【目の前を次々に泳ぐスズキ、チヌ、ウナギ、シマイサキ……】
北九州市最大の河川・紫川(水源福智山、全長22.4km)。その河口域に「北九州市立水環境館」(小倉北区船場町)がある。入館無料。目玉は大きな水槽のような「河川観察窓」だ。そばに「見ちゃりぃ川ん中」「水槽ではありません 川の中です」という表示があった。目の前を30cmほどもあるスズキ(セイゴ、下の写真)やチヌ(クロダイ)が泳ぐ。それを目にした時、かつて〝死の海〟とまで形容された洞海湾で数年前、エイが海面を飛び跳ねる光景を見た時と同じ感動が蘇ってきた。
水環境館は「紫川マイタウン・マイリバー整備事業」の中核施設として2000年にオープンした。観察窓のほか、紫川の上流・中流の生き物を紹介する生態水槽、カニばかり集めたカニコレクション、水環境を学ぶAR(拡張現実)体験コーナー、ちびっ子たちに人気の発電体験アトラクションなどのコーナーがある。昨年1月には入館者が200万人を突破した。今は8月末までの期間限定で企画展「紫川の汽水魚」も開催中。(下の写真は上段㊨オヤニラミ、下段㊧ゴクラクハゼ、同㊨トビハゼ)。
観察窓は縦2.3m、横7.2mの透明アクリルパネル。居ながらにして川の中を覗けるこの観察窓は中学生のアイデアがもとで生まれた。水環境館を訪ねた日はあいにくの雨模様で川の水も茶色がかっていたが、それでもスズキが何匹も行きかい、チヌや大きなウナギ、シマイサキ、かわいいクサフグなどを見ることができた。おまけにヘビまで。何度も来ているのか、魚の名前に詳しい子どもが多かった。
この観察窓からは他にヒイラギやボラ、ゴンズイ、モクズガニなども見ることができるという。潮の満ち干による〝塩水くさび現象〟も観察できるそうだ。川の水より重い海水が細長い楔形のようになって川底を遡ることから、こう呼ばれる。観察室の横にはかつての紫川の水を再現した、どす黒い水が入った円筒形の容器があった。洞海湾も、この紫川も、よくぞここまで水質が改善したものだ。市民、企業、行政が一体となった長年の努力の結晶だろう。
館内の一角に「紫川にギギはいた!!」とカラフルに大書した水槽があった。ギギはナマズの仲間で、体長は25cmぐらい。外敵を威嚇する時「ギーギー」と音を出すという。紫川では30年ほど前の目撃情報を最後に絶滅したとみられていたが、2012年に市民の通報で生息が確認された。展示中のギギもその市民から寄せられたものだが、夜行性とあって水草の陰に隠れよく見えなかったのが残念。(上の写真㊨はハクセンシオマネキ。オスは片方のハサミが大きく、それを動かす様が白い扇のように見えることから「ハクセン」の名が付いた)
下の写真は後日、橿原市昆虫館で撮影したギギ