「8割おじさん」で有名な西浦博先生の本が出た。
理論疫学者・感染症を数理モデルで捉える、日本の第一人者だ。
この方のおかげで、日本の新型コロナ流行は、他国より低いレベルで推移したと思っている。
作家の川端裕人氏が聞き手をつとめ、わかりやすく提示されたこの本。
絶対読みたいと思っていた。
「はじめに」で、
純理系バカであるがゆえに、さまざまな点でコミュニケーション問題に行き当たりました。
しかし、失敗を重ねながらも、人間として本質的に誠実であることを忘れずに行動しました。
とある。
「真摯な人」っていうのは西浦先生のような方を言うのだろう。
以下、初めの数章の要約。
昨年の大晦日には、国立感染症研究所の鈴木基センター長と、中国武漢での新規感染症について
チャットのようなメールのやりとりをしていた。
1月16日に日本で最初の症例が確定される頃には、分単位のやりとりになっていた。
MERSやデング熱の時にも国立感染症研究所とコラボしてやっていたリアルタイム研究だった。
以前西浦氏が所属していた香港大学の同僚が連絡を取れないほど多忙になっていて「これは来るな」と思った。
1月末にはFF100会議を開くよう要請した。
(FF100=First Few Hundred 最初の数百人の接触追跡を研究し感染症の特性を明らかにする)
自分たちはこの頃、角館で八千代医療センターの小児科の先生たちと送別会していたなあ、としみじみ。
八千代の先生と、武漢の新興感染症について「MERSみたいにならないといいですよね」と話していたっけ。
西浦氏はもうこの頃には危機感で頭がいっぱいだったのだ。
そして、2月16日に加藤厚生労働大臣と面会して、すぐそのままラボのメンバーとともに、
厚労省の中の『ダイアモンド・プリンセス部屋』で12-13人で分析していくことになった。
が、検査をし忘れたまま下船した人が何人もいたり、行動制限してもルールを守ってくれなかったり。
船内パーティを中止し自室待機とし移動制限を行うと、実効再生産数が1を切った。
移動制限しなかった場合2139人の新たな感染者が出たはずが、自室待機で149人に留まったと計算した。
下船時にPCR陰性の人が下船後に発症する人数は10人と計算して、実際は9人だった…。
ダイアモンド・プリンセス関連の流行が終息していくなかで、また新たな流行がはじまり、
西浦氏が「行動制限を何もしなかった場合、国内で重篤になる感染者が計85万人に、死者は42万人に」と試算し、
4月7日の緊急事態宣言に至る。
まだはじめの章しか読んでいないのだが、これはリアルタイムに近いノンフィクションじゃないかとも思う。
今も西浦氏のグループは数理モデルを出し続けているはずだが、それを受けいれる器が今の政府にあるのかどうか。
GoToトラベルがやっと停止になったくらいだから、期待はできない。
真摯な研究者と作家が作りあげたこの本。
いろいろな裏話も入っているらしい。
じっくり読んでいこうと思う(これ以上感想を書いたら文章量多すぎ、と思って自粛してみた)。
昨日は吹雪いて、12月とは思えない真冬日だった。
今日の予報でも最高気温がマイナス1度。
急な寒さで頭が回らない。
看護師さんも体調を崩しているから、ふんばらねば。
今日もびよよよ〜〜ん (*^ __ ^*)