図書館も野草園も、いつも通っている市の公共施設は来月の12日まで突然お休みとなった。県と市は独自の「緊急事態宣言」を発出して「不要不急の外出自粛」を呼び掛けているが、昨日はプロ野球・楽天vs日ハムの開幕戦は1万4599人の観客を集めてTV放映まで行われている。八木山の動物園は閉じているのに、お隣の遊園地は開園している。要するに、休業してもお給料をもらえる(支払える)お手軽なところは止められても、休業させても補償しないところは、好き勝手にさせていて、「ヒトの流れを止める」というガバナンスは効かないのが、いまの市の県の、いや日本全体のありさまだ。そんな、中途半端なことをやっているから今朝の朝生で誰かの言っていたような「金魚のフンみたいにだらだら続く」感染の波。これでは、オリンピックなどできっこないと7割の日本人が感じているのはしごくあたりまえ。聖火リレーなんて、オイラは、白けて痛々しくてTV報道を直視できない。
図書館から借りたご本の返却予定日が一律4月20日に延長されていた。閉館直前に借りていた植物学者多田多恵子先生の著作・監修本を4月20日までじっくり読ませていただき、春の野山の植物たちの観察を行う参考書とさせていただこう。
その1冊、「野に咲く花の生態図鑑」(河出書房新社)は「目ウロコ」の書なのだが、あのスプリング・エフェメラルのうちカタクリとショウジョウバカマが載っていた。
きのう青葉の森を歩いてきたが、明るい雑木林の林床にはもう至るところにカタクリの葉が伸びだして、もう花が咲きだしている斜面もあって、少し撮ってきたが、「あの無数の葉っぱから無数の花たちが毎年咲きだすんだ」とう固定観念は多田先生のお話で打ち砕かれることになる。
カタクリの章を要約すると、
① 多年草であるカタクリが花を咲かして種子を飛ばすのまで、なんと7、8年かかる。
② 発芽1年目は糸状の芽だけを出すだけである。
③ 翌年以降、流線形の葉を1枚だけ顔を出すが、花を咲かすまで毎年少しずつ大きくなっていく。
もちろん、その年の葉は、その年の5月まで役目を終えて消える。光がもらえないのだから。
5月から翌年2月まで、カタクリは球根のまま地下で眠る。
④ 花を咲かせた7年目に、ギフチョウやマルハナバチのお手伝いで花粉を交配させタネをつくる。
⑤ 4月下旬までには、葉を落とし、熟したタネは、例えていえば、ソフトクリームのコーン(実際の種)
クリーム(エライオソームというアリの好物の脂肪酸)がくっついた形をしていて、地上にこぼれる。
⑥ こぼれたタネのクリームをアリが食べて、コーン(ほんとのタネ)の部分はアリの蛹の成分と似て
いるため(化学擬態とのこと)、アリが地下に運んでくれる。
ほんとのタネは命拾いをして、アリさんのお陰で命のリレーを果たせるということなんだ。
ただ、「あ、きれいだな、かわいいな」と感じていただけのカタクリという生き物にこんな素晴らしい知恵と忍耐があったなんて、思ってもいなかったな。カタクリの「7年目の恋」は、チョウやハチ、そしてアリという他の生き物の協力があって成就していたんだね。協力というより、ギブアンドテイクという共生社会が雑木林のあしもとに存在していたんだ。
5月上旬ころの雑木林が茂って暗くなるまでの、ほんの短い間しかおひさまの恩恵を得られない運命だから、カタクリは、毎年少しずつ、がまん強く球根に栄養を与えて大きくさせ、やっと7年目に花を咲かせるための体力ができるということなのだろうが、7年というのは不思議な数字である。あのセミさんも子孫をつくるのに地上に姿を見せるの7年だし、7年になにか意味があるのか。
キリスト教では、神が7日で地上をおつくりになり、7日目は安息日、1週間は7日だ。
釈尊は、生まれて7歩歩いて「天上天下唯我独尊」と話され、日本には、お七夜、初七日、七福神や七草粥だってある。
そしてラッキーセブン、スロットでは777 という幸運のセブン。虹は七色だし、ウルトラセブンだっ
て輝いていた。セブンイレブンは関係ないのだろうが。
この世界で、なんと7という数字がスピリチュアルな数字として使われているのか、と驚いてしまう。
森の中の「7年目の恋」まだまだ、あるのかもしれない。
巣ごもりどころではない。通うのだ。その謎の解明に、森へ林へと。
双子葉らしく2枚の葉が現れた7年目に花となるんだ。
先に咲いていたセリバオウレンたちもなんか嬉しそうなのである
暖かく日が射すと、花びらを開き、ハチやチョウを待っている。
花びらを食べているムシさんもいるんだろうか。
追記:多田多恵子先生も監修しておられるNHKEテレの「植物たちに学ぶ生存戦略 話す人・山田孝之」第5弾「ツバキ」・「フクジュソウ」・「ドングリ」をみた。じつは、こんな面白くて、ためになって、深夜番組的に色気のある番組が教育テレビで2018年から散発的に放送されていることを、先週のNHK囲碁のあとに放映された10分版に出会うまで知らなかったのだ。そのあと、NHKプラスで少し追加して見たが、オンデマンド(有料)でも放送されているというから残りを見てみよう。それにしても、それぞれの植物が、与えられた環境に対して個性的なアイデアで順応し、種を繋げているのであって、いかな寄生植物であっても相手の命を奪うほどわがままを発揮せず、皆いたって謙虚な生き物だ。
プラゴミや温暖化で他生物の命を脅かし、他国・多人種とも共生できないワガモノ顔のジンルイは「早く滅んでね」と某ウィルスを差し向けたのかもしれない。神さまは。