【唐草文様は「生命力・再生とともに吉祥の意味合いも」】
大和文華館(奈良市学園南)で特別企画展「連続・反復の美 文様に込められた想い」(17日まで)が開かれている。「連続する文様」として渦巻や唐草模様をあしらった東アジアの工芸品など、「反復する図像」として仏教版画の千体仏や摺り仏・印仏など、合わせて82点を展示している。
展示物で最も古いのは中国の新石器時代(紀元前2500~2300年)の遺跡から出土した2つの「彩陶双耳壷」。高さはいずれも40cm弱で、太い胴の上半分にシンプルな曲線や格子状の文様が描かれている。中国・唐時代の「銅製貼銀鎏金(りゅうきん)双鳳狻猊文(さんげいもん)八稜鏡」(重要文化財、上の写真)は径15.2cmで、銀板に文様を打ち出し鍍金を施して背面に貼り付けたもの。獣形の鈕(ちゅう)を中心に、ザクロの植物文を背景にして鳳凰と狻猊(=獅子)が交互に反時計回りに旋回する。
「螺鈿菊唐草文小箱」(下の写真)は朝鮮・高麗末期から朝鮮王朝時代初期(14~15世紀)の作品で、丸みを帯びた長方形の小箱(高さ11.5cm×17.0cm×9.0cm)。蓋や側面に菊や牡丹の唐草文が規則的にびっしり描かれており、リズミカルで上品な美しさを醸し出している。箱書に「唐物茶箱」とあり、茶道具の1つとして日本にもたらされたとみられる。
「連続する文様」として他に青磁象嵌唐草文瓶(朝鮮・高麗時代)、青白磁貼花牡丹唐草文壷(中国・元時代、伝大分・宇佐八幡宮境内出土)、鎌倉彫屈輪香合(日本・室町時代)、箔絵唐草文合子(タイ・19~20世紀)なども出品されている。唐草文の起源は古代ギリシャ。解説文に「唐草文は生命力や再生の象徴。連続する文様には良いことが続くという吉祥の意味合いも込められている」とあった。
「反復する図像」の主な出展は金銅板仏(中国・遼時代)、印花文骨壷(朝鮮・統一新羅時代)、一字一仏瓦経(日本・平安時代)、如意輪観音印仏(日本・南北朝時代)など。「印仏や摺い仏、千体仏など繰り返して仏像を表す行為の背景には数多く造像する〝作善〟の意図など篤い信仰心がある。形を反復することで原像に備わる霊性や聖性をも写すことが可能と考えたのだろう」。