勝手に映画評

私の見た映画を、勝手に評論します。
基本的に、すべて自腹です。

第9地区 / District 9

2010年04月10日 | 洋画(アメリカ系)
舞台は、今年ワールドカップサッカーが開催される南アフリカ共和国のヨハネスブルグ。突如姿を表した異星人の乗る宇宙船。宇宙船は、一向に立ち去る気配を見せず、宇宙船に乗っていた異星人達は、「難民」として“第9地区”に隔離・収容される。そしてそれから28年後、スラムと化していた異星人居住地区の“第9地区”からの異星人移送計画が発動され、事件は起きる・・・。

作品は、ドキュメンタリー風に描かれています。なので、しばしば“関係者のインタビュー”的画像が挿入されます。それが、多くの場合は、地球の科学力を軽く凌駕し、地球へ侵略してくると言う対象の異星人が“難民”として描かれていると言う、ともすれば荒唐無稽にも思える作品のプロットに、臨場感を与えています。

作品中で異星人は“エビ”と言われていますが、その“エビ”はshrimpではなく、prawnと呼ばれる方のエビなので、中型くらいのエビと言う事ですね。でもなぁ、私には“エビ”には見えないんですけどね:-p

ところで、映画の舞台が南アフリカ共和国と言うのは、日本で公開される映画としては珍しい設定です。作品中でも、「NYでも、ワシントンD.C.でも、シカゴでも無く、何故ヨハネスブルグ」と言う事を自虐的に(?)言っています。

内容的話ですが、スラムの居住者を強制移住させると言う行為は、嘗て南アフリカ共和国で実際に『第6地区』と言う地域に対して強制移住が行われたと言うことを下敷きにしているらしいです。また、第9地区(=スラム)で行われている数々の違法行為は、現在の南アフリカの治安状況を語っているようにも思えます。いろんな意味で、(過去と現在の)南アフリカ共和国を象徴している映画ですね。

ストーリーは、概ね、予想通りに進行します。って言うか、欲に目がくらんだ人間の汚い一面が、中々衝撃的です。しかし、結末は、そういう事なんですね。アカデミー賞の作品賞にノミネートされた理由が判る気がしました。

第82回アカデミー賞4部門(作品賞、脚色賞、編集賞、視覚効果賞)ノミネート。

タイトル 第9地区 / 原題 District 9
日本公開年 2010年
製作年/製作国 2009年/アメリカ
監督 ニール・ブロムカンプ
制作 ピーター・ジャクソン
出演 シャルト・コプリー(ヴィカス)、デヴィッド・ジェームズ(クーバス大佐)、 ジェイソン・コーブ(クリストファー・ジョンソン)、ヴァネッサ・ハイウッド(タニア/ヴィカスの妻)

[2010/04/10]鑑賞・投稿 / [2010/04/12]記事修正