実は、ここ数年、ずっと考えていたことなんです。
ちょっと長くなるかもしれませんが。
遡れば、さらにその前から、・・・時期的には三十代になってからくらいでしょうか、
すでに何年もプロとして仕事もさせて頂いておりましたが、
その中でも、自分自身、壁に当たることが何度もあって、
「うわー、これって、一体どうなってるんだろ。なんでなんだろ」って思うことが多かったんです。
素晴らしい演奏を聴いては、
「なんでそんなこと、できるの?」
「この人って、何を考えながら弾いてるんだろう?」
そして、
「いったい、何を聴いて、どう練習したら、あんな風になれるんだろう」
「でもできないなー、わかんないなー、くやしいなー。じゃあどうしたらいいものやらー。」
そんなことばかり考えていた時期があります。
そして、ある時、思い立って「もう一度、最初からやろう」と、テキストで勉強を始めました。
片っ端から、有名どころや、気になったものを買って来ては、頭から1ページずつ、読んでいったんです。
このブログでも書いたことがありますが(こちら)、英語のテキストを、辞書を片手に三ヶ月くらいかけて読んだこともありました。
大変でしたが、思えば、あれはかなり勉強になりました。
・・・英語の壁はありましたが、音楽の話ですからね、辞書を引くのもさほど苦ではありませんでしたが、それよりも、
やはり説明が簡潔で、上手だったんだと思います。あの時は、英語のメリットのようなものを、とても感じましたね。
しかし、勉強って、なんでもそうかもしれませんが、一冊やニ冊の本だけじゃ、やっぱり、わからないことが多いんですよね。
なので、何冊も読みました。(あ、・・・実は、今でも買って読んでるんですよ(笑)。)
そのうち、少しずつですが、色々と紐解けてきて、「なるほどね、こういうことか」と思うことが多くなってきて、
そうなると、本に書いてあることが先読みして分るようになってきたり、
「ああ、この表現だと、僕はどうにかわかるけど、この本だけ読んだ人には難しいだろうなあ」
とか、そういうことが見えてくるようになって、
その流れの中で、のちに、僕も本を書いたわけですけれども、この時期の経験は大きかったように思います。
ただし、この作業の中でも、時間を沢山かけても、「この本なら僕の疑問を解いてくれそう!」って思って読んでも、
・・・やっぱりわからないことが、残るんですよ。
結果、分ったのは、“本には書いてないこと”って、とっても多いんだな、という事なんですよ。
なんたって、“音楽”ですから。
数学に近いところもありますが、といって、数学のように完全なる答えが出るものでは決してありません。
結局、
「間違ってるかもだけど、でも、みんなこうやってるんだよね」
や、
「理論としては理由は書けないけど、でもこういう時は、これが気持ちいいことが多いんだよ、なぜかね」
などということが多く、本だけではやっぱり完全には学びきれないんです。
そこで、僕が、一番有効だったと思った勉強法が、
「知っている人に、直接訊いて、教えてもらう」
だったんです。
自分は何がわからないのか、本は訊いてはくれませんでした。
でも、人なら、「ってことは、これがわからないのかな?」と、聞き返してくれるんですよね。
すると、「そうそう、そこ!」だったり、「いや、そこはわかるんだけど、その先の、この場合の・・・」と、細かい疑問にも、
「あ、それなら、こういうことだよ。ほら、・・・ね?」
と、こちらの欲しい答えが、目の前ですぐにでるんです。
これこそ、本当に目からウロコ。すっきりすること、この上なし。
「たいていの本には、こう書いてあるけど、実際はそうとも言えなくてね、こういうことなんだよ。」
なんて。
学ぶのに、一番の近道は、人に訊くこと。
だからこそ、学校というものがあったり、先生という人がいたり、家庭教師という人がいたりするんですよね。
そうでなかったら、子どもは教科書だけ読めば、辞書を手にすれば、もう、大学にだって入れるはず。
でも、実際はそうではないですものね。
やっぱり、人が人に伝える、という行為が、一番身にもなりますし、頭にも入るんですよね。
ならば。
これが理由の、一つなんです。
そして、また別な理由が。
音楽が、好きな人は沢山いますよね。というか、
これを読んでくださっている方は、皆、音楽が大好き!という共通点があると思うので、ここは「皆さん、音楽、好きですよね」でいいのかな(笑)。
ともかく、音楽は楽しい。好きなアーティストのCDを聴いたり、DVDを観たり、コンサートに行ってノリノリになったり。
皆さん、思い思いの方法で、音楽を楽しまれていると思います。
でも、もっともっと、音楽が楽しくなる方法があるんです。
その昔、18世紀の中ごろ(ご存知モーツアルトのソナタとかの時代)までは、音楽は自分でして楽しむものだったのです。
皆、家のピアノで、それらの曲を弾いて、家族や友人同士でそれを聴いたり、弾きあったりして、楽しんでいたのです。
それ以降19世紀に入って、ピアニストで言えばショパンとかリストとかの“プロの演奏家”というものが出現して、俄然、曲も難しくなりました(今でもリストなどは、超絶技巧の代名詞ですよね。音大生だって、完璧に弾きこなす人は少ないでしょう)
そうして、やがて音楽は、“うやうやしくコンサートホールで椅子にじっと座って、プロの演奏を聴くもの”、になっていったのです。(“聴衆”というものが確立されていった時代、ともいえます。)
これはこれで、始まってしまった一つの流れだったのですが、とにかく、この頃を境にして、
音楽は“プロの作曲家が作り、プロが演奏するもの”になり、アマチュア演奏家がどんどん少なくなっていくことになるのです。
でもね、結論から言ってしまいますと、
やっぱり、やった方が楽しいんですよ、音楽って。
最近、アクエリ〇スCMで、スポーツ選手が、自分の専門以外の競技にチャレンジしてるのがありますよね。
あのCMのキャッチコピーがまさにそれで、
「観るより、やる方が、超楽しい!」
そう、まさに、そうなんですよ。
僕も、たまにですが、へたくそなりにギターを触ったりしますと、もう、これが全然ろくに弾けないんですけれども(笑)、楽しいのはその後でして。
自分でギターに触った後に、知り合いのギタリストの演奏を見たり、CDを聴いたりしますと、
いつもよりもギターに耳が行きましてね、「うわー、すごーいっ!」って度合いが、いつもよりも何倍も増しまして、より感動できたりするんです。
そして、それまでとは耳が変わる(ギターに耳が行くようになる)ので、さらに曲が面白く感じるようになったりして、楽しいのです。
これまたヘタなりにドラムを叩いてからロックなんか聴きますとね、。これはもう、全員、アスリートか猛獣に思えたりして(笑)。
でですね、ただ感心するだけじゃなくて、少しでも自分でもできるようになると、「もっとこうしたいな」って欲求が出てくるものなのですね。
「どうやるんだか分らないけど、やってみたい」って気持ちになるんです。これは、とっても大事で。
で、また触ってみる。
特に最初は、グングン上達しますからね、自分でも面白くなって、色々とトライしてみたくなったりして、
結果、その楽器や、その音にもっと興味が出て、音楽を聴く楽しみが、ぐわわーっ、と広がるんですよ。
(補足までに・・・やがて何度か、伸び悩む時期は来ますが、それは、誰にでも必要な時期でして、それだけ意識が成長したということの証なんですよね。そして、前向きにやっていると必ず克服できるのも、面白いところです。)
そしてね、何よりも、自分の出してる音や、自分の演奏って、
・・・それはそれは、楽しいものなんです。
「ひゃーっ、へたくそーっ!」って思っても、それでも、自分の演奏ほど可愛いものはありません。
ましては、思いのほか、「あれっ、今の、悪くないんじゃない!?」なんてのが弾けた日には、
・・・何回でも繰り返して聴いちゃうこと、間違いなしなんですから。しかも、何日にもわたって(笑)。
もう、本当に可愛いんですから(笑)。
というわけで、
音楽はね、自分でやってみてこそ、ようやく本当の楽しみがわかる、と思うんです。
ならば。
これが理由のその2。
そして、「でもなー、そんなことは分ってるけど、・・・今さら、ねえ」
というのが、人間、実際の正直なお気持ちだったりもして。
最近でこそ、「大人のピアノ教室」みたいのが増えてはいますが、
それでも、今から、わざわざ教室に通うのは面倒だし、それほどのモチベーションも別にないし・・・。
そもそも、そこにいって、誰が教えてくれるんだかわからないし、何を教えてくれるだかもわからないし。
こういう気持ち、僕もよくわかるんです。
昔、ミッキー吉野さんが学校を作られたということで、まだ高校三年生だったので全日制じゃないコースだったのですが、
勢い勇んで申し込んで通いましたら、
先生はミッキーさんじゃなかった。ミッキーさんは全日制コースの選任で、僕の入ったコースの先生は、名前もしらないジャズの先生だった。
この話は、ミッキーさんにお会いできた、この日のブログに書きましたが、やはり、教えてもらうなら、“教えてもらいたいと思える人”に教えてもらいたい。
で、例えば今、ミッキーさんが教えてくださるというのなら、僕は習いに行きたい。
もしも、厚見さんが、(定期的に、先生として)教えてくださるというのなら、絶対に行きたい。
(厚見さんには、家にも遊びに来ていただいたりもして、目の前でプレイも何度も拝見しておりますが、といって、毎度毎度アレコレ質問攻めにするのも、
・・・と思ったりもするので、とにかく瞬きを止めて、眺めるにとどめております。時折、ガマンできずに訊いてしまいますけれども(笑))。
そして、ありえる話じゃないですけれども、もしも、キース(・ジャレット)が・・・。
例えが凄すぎる人たちすぎて、ちょっとアレなんですが、
でも、もしかして。えっと、ひょっとして、僕だったら、やってみますか?みたいな(上の方々と比べちゃやーよ、なんて(笑))。
僕からしたら、そうして、また音楽の世界の楽しさを、皆さんににより知ってもらうチャンスになるのであれば、これは最高のことなのです。
ちなみに・・・、やれば、やらないよりも絶対に楽しいのは間違いないですから。
そして一人でやるよりも、音楽は、誰かとやった方が、楽しいのですよ。
そして、そんなそんな音楽大好き!な輪が、もっともっと広がっていったら、
色々と、もっともっと楽しくなるんじゃないかな、って。
ならば。
これが、理由のその3。
そうなんです、もうお気づきでしょうか。
はい、実は僕のこの春の新たな挑戦事というのは、
「川村ケンの個人レッスン」
を始めること、
なのです。(音大の話は、その後に来たものでしたー。)
対象は、音楽が好きな、全ての方。または、ちょっとでも興味のあるくらいの方もね。是非、やられてみてください。触れてみてください。
そこのお兄さん、お姉さんも、おじいちゃんも、おばあちゃんも、是非、なのです。何かを始めるのに、早いも遅いも、ありませんから。
今、キーボードをやっていて、プロを目指している、や、もっと上手になりたい、疑問があって上手に前に進めない、上達できない、という方は勿論、
昔ピアノをやっていたけど、今は全然(または、ほとんど)やれてなくて、できるならまたやりたいのだけど、再開するきっかけもないままになっていらっしゃった方や、
そして、「楽器なんて全然触ったこともないし」という、初心者の方も是非どうぞ。
ピアノは、「ネコが歩いても音がなる楽器」です。バイオリンやトランペットでは初日は音も・・・手も足も(笑)、出ないと思いますが、
ピアノであれば、ただ、鍵盤を上から下までチョンチョン、と押すことさえできれば、その日から、“音楽”ができるんです。しかも、あなただけの音楽が。これは僕が保障します。
なので、本当に全くの楽器の素人さんも大歓迎。そして、ギタリストも、ベーシストも、ドラマーも、ボーカリストも、どんな楽器の方でも、年齢性別問わず、大歓迎。
楽譜なんて読めなくたってOKです。必要なら、読めるようになりますし、必要がなければ読まなくたっていいんです。音楽はできます。全然、できます。
とにかく、一緒に、楽しみながら、やってみませんか。
マンツーマンの個人レッスンですから、お一人ずつのレベル、進み具合に合わせて、レッスン内容を調節していけます。ゆっくりと少しずつ、・・・しばらくはサラダで始めるもよし、いきなりラーメン10杯食べるもよし。合わせます。
あと、「いきなり一人じゃ・・・ちょっと」という方もいらっしゃるかと思いますので、メニューにはグループレッスンも考えております。
最初はお友達と一緒にグループとして参加してみて、その後に個人レッスンにされてもいいと思いますよ。
詳細は、今、詰めております(ここしばらく、協力して下さっている方々と相談しつつ、色々と水面下で動いております)。
ともかく、僕ならこうしたいなー、こんなことできたら楽しいなー、などとあれこれ考えています。
名前も、実は、もう決まっているんですが(笑←なぜ笑う(笑))、これは・・・、
近日、また詳細と共に、発表させて頂ければと思っています。
そうそう、スタートは、
今日からちょうど一ヵ月後の、5月22日(火)です。
えー、スカイツリーもオープンする、大安です(それ、たまたまでしょう(笑))。
さあ、僕と一緒に、あなたの音楽大好きライフに、新たな一歩を刻んでみませんか?
・・・あなたの人生が変るかも、ですよ。
というわけで、えー今日は、長々と(いつもですが(笑))、どうもありがとうございました。
最後に、よく僕の背中を後押ししてくれる、大好きな言葉をご紹介させて頂きますね。
「“あれをしたら、こう言われるだろう。”
こんなくだらない感情の為に、
やりたい事も出来ずに大勢の人が死んでいくんだ。
ジョンレノン」
そうなんですよね。
だから思い立ったら、えいやって。
どうなるかなんて、決まってない。結果なんて、誰にもわからないんですよ。
ならば、えいやっ。
とにかく、やってみましょうよ。
音楽、楽しいんだからー。ねー。
ではー。