く~にゃん雑記帳

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<サギソウ(鷺草)> 優雅にシラサギが舞うような花姿から

2014年09月01日 | 花の四季

【江戸初期から栽培? 姫路市の「市の花」白鷺城にちなみ】

 ラン科サギソウ属(ミズトンボ属)の多年草。唇弁と呼ばれる下側の花弁が純白で、サギが羽を広げて優雅に舞うように見えることから、その名が付いた。日当たりのいい湿地を好む。かつては全国各地に自生地があったが、野生のものは乱獲や開発によって激減。環境省のレッドリストには準絶滅危惧種として掲載されている。

 サギソウは江戸時代初期には既に栽培されていたとみられる。日本最初の園芸書といわれる「花壇綱目」(1681年刊行)や貝原益軒が書いた「大和本草」(1709年)にも紹介されているためだ。花期は7~9月、草丈20~40cm。葉に斑(ふ)や覆輪が入る品種もある。同属の仲間にダイサギソウ、ミズトンボ、イヨトンボなど。

 サギソウは姫路城が世界遺産になっている姫路市の「市の花」になっている。別名の「白鷺城」にふさわしい花として半世紀前の1966年に選ばれた。市はサギソウの啓発普及活動として毎年、写真展や栽培講習会などを開催、今年も10月1~13日に「緑の相談所」で写真展を開く。愛媛県今治市のサギソウ自生地「蛇越池」では約20年前から地元の児童や高校生が苗を植え付け繁殖に取り組んでいる。

 東京都世田谷区にはサギソウの悲話が伝わる。400年以上前の江戸時代、常盤は世田谷城主吉良頼康の寵愛を受けていたが、家臣との密通の作り話で追い込まれる。常盤は自害し身の潔白を晴らそうと、かわいがっていたシラサギの足に遺書を結び父母が住む奥沢城に向けて放つ。そのサギをたまたま狩りをしていた頼康が射止める。遺書で常盤の無実を知って城へ急ぐが、時既に遅かった。その後、サギを射止めた跡にはサギに似た可憐な花が咲いた――。サギソウは世田谷区の「区の花」になっている。「風が吹き鷺草の皆飛ぶが如」(高浜虚子)。

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