The Big Country - Opening Titles HQ
数ある西部劇の中で私はこ
の作品のテーマ曲が一番好
きだ。
中1の時の1973年春、日曜
洋画劇場で観て、感動した。
アメリカの中での地方ごと
にある土地柄人柄と、急激
な近代化の波を受けての国
の矛盾を12才の時に初めて
知った。
日本でも地方ごとの固執的
土地柄気質による同国民内
での決して交わらない確執
のようなものが存在する事
実を知るのは、この映画を
観た12才の時から25年後だ
った。
平気で人を裏切ったり掌を
返したり騙したり陥れたり
する人間が異常に大量にい
るこんな土地があるのか、
と驚いた。
それはプライベートだけで
なく、仕事の面においても
だ。
ごく普通に業者がいいがか
りをつけて詐欺まがいの事
をしてくる。何社もがだ。
生き馬の目を抜くなどとい
うものではない。生き馬に
なる前の母馬の母体内にい
る生まれる前の仔馬の目を
くり抜くような事を平気で
ごく普通に悪びれもせずに
やる。
正直、ぶったまげた。
ここは日本なのか?と。
知己によると、さすがの大
阪でさえそれは無いと言う。
関東生まれ育ちの標準語を
話す甘ちゃんには、何もか
もが寂寞たる荒れすさんだ
荒野のように思えた。暴力
と暴虐と悪辣が人を支配し
ている土地。
また、支配されている人々
も同じ事を旨として日々過
ごしている。
だが、そこで暮らす人にとっ
てはそれが日常で当たり前
なのだ。
この映画『大いなる西部』の
ように。
本作の原題の意味は「大いな
る西部」ではない。
『ローマの休日』が「残忍な
休日」という意味を含むよう
に、「大いなる」という賞賛
を表現したのではない深い意
味が原題にはある。題名は決
して「グレートウエスト」で
はないのだ。その意味と題名
の真意は、作品の中でたっぷ
りと描かれている。
大いなる西部