐することで問題が解決したわけではないですが、問題解決への糸口を掴んだのだと思います。スウェーデンに対するノルウェーの見方とか、北欧での認知症・老々介護の問題とか、色々と社会を見た気がします。

タイトル ハロルドが笑う その日まで / 原題 Her er Harold

日本公開年 2016年
製作年/製作国 2014年/ノルウェー
監督 グンナル・ビケネ
出演 ビョルン・スンクェスト(ハロルド)、ビヨルン・グラナート(イングヴァル・カンプラード/IKEA創業者)、ファンニ・ケッテル(エバ)

99分,世界美味めぐり / Foodies

2016年01月30日 | 洋画(その他)
5人の美食家達が、ミシュラン3星店舗や秘境の味を巡ったドキュメンタリー。日本でも、菊乃井(京都)や鮨さいとう(東京)などが出ています。

邦題が酷い。

主題が、食べ物じゃなくて人なんですよねぇ。この作品の原題『Foodies』を意味する、“美食家”とか、“食いしん坊”“食い道楽”とか言う感じの方が正しいタイトルだと思います。

だって、描いているのが人なんです。美食を追求するために世界中を旅して回ることも厭わないブロガーとそれに対している料理人を描いている映画なんですよ。つまり、この作品は、食べる人と作る人の話なんですよね。ただ単に美味しい食べ物求めてを巡っている話では無いんですよね。それを無視するような、この使えない邦題だと食べ物が主題だと思ってしまいます。

鮨さいとう、どこだか判るよ。行ったことはないけど。あんなところにあるんだなぁ。銀座じゃないんだ。ちなみにチラッと映った「ざくろ」もしゃぶしゃぶとかすき焼きで有名だったんだけど、閉店してしまったな。こっちも行ったこと無いけど(笑)

アイステ・ミセヴィチューテのビリニュスでのシーンは、何とも言えないですね。旧ソ連加盟国の雰囲気をそこかしこに感じました。

邦題が酷いことを除けば、中々面白い映画でした。

タイトル 99分,世界美味めぐり / 原題 Foodies

日本公開年 2016年
製作年/製作国 2014年/スウェーデン
監督 トーマス・ジャクソン、シャーロット・ランデリウス、ヘンリック・ストッカレ
出演 スティーヴ・プロトニキ、アンディ・ヘイラー、アイステ・ミセヴィチューテ、パーム・パイタヤワット、ケイティ・ケイコ・タム、