勝手に映画評

私の見た映画を、勝手に評論します。
基本的に、すべて自腹です。

宇宙へ。(吹替版)

2009年08月22日 | 洋画(イギリス系)
NASA創立50周年、アポロ月面着陸40周年を記念してイギリスBBCがNASAの膨大な記録映像をまとめたドキュメンタリー。NASAはアメリカの政府機関なのに、何で映像化がイギリスのBBCなのか?と言う突っ込みは無し(笑)

マーキュリー計画、ジェミニ計画、アポロ計画、スペースシャトル計画と時代を追ってアメリカの宇宙開発史が振り返られます。もちろん、アポロ1号の悲劇、スペースシャトルチャレンジャーの悲劇、同じくコロンビアの悲劇もきちんと語られています。ですが、もう少しで悲劇になるところだったアポロ13号の事は全く触れられていません。映画化もされたので、食傷気味と言うことでしょうか?

アメリカの宇宙開発なのであれば、スペースラブも語るべきだと思うのですが、全く触れられていません。これは、他の計画の話と違い、ドラマがないからですかねぇ。

日本語版のナレーションは、宮迫博之。意外に良いです。洋画は基本的に字幕でしか見ないんですが、この作品は吹替えでもOKでした。って言うか、ドキュメンタリーだし、これは吹替えの方が良いと思います。

タイトル 宇宙へ。
原題 ROCEKTMEN
日本公開年 2009年
製作年/製作国 2009年/イギリス
監督・脚本・製作総指揮 リチャード・デイル
出演 宮迫博之(日本語版ナレーション)

[2009/08/22]鑑賞・投稿

スラムドッグ$ミリオネア

2009年04月19日 | 洋画(イギリス系)
2009年第81回アカデミー賞最多8部門(作品賞、監督賞(ダニー・ボイル)、脚色賞、撮影賞、編集賞、作曲賞、主題歌賞)受賞。

そのタイトルから判るように、イギリス発祥の『Who Wants to Be a Millionaire?』(日本でのタイトル「クイズ$ミリオネア」)と言うクイズ番組がモチーフの映画です。下となっている『Who Wants to Be a Millionaire?』は、世界中で同じフォーマットで製作されていて、BGMとかも世界で同じですし、CM明けに「Who Wants to Be a Millionaire?」と言っているのも世界で同じです。フォーマットが同じと言うより、コピーと言うべきかもね。この作品は、ミリオネアでの不正をモチーフにしていますが、2001年にイギリスにおいて全問正解者が不正を行い逮捕されたという事件が実際にあったと言うのにはビックリです。

アカデミー賞作品賞受賞と言うことで見に行ったんですが、正解でした。正直、余り期待していなかったんですが、期待に反して非常に深い作品でした。アカデミー作品賞も納得です。スラムに住む若者がどんな半生を過ごしてきたのか、スラムに暮らすということがどういう事なのか、と言うものを描いています。私は、インドに行ったことはありませんが、あの混沌とした雰囲気は、インドに行ったある人の言葉によれば「まさにインド」だそうです。

あ、そして、純愛ですね、一番大切なモノは。混沌とした中で一生懸命生きて、純愛を貫いている若者の半生、って言うか、それまでの人生そのものを描いています。まぁ、そう言うベースが無いと、この映画のストーリーは、結構、やり切れない話かも知れません。

一応、イギリス人監督の作品ですが、エンディングはやっぱりインド。出演者が音楽に合わせて踊りまくっていました。それと、エンドロールに、少年の頃から描かれているジャマールやサリーム、ラティカなどが、それぞれの年代の少年少女の顔も出ていたのは、いいアイディアだと思いました。

繰り返しになりますが、傑作です。インドの混沌を描いていると共に、純愛とは何か?と言う事も描いています。

タイトル スラムドッグ$ミリオネア
原題 Slumdog Millionaire
日本公開年 2009年
製作年/製作国 2009年/イギリス・インド
監督 ダニー・ボイル
脚本 サイモン・ビューフォイ
出演 デーヴ・パテル(ジャマール・マリク)、アニル・カプール(ブレーム・クマール)、 イルファン・カーン(警部)、マドゥル・ミッタル(サリーム・マリク)、フリーダ・ピント(ラティカ)

[2009/04/19]鑑賞・投稿

007 / 慰めの報酬

2009年01月24日 | 洋画(イギリス系)
前作『007 / カジノ・ロワイヤル』の一時間後から物語が始まっているという事で、007シリーズ初の“続編”となっています。

冒頭から激しいカーアクションシーンで始まります。その後も、特に背景を説明するようなことなく、「もう、知っていて、当然でしょ?」と言う雰囲気で、次々と物語りは進んでいきます。その意味では、予習として『007 / カジノ・ロワイヤル』を見ておく方が、物語の理解は早いですし、楽です。

これまでの“ジェームス・ボンド”と言えば、女好きで、どこかコミカルなところもありましたが、ダニエル・クレイグの“ジェームス・ボンド”は違います。ニヒルで、あくまでもストイック。それは、愛する女性ヴェスパーを失ったと言う悲しみもあるのかもしれませんが、このクールなボンドは、中々カッコいいです。

ボンドガール(?)の位置付けも、従来のお色気役と言うところから変わっていると思って良いと思います。今回のボンドガールは、オルガ・キュリレンコになるでしょうか? ただ、今回の彼女の役どころは、ヴェスパー程の重要なポジションを占められなかった気がします。きつめに言えば、彼女の存在は、この物語の進行に必要不可欠では無かったかなと思います。そこがちょっと残念。

また、一応、物語は終わっていますが、今回の問題が完全に解決したわけではありません。って言うか、謎の組織の全容は解明しておらず、表面的な部分しか解決していません。これは、今回の謎の組織が次回以降も出てくるという伏線と考えて良いのではないかと思います。

いずれにしても、ダニエル・クレイグの007は、良いです。早い次回作を期待します。

タイトル 007 / 慰めの報酬
原題 Quantum Of Solace
日本公開年 2009年
製作年/製作国 2008年/イギリス・イギリス
監督 マーク・フォースター
出演 ダニエル・クレイグ(ジェームス・ボンド)、オルガ・キュリレンコ(カミーユ)、マチュー・アマルリック(ドミニク・グリーン)、ジュディ・デンチ(M)、ジャンカルロ・ジャンニーニ(ルネ・マティス)、ジェマ・アータートン(フィールズ)、ジェフリー・ライト(フェリックス・レイター)

[2009/01/24]鑑賞・投稿

エリザベス:ゴールデン・エイジ(2007年)

2008年03月01日 | 洋画(イギリス系)
1998年の映画『エリザベス』の続編に相当する作品。そのタイトルの通り、これ以降、エリザベス、そして大英帝国の黄金時代が幕を開きます。2008年のアカデミー賞で、主演のケイト・ブランシェットは主演女優賞にノミネートされた(惜しくも、受賞ならず)。また、衣裳デザイン賞を受賞している。

ケイト・ブランシェットが良い。ヴァージン・クイーンと言われたエリザベス1世の、女と国の総覧者としての狭間で揺れる心を、非常に上手く描いている。”ノブリス・オーブリジュ”そのままに、スペイン無敵艦隊との戦いにおいて、先頭に立って総員を鼓舞しているシーンがあるが、中々見応えがある。見応えがあるといえば、女王の衣装だが、豪華絢爛。アカデミー衣裳デザイン賞の受賞も納得です。

基本的には、歴史の出来事であり、特に物語を付ける必要があるはずも無いのですが、”事実は小説よりも奇なり”。当然、映画化する上での脚色はなされていると思いますが、ベースとなっている話だけでも、物語性は十分。エリザベス1世、ベス・スロックモートン、ウォルター・ローリーの関係をめぐる件は、中々ロマンチックですしね。

イギリスの歴史を知らなくても楽しめますが、知っていれば、より一層楽しむことが出来ます。歴史考証も、中々正確にしているので(食事の際、手づかみだとか)、そう言う意味でも、結構良い映画です。

タイトル エリザベス:ゴールデン・エイジ
原題 Elizabeth: The Golden Age
日本公開年 2008年
製作年/製作国 2007年/イギリス
監督 シェカール・カプール
出演 ケイト・ブランシェット(エリザベス1世)、ジェフリー・ラッシュ(フランシス・ウォルシンガム)、クライヴ・オーウェン(ウォルター・ローリー)、アビー・コーニッシュ(ベス・スロックモートン)、サマンサ・モートン(メアリー・スチュアート)、ジョルディ・モリャ(スペイン国王フェリペ2世)

[2008/03/01]鑑賞・投稿

アース(日本語吹き替え)(2007年)

2008年01月12日 | 洋画(イギリス系)
ヒットした海洋ドキュメンタリー『ディープ・ブルー』のスタッフが再結集。5年の制作期間を経て、生きた地球を表すドキュメンタリー。日本語吹き替え版では、渡辺謙がナレーションを担当しています。

5年前撮り始めたときは、それほど話題にもなっていなかった地球温暖化。時を経て、完成する頃には、一大問題になっていました。その為、当初予定していた内容と異なる内容になってしまったのではないでしょうか? 映像を見る限り、極限の環境に生きる生物たちがテーマで撮り始めた様な気がしますが、進んだ地球温暖化に対しての啓蒙の意味も混め、編集段階で、地球温暖化もテーマに盛り込んだような気がしてなりません。非常にいい映像で、感銘を受けるのですが、そのような印象を受けてしまったため、テーマがボケてしまったような気がして残念です。

今回は、日本語吹き替え版で見たため、内容を追うのが簡単で、逆に途中、眠くなってしまったりもしましたが、映像は非常にきれいです。動物の群れの中からの映像があったり、直ぐ側を動物が横切ったり、水中で魚の群れを追っていたりしていますが、一体、どうやって撮ったんでしょう? 非常に興味深いです。

日本語版の渡辺謙のナレーションは抑えた感じで、映画の雰囲気にマッチしていて良いと思います。子供(幼児)をつれた家族連れが沢山居ました。しかし、この映画には動物は沢山出ますが、子供(幼児)向けとは思いません。子供だったら、小学校以上で無いと、理解できないでしょう。

タイトル アース
原題 Earth
日本公開年 2007年
製作年/製作国 2007年/ドイツ・イギリス
監督 アラステア・フォザーギル、マーク・リンフィールド
ナレーション パトリック・スチュワート
日本語版ナレーション 渡辺謙

[2008/01/12]鑑賞・投稿

大統領暗殺(2007年)

2007年10月14日 | 洋画(イギリス系)
現職のアメリカ大統領の暗殺を描いていると言うことで、公開前から『不道徳だ』などと言う激しい批判にさらされた、問題の作品。流石にアメリカの映画ではなく、イギリスの映画。”その日”2007年10月19日は、もう直ぐ。

映画の構成は、事件が発生し、一定の時間がたってから事件を振り返ると言うドキュメンタリータッチになっています。完全にフィクションと言うことは分かっているのですが、作り方が良く見るドキュメンタリーに完全に一致していて、一瞬「本当のことなのではないか?」と思わされてしまうほど。それほど、作りは巧妙です。しかし物語としてみた場合、後半になるとちょっと間延びした印象があります。もう少しテンポよく進んでくれれば良いのですが。

一応、”出演:ジョージ・W・ブッシュ、ディック・チェイニー”となっています。しかし、果たして”出演”と言って良いのでしょうか? 確かにブッシュはこの物語には欠かせない人物だし、チェイニーもブッシュ後を描くには必要な人物なのではあるけど・・・。彼らの”出演”シーンは、過去の演説などの映像を使っている模様です。(そもそも、顔は知られているので、別人は使えないし、演じてくれるわけが無い。)

9.11以降のアメリカの雰囲気を繁栄して、犯人は中東系の人物と言う線で進められますが、その後、驚愕の事実が発覚します。それは、イラク戦争が抱えるアメリカ国内の問題を反映していて、非常に奥深い意味合いを感じさせられます。「反戦の母」シンディ・シーハンさんと言う人もいますからねぇ。また、作中のブッシュ後のアメリカ政府の対応をみると、ブッシュがチェイニーに変わっても、何も変わらない、むしろ問題は悪化すると言うような事を暗示されいるように見ることも出来ます。って言うか、現実の世界でも、ブッシュがチェイニーに変わったところで、どちらも石油業界の利権を代表しているわけですから、この映画の通りのような気がします。

扱っている内容が、扱っている内容だけに、始まる前のクレジットが注意深くなされています。内容は、事件の現場とされるのがシカゴなのですが、それらの場所や、人々、政府機関は、完全に物語上のもので、実際のことではないと言う趣旨。そうでないと、ヘイトクライムなどを引き起こしかねないですからね。それと、原題が”Death of a President”と”Death of the President”で無いことに注目。”the”ではなく、”a”であることに、一応のエクスキューズがあるように思えます。

これは映画であり、完全にフィクションである筈なのですが、実際の出来事を見てしまったような気がするのは気のせいでしょうか? 非常に精巧な近未来シミュレーションのような気がします。その誕生からして疑惑に包まれていますから、その正統性に疑問をもつ人が少なくないわけですが、それにしても、史上ここまで嫌われる大統領と言うのも、結構稀有な存在かもしれないですね。

タイトル 大統領暗殺
原題 Death of a President
日本公開年 2007年
製作年/製作国 2007年/イギリス
監督・脚本・製作 ガブリエル・レンジ
出演 ジョージ・W・ブッシュ、ディック・チェイニー

[2007/10/14]鑑賞・投稿

クィーン(2006年)

2007年04月21日 | 洋画(イギリス系)
ヘレン・ミレンが、2007年度アカデミー賞主演女優賞を受賞した作品。1997年8月31日のイギリス王室ダイアナ元皇太子妃の死後一週間のイギリス王室(と言うより、エリザベス女王と就任まもない首相のトニー・ブレア)の動きを追った作品。ちょっとネタバレありです。全国公開は、先週4/14なのですが、何故かTOHOシネマズでは、今日4/21からの公開です。

あの1997年8月31日のことは忘れません。実は地方にちょうど出張に出ていたんですよね。朝起きて、ホテルでテレビを見ていたら「ダイアナが死んだ」と放送が。衝撃的でしたね。しかし、イギリス国民の受ける衝撃は、それ以上だったのでしょうね。

さて、実在の国家元首を演じたヘレン・ミレンですが、王室の伝統を守ろうとする孤独な女王を見事に演じきっています。女王の貫禄もたっぷりだし。彼女はイギリス人ですので、王室の伝統や意義を理解していたからなのでしょうね。ただ、女王の英語は、正に”クイーンズ・イングリッシュ”で、もう少し鼻にかかっていたような気がしますが、ヘレン・ミレンは少しそれが足りなかったかな。でも、バッキンガム宮殿に女王が戻ってきたシーンでは、何か威厳を感じ、ちょっと感動してしまいました。ちなみに、まだ、エリザベス女王は映画を見ていないという話ですが、アカデミー賞受賞を受けて、本物のエリザベス女王から招待をされたそうです。

他方、国民を代表するトニー・ブレアを演じるのは、マイケル・シーン。これまた実在の現役首相を演じるに当たり、苦労があったのではないかと思いますが、見事に国民と王室を仲介する首相の役を演じています。風貌が似ているような、似ていないような。実在のトニー・ブレアは、労働党の首相ですが王室擁護論者のようですね。かと思うと、婦人のシェリー・ブレア(ヘレン・マックロリー)は王室廃止論者だと言うことを、この映画で知りました。ちなみに、ヘレン・マックロリーは、本人かと思うほど激似です。

激似と言えば、フィリップ殿下を演じるジェイムズ・クロムウェルが、激似だとおもいます。もっとも彼はアメリカ人なので、下手をするとイギリス英語ではなくアメリカ英語が出てきそうですが。でも、チャールズ皇太子演じるアレックス・ジェニングスは、ちょっと微妙でした。

見ていて判ったのが、高貴な人々に対しての英語が独特なこと。例えば、ブレアが女王に可能な限り早くロンドンに戻ってきてほしいと言うときに「as earliest opportunity」とか言っていました。これって、凄い丁寧と言うか、お願いするというか、許しを請うような表現に感じました。何と言っても ”opportunity” ですからねぇ。相手が平民なら「as soon as possible」のような、多分、もう少し違う言い方になったのではないかと思います。すべてを英語で見ることは難しいとは思いますが、ところどころ英語を聞いていると結構勉強になるかと思います。

タイトル クィーン
原題 The Queen
日本公開年 2007年
製作年/製作国 2006年/イギリス・フランス・イタリア
監督 スティーヴン・フリアーズ
出演 ヘレン・ミレン、マイケル・シーン、ジェイムズ・クロムウェル、シルヴィア・シムズ、アレックス・ジェニングス、ヘレン・マックロリー、ロジャー・アラム、ティム・マクマラン

[2007/04/21]鑑賞・投稿

007/カジノ・ロワイヤル(2006年)

2006年12月02日 | 洋画(イギリス系)
タイトル 007/カジノ・ロワイヤル

---感想---
奇しくも007シリーズの第一作といわれる作品は1967年の『カジノ・ロワイヤル』ですが、意味不明の映画としても有名です。その意味では、この作品は、きちんとした007シリーズとしての『カジノ・ロワイヤル』と言っても良いでしょう。この作品から、ジェームズ・ボンドは、第6代目ダニエル・クレイグに代わっていますが、彼はイアン・フレミングがイメージしたジェームズ・ボンドに一番近いらしいです。

ジェームズ・ボンドが、”00”になる過程を描いています。まだまだ非情になり切れないボンドの苦悩と、最後の最後にこれまでのしがらみをいろんな意味で振り切って”00”になり切っているボンドの両方を見ることができます。その意味では、人間ジェームズ・ボンドを垣間見ることができるのは非常に興味深いですね。

劇中、アストンマーチンがクラッシュするシーンがあります。7回転していますが、これは、映画のクラッシュシーンの回転数としては世界一らしいです。確かに非常に派手でした。

原作者のイメージに一番近いと言われるダニエル・クレイグですが、確かにこれまでのジェームズ・ボンドとは一味も、二味も違います。でも、良いですねぇ。かっこいい優男というより、男臭くて、人間味もあって良いです。これからのジェームズ・ボンドに期待です。シリーズ最高傑作とも言われていますが、確かに良い作品です。

英語版HP:Casino Royale from Yahoo!

日本公開年 2006年
製作年/製作国 2006年/イギリス=チェコ=ドイツ=アメリカ
監督 マーティン・キャンベル
出演 ダニエル・クレイグ、エヴァ・グリーン、マッツ・ミケルセン、ジュディ・デンチ、ジェフリー・ライト、ジャンカルロ・ジャンニー

[2006/12/02]鑑賞・投稿

ホテル・ルワンダ(2004年)

2006年01月27日 | 洋画(イギリス系)
タイトル ホテル・ルワンダ

---感想---
たった3ヶ月で100万人が犠牲になったと言われる1994年のルワンダ紛争でのフツ族の民兵によるツチ族の虐殺をめぐり、フツ族のホテル支配人がツチ族をホテルに匿い、1200人もの人々を守ったと言う話を描いた映画。その支配人は”アフリカのシンドラー”と言われているようです。2005年度アカデミー賞で、主演男優賞など3部門にノミネートされたが、日本では興行収入が見込めないと言うことで一旦興行が見送られていた。しかし、この映画の内容に感動した市民の活動により、興行が行われるようになったと言う曰くつき。

リアルです。こんな話があったとはね。事実に基づいた映画なので、要するに一種のドキュメンタリーなんですが、ドキュメンタリーと言う感じの硬さは感じません。もっとも、主人公一人の周りの出来事を描いているので、ルワンダ紛争全般の話はあまり見えませんが。それでも、高まるルワンダの緊張、国際社会の無常と言うのは良く判ります。

主人公であるホテル支配人を演じるドン・チードルの演技が素晴らしいです。彼の悲しげな、そして、悩む姿(ホテルマンとして、夫として、そして人間として)がこの物語の全てではないでしょうか。アカデミーノミネートと言う演技に納得です。

この映画であらためて判った重要なこと、それは、国連平和維持軍の苦悩です。映画の中の国連軍指揮官(ニック・ノルティー)の台詞にもその一部が出てきますが、国連平和維持軍は平和を維持するものであり、紛争には介入せず、また、武器も小火器で、しかも、自衛にしか使えないと言う大いなるジレンマを持った存在なんですね。実際、民兵がホテルに迫ってきたときに、国連軍は拳銃しか武器は無く、しかも相手に銃口を向けることは出来ませんでした(指揮官が銃口を下げさせていた)。平和維持の意味を考えさせられる場面でしたね。

思ったより客は入っていましたね。上映館も限られていますし、上映期間も限られています。興味のある方は早めに映画館に行った方が良いと思います。

英語版HP:Hotel Rwanda from Yahoo!

日本公開年 2006年
製作年/製作国 2004年/カナダ=イギリス=イタリア=南アフリカ
監督 テリー・ジョージ
出演 ドン・チードル、ソフィー・オコネドー、ニック・ノルティ、ホアキン・フェニックス

[2006/01/27]鑑賞・投稿