勝手に映画評

私の見た映画を、勝手に評論します。
基本的に、すべて自腹です。

ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ / The Big Sick

2018年03月03日 | 洋画(アメリカ系)
実話を下にした作品。

パキスタン出身の男性コメディアンとアメリカ人女性のカップルが、結婚に向けて様々な障壁を乗り越えていく様を描いた物語。俳優クメイル・ナンジアニと、ナンジアニの妻である脚本家のエミリー・V・ゴードンが自分たちの体験をもとに脚本を作り、ナンジアニ自身が主演を務めている。

エミリーがリアルに大病になっていますが、ここはやっぱり、二人の幸せを阻む因習が“病気=ビッグ・シック”なんですよね。確かに、その因習に悩まされている側からすると、因習そのものが“病気”であり、因習にとらわれている人たちも“病気にかかっている”様にも思えてくるのかもしれませんね。

また、邦題のサブタイトルも“ぼくたちの大いなる目ざめ”なんてなっています。これは、やっぱり“ぼくたち”となっているところが、ミソなのでしょうか?この“ぼくたち”は、因習にとらわれている人たちと言う解釈もありますが、実は、『本当に愛しているのは誰であるのか』と言う事を、病気を通じて改めて感じた、クイメルとエミリーの二人なのでは無いかとも思いました。

結婚は、日本人同士であったとしても、育った環境の違いによっていろいろな違いがあって、なにかと障壁になりますが、国際結婚はそれ以上。しかも、少なからず宗教も絡んできてしまっていますから、余計に大変。口で言うのは簡単ですが、作品からはリアルな苦しみが感じられます。

この作品の素晴らしいところは、“リアル”なところ。脚本も当事者たちが書き上げ、且つ、演じているのも(男性側は)本人。そりゃ、リアルになりますよね。

タイトル ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ / 原題 The Big Sick

日本公開年 2018年
製作年/製作国 2017年/アメリカ
監督 マイケル・ショウォルター
出演 クメイル・ナンジアニ(クメイル)、ゾーイ・カザン(エミリー)、ホリー・ハンター(ベス/エミリーの母)、レイ・ロマノ(テリー/エミリーの父)、アヌパム・カー(アズマ/クイメルの父)

15時17分、パリ行き / The 15:17 to Paris

2018年03月03日 | 洋画(アメリカ系)
実話を下にした作品。

2015年8月21日に発生した、アムステルダム発パリ行きタリス内で発生したイスラム過激派の男による無差別殺傷事件に遭遇したアメリカ人の3人の青年が、事件を防ごうと活躍した姿を描ている。主人公のアンソニー、アレク、スペンサーの三人を、本人たち自身が演じている。またその他、乗客の一部も、事件に遭遇した当事者たちが演じている。

“素人”のアンソニー、アレク、スペンサーの三人を、堂々とメインに据えて作品を作り上げた、クリント・イーストウッド監督に敬意以外の何物も無いですね。いやぁ、よく怖くなかったなと。最初は、カイル・ガルナー、ジェレミー・ハリス、アレクサンダー・ルドウィグの3人のプロ俳優を使っての作品を検討していたそうなのですが、最終的に、当事者本人を使うと言う決断をイーストウッド監督が下しています。

イーストウッド監督の英断で起用された、アンソニー、アレク、スペンサーの三人は、素人ながらに“まぁまぁの演技”も見せています。中でもアンソニーは、少年時代のエピソードでも明らかにされていましたが、“口が上手い”と言う人物らしいので、三人の中では一番演技が出来ていたように見えました。アレクとスペンサーは、何とかなっていましたが、少しぎこちないところも感じました。そういう意味では、プロの俳優の演技の凄さも感じました。

素人を起用したがゆえになのか、クライマックスのタリスでのシーンは、短いです。作品の多くは、そこに至るまでの三人の姿を描いています。プロ俳優を使った作品だったら、もっと違う感じになっていたでしょうね。

タイトル 15時17分、パリ行き / 原題 The 15:17 to Paris

日本公開年 2018年
製作年/製作国 2018年/アメリカ
監督 クリント・イーストウッド
出演 アンソニー・サドラー(アンソニー・サドラー/アレクとスペンサーの友人)、アレク・スカラトス(アレク・スカラトス/オレゴン州兵)、スペンサー・ストーン(スペンサー・ストーン/アメリカ空軍兵)、ジェナ・フィッシャー(ハイディ・スカロトズ)、ジュディ・グリア(ジョイス・エスケル)、レイ・コラサニ(アヨブ・エルカザニ)、トニー・ヘイル(ジム・ティーチャー)、トーマス・レノン(学園長)、ポール=ミケル・ウィリアムズ(アンソニー・サドラー(少年時代))、ブライス・ゲイザー(アレク・スカラトス(少年時代))、ウィリアム・ジェニングス(スペンサー・ストーン(少年時代))