医師会主催の講演会で、国立成育医療センターICU科長の中川聡先生の話を聴いた。
新型インフルエンザH1N1は季節性インフルより若い人に死者が多くARDS(成人の呼吸窮迫症候群)が多い。入院してまもなく呼吸不全で人工呼吸器管理となり2.3週間で亡くなってしまう。肺のX線画像は未熟児のRDSに似るがパッチ状に白くなり気管支破壊を伴うという。
オーストラリアやメキシコ・米国のデータでは、新型確定患者の1割が入院し、うち2割がICU管理になっているという。これはかなり高い確率。驚いた。
成育医療センターではインフルエンザ脳症に対し、低体温療法とステロイドパルス療法はやるが、基本的な全身管理や脳浮腫の治療が一番重要。急性期の輸液はHypovolemiaは避けて生食中心の高張液を使う。脳を保護するための体温管理の基本は「高体温を避ける」こと。
脳は体重の2%の重量しかないのに心拍出量の15%が脳へ流れ、全身の20%の酸素を消費している臓器。脳への血流と酸素を保つことが重要。32-33度の全身低体温で管理する低体温療法は勧められているがそれで予後が良いという定説はない。低体温管理をするには、筋弛緩剤を使用した呼吸管理の上、脳圧モニターも同時にやれる設備が必要等々。
また、広域の地域でばらばらに患者さんを見るより少ない施設に集約して診るほうが生存率が高いので、そのことも念頭におかなければとのこと。
私たちが外来で患者さんを診たとき、どういうサインを見逃してはいけないか。
呼吸不全・呼吸や心拍が速い・意識障害・痙攣。
これは当然だけれど、体温管理でほうっと思う話があった。
「筋弛緩を施していない状態で高熱患者の全身を冷却するのはshivering(ふるえ)を誘発して酸素消費を増やすのでやってはならない」
高熱がある子にどんな服装をさせれば良いかとお母さんから聞かれるとき、
「ふるえや寒気があるような時は長袖でふるえがこないような服装で」と話していたけれど、それは自分でもそのほうが気持ちいいからだったけれど、脳に対しては理に適ったやり方だったのだなぁ。
と、なんだか自分のための備忘録のブログになってしまったすみません。
予定より少なめに進んだ。
今日もびよよよ~~ん (*^ __ ^*)y