勝手に映画評

私の見た映画を、勝手に評論します。
基本的に、すべて自腹です。

プリンセス・トヨトミ

2011年05月29日 | 邦画
万城目学原作の長編小説の映画化。『その日大阪が全停止した。』がキャッチコピー。3.11以降の実際の日本で、いま大阪が全停止されると非常に困ってしまうわけですが、そういう意味でも興味を引かれてしまったのと、中井貴一が真田幸一を演じるに際して、大阪府知事の橋下徹をイメージしたと言っていた事に興味を引かれたので、観に行ってみました。

現実の世界に触れながら、ファンタジーの世界を描くというと、ストーリーが破綻して、グダグダになってしまいがちですが、意外にしっかりとした話になっています。また、下敷きとしている話も、戦国時代に有りがちな「実は、子孫が残っていた」と言うテーマなので、完全に空想の荒唐無稽な話でも無いので、物語を作りやすいと言う事もあるのかも知れません。

原作は読んでいないんですが、原作では男性だった鳥居が女性になり、女性だった旭が男性になっていますが、綾瀬はるかの天然さも含め、この変更は、映画としては成功だったと思います。あの雰囲気のミラクルさを演じられる男性俳優って、日本に居ないですよね?

堤真一演じる松平は、会計検査院きってのキレ者と言う事の様ですが、堤真一の演技では、何故か目から力が抜けています。何故?

何故といえば、旭が大阪国の秘密を暴きたい理由が不明なままです。あと、松平が鳥居と組んでいる理由も、旭が何度か尋ねているものの、不明なまま。このあたりは、原作に書いてあるんですかね? 原作を読まなくては。

ところで、会計検査院側が松平・鳥居と徳川に繋がる姓で、大阪側が真田・長宗我部と豊臣に繋がる姓にしたのは、そう言う狙いなんでしょうね。もっと言うと、茶子の橋場は羽柴の変形で、茶子は茶々に繋がるのをイメージしたのでしょうか? ただ、旭だけが不明です。

制作がフジテレビと言うことも有るのかも知れませんが、冒頭の映像で、堤真一が国会議事堂に居るシーンは、これは、同じフジテレビ制作の『SP』へのオマージュ? そう言う意味では、万城目学原作の『鹿男あをによし』に綾瀬はるかが出ていた縁で、そのTVドラマ化時に主演した玉木宏も出ています。

映画化に際して、原作を簡略化したんだろうなぁと思われるところは幾つかありましたが、全般的に中々面白いと思います。東京だと、こう言う面白い話は作れないですよねぇ。また、基本的にファンタジー映画ですが、父親が息子に大阪国の事を語り継いでいくと言う所の辺りは、父が子に対して果たすべき役割を語っているのでしょうか? だとしたら、ファンタジーに名を借りて、中々、重い話だと思います。

タイトル プリンセス・トヨトミ
日本公開年 2011年
製作年/製作国 2011年/日本
監督 鈴木雅之
原作 万城目学
出演 堤真一(松平元)、綾瀬はるか(鳥居忠子)、岡田将生(旭ゲーンズブール)、沢木ルカ(橋場茶子)、森永悠希(真田大輔)、中井貴一(真田幸一/大輔の父)、和久井映見(真田竹子/幸一の妻・大輔の母)、笹野高史(長曽我部)

[2011/05/29]鑑賞・投稿